小規模保育園は将来潰れる？潰れる理由や生き残りに必要なアプローチなどを解説

小規模保育園のほか、企業主導型保育園や認可外保育園といった様々な形態の保育施設が増加する中、将来性に対する不安も共に広がっています。なかでも、小規模保育園の将来について不安な声が多く聞かれます。少子化の進む日本社会において、競争激化や運営の難しさから、小規模保育園が生き残るための課題は決して少なくありません。

この記事では、小規模保育園が直面する具体的な課題や潰れる可能性が高まる理由を詳しく解説します。どのような戦略やアプローチが必要なのか、実践的な生き残りの道筋も探求していくので、ぜひ参考にしてください。

保育士の採用をするなら保育のカタチがおすすめ

引用元：保育のカタチ

保育士の採用をするなら保育のカタチがおすすめです。

保育のカタチは日本で唯一、幼保業界の「人」に関する問題解決に特化した専門家集団です。採用から社員教育、それらの仕組み化まで幅広く取り組んでおり、人手不足の保育業界の中で、幼保施設にとって最善のパートナーが見つかるようなお手伝いをしています。

採用がうまくいかず悩んでいる方はぜひ一度保育のカタチにご相談ください。

小規模保育園は潰れる？現状と将来性

近年、共働き家庭の増加や少子化による保育需要の多様化により、小規模保育園が増加しています。しかし、小規模保育園の運営にはさまざまな課題があり、将来性について不安を抱く方も少なくありません。ここでは、小規模保育園の現状と将来性について詳しく解説します。

小規模保育園の現状

小規模保育園は、家庭的保育事業や居宅訪問型保育事業とともに「特定地域型保育事業」に分類されます。令和5年度「保育所等関連状況取りまとめ」のデータによると、特定地域型保育事業所の数は約7,500施設に達しています。認定保育園よりも開設しやすく、0～2歳の待機児童を受け入れることが多いため、平成27年以降着実に増加しました。

さらに、同じ資料によると、小規模保育園を含む地域型保育事業の令和5年の定員充足率（利用定員に対する実際の利用児童数）は79.7%でした。こ保育園の人気度に大きな差があり、一部の施設では定員割れが発生していることが推測されます。

引用：こども家庭庁：保育所等関連状況取りまとめ（令和5年4月1日）

小規模保育園の将来性

小規模保育園の将来性はどのように見られているのでしょうか。

少子高齢化の影響で子どもの数は減少していますが、共働き世帯は増加しています。女性が社会で活躍できる環境も整備されており、今後「子どもを何らかの形で預けたい」という保護者の数は増えると見込まれています。

社会のニーズに対応するため、従来の認可保育園や認可外保育園に加え、小規模保育園をはじめとした多様な形態の保育施設が開設されています。保育事業は将来的に有望とされていますが、安定した経営を続けるためには、単に施設を開設するだけでは不十分であり、保護者に選ばれる魅力的な保育園を作ることが重要です。

小規模保育園が潰れる理由

小規模保育園は、家庭的な雰囲気や少人数のケアが魅力的な施設ですが、定員割れなどの理由で潰れる保育園も少なくありません。ここでは、小規模保育園が潰れる主な理由について詳しく解説します。

園児の集客ができない

小規模保育園の大きな課題の1つは、十分な数の園児を集められないことです。大都市では保育需要は高いですが、地域によっては子育て世代の人口が偏っていることから、十分な集客が難しい保育園も存在します。

特に、人口減少が進んでいる地方では、園児の確保が一層難しくなります。また、都市部でも、他の保育施設との競争が激しく、選んでもらえないケースが増えています。

なかには、園の魅力や特色を十分に伝えられていない保育園も見受けられます。良いサービスを提供していても、保護者にその魅力が伝わらなければ意味がありません。効果的な広報活動が欠かせませんが、それには時間と費用がかかります。

保育士が足りない

小規模保育園が直面する大きな課題として、保育士不足も挙げられます。保育士の求人は全国的に逼迫しており、地方や小規模な施設の場合、必要なスタッフを確保することが非常に難しいのが現状です。

保育士不足の原因は他の仕事と比べて賃金が低いことや、労働時間が長い・保育士の労働環境や待遇が改善されていないなど多岐にわたります。結果的に保育士を確保できず、適切な運営ができない事態に陥ることもあります。

5歳まで預けられる保育園への転園

小規模保育園の多くは0～2歳児を対象にしているため、子どもが3歳以上になると他の保育園や幼稚園に転園する必要があります。転園は保護者にとっても大きな負担がかかるため、5歳まで預けられる保育園が見つかった段階で、移ることが多いです。

また、転園は子どもの適応問題も課題となっており、子どもが新しい環境に慣れるまで時間がかかるため、できるだけ転園の回数を減らしたいと考える保護者が多いです。転園が必要な理由で、小規模保育園を選ばない保護者もいます。

職員の一斉退職

小規模保育園が崩壊する大きな原因として、職員の一斉退職が挙げられます。保育士が退職する理由はいくつかありますが、多くは職場環境に対する不満から来ています。

パワハラやセクハラといった職場内でのハラスメント問題・人手不足による劣悪な待遇・人間関係の悪化などの問題が放置されると職員のストレスや不満が増大し、一斉退職へと繋がることがあります。一斉退職は園の運営能力が一気に低下し、最終的には閉園を余儀なくされる場合が多いです。

保育士のストライキについては、以下の記事でも詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

あわせて読みたい

保育士がストライキを起こしたら園側はどうしたら良い？過去の事例や予防策などを解説！ 保育士のストライキがここ数年で急激に増加し、ニュースでも取り上げられるようになりました。保育士不足や給料の低さは近年の保育業界の課題であり、問題改善がなされ…

赤字経営

小規模保育園が崩壊するに至る大きな問題は、赤字経営です。小規模保育園は規模が小さいため、園児の定員が少なく、その分収益も限られています。

園児が集まらないことで収益が不足し、必要な経費を賄うことができなくなるのです。さらに、園児の数が少ないと補助金や給付金も減少し、経営がますます厳しくなる傾向があります。赤字経営が続き、最終的には閉園に追い込まれるかもしれません。

粗雑な運営

小規模保育園が潰れるもう1つの理由は、粗雑な運営です。運営がずさんだと、保護者からの信頼を失い、結果的に園児が減少することにつながります。

法律違反やルール違反が常態化すると、行政からの信頼を失い、必要な補助金や給付金が打ち切られることもあります。衛生管理が不十分だったり、安全対策が不備だったりした場合、監査で摘発されればただちに罰則を受けることになります。保護者の信頼を失ってしまうと、園の運営自体が成り立たなくなり、結果として閉園に至ることも少なくありません。

保育園閉園の事例については、以下の記事でも詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

あわせて読みたい

保育園が定員割れを防ぐための対策方法7選！地方や都内の公立保育園では定員割れが当たり前って本当？ 保育園の問題というと待機児童問題が頭に浮かび、保育園が不足していると考えている方も多いのではないでしょうか。保育の現場では定員割れによる問題が深刻化していま…

小規模保育園が生き残りに必要なアプローチ

小規模保育園は、家庭的な雰囲気ときめ細かいケアが魅力的ですが、持続可能な運営を実現するためには、いくつかのアプローチが必要です。ここでは、小規模保育園が生き残るために必要なアプローチについて詳しく解説します。

保育士の働きやすい環境を整える

まず、保育士の働きやすい環境を整えることが重要です。保育士が安心して長期にわたり勤務できる環境をつくることで、職員の一斉退職といったリスクを減らせます。過重労働は保育士のストレスを増大させ、退職の原因となるため、給与の引き上げや家賃補助など、働きやすい環境を整えることが求められます。

また、保育士の働きやすい環境を整えるために、社員特典の付与は非常に有効です。社員特典として、社員の子どもを優先的に入所させるのも良いでしょう。保育士が自身の子どもを安心して預ける場を確保できるため、仕事に集中しやすくする効果があります。さらに、保育士自身が利用者の視点を持つことで、保育園のサービス品質の向上にも繋がります。

保育士の働き方改革については、以下の記事でも詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

あわせて読みたい

【園長必見】保育士の働き方改革について事例を交えて解説！働きやすい環境を作るには？ 働き方改革は、仕事の負担を軽減したり効率を良くしたりするための取り組みであり、保育園も例外ではありません。働き方改革には、労働時間の適正化や柔軟な働き方・職…

集客に力を入れる

次に、小規模保育園の経営を安定させるためには、集客に力を入れることが重要です。園児の数が収益に直接影響を与えるため、効率的な集客戦略を展開しましょう。

SNSや地域の掲示板、口コミを活用し、保育園の魅力を広く発信しましょう。デジタルマーケティングではSEO対策をしっかりと行い、検索エンジンでの露出を高めることが重要です。また、親子が参加できるイベントや見学会を定期的に開催するのも良いでしょう。

保育園の集客については、以下の記事でも詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

あわせて読みたい

【集客に悩む保育園関係者必見！】園児が集まらないときは集客イベントがおすすめ！園児を集める方法を解説 子どもたちの笑顔があふれ、賑やかな保育園を目指したいと考えている方も多いのではないでしょうか。しかし、集客に悩む保育園関係者も少なくありません。保育園の集客…

他の園との差別化を図る

他の園との差別化を図ることも、小規模保育園が生き残るためには大事なポイントです。自園の強みを明確にし、それを最大限に活用することで、ほかの保育園より優位に立つことが可能となります。

オリジナルの教育プログラムや英語教育・リトミック・体操教室など、他の園では提供していない特別なプログラムを導入しましょう。保護者に対して、通常の保育以外にも付加価値があると宣伝でき、集客につながります。

補助金を活用する

補助金をうまく活用することが、小規模保育園の生き残りにおいて非常に重要です。地方自治体や国から提供される補助金を効率的に運用することで、経営の安定を図れます。

最新の補助金情報を把握し、適切なタイミングで申請をすることで、必要な経費を賄うための資金を確保できます。

認可保育園では、以下のような補助金制度を利用することが可能です。

• 保育所等改修費等支援事業
• 就学前教育・保育施設整備交付金（旧称：保育所等整備交付金）
• 保育体制強化事業

補助金を活用することで、経営が安定し、保育士が働きやすい環境を整えられます。自治体や関連団体のウェブサイトに情報が掲載されているため、定期的に確認するようにしましょう。

保育園運営の補助金については、以下の記事でも詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

あわせて読みたい

【知らないと損】保育園の運営に活用できる補助金とは？申込方法や算出方法なども紹介 保育園の運営には設備費や人件費、諸経費などさまざまな運営費用が必要です。運営費用を抑えながら業務の効率化や安全面の維持をするのが大変と感じている経営者の方も…

まとめ

小規模保育園が抱える問題は1つだけではありませんが、大規模な施設では提供できない個々のニーズに応じた保育が求められる現代、小規模保育園の重要性が今後さらに高まるでしょう。特に、乳幼児期の発達には、家庭的な雰囲気と密なケアが重要視されており、小規模保育園はその点で非常に優れた環境を構築しています。

この記事で紹介したような多角的なアプローチを取ることで、保育園運営の持続可能性が高まります。地域社会との連携を強化し、保護者や地域住民からのサポートを得ながら、より良い小規模保育園を作っていきましょう。

保育士の採用をするなら保育のカタチがおすすめ

引用元：保育のカタチ

保育士の採用をするなら保育のカタチがおすすめです。

保育のカタチは日本で唯一、幼保業界の「人」に関する問題解決に特化した専門家集団です。採用から社員教育、それらの仕組み化まで幅広く取り組んでおり、人手不足の保育業界の中で、幼保施設にとって最善のパートナーが見つかるようなお手伝いをしています。

採用がうまくいかず悩んでいる方はぜひ一度保育のカタチにご相談ください。