これからの幼保施設には差別化が重要!設立時から差別化に取り組んだ園の事例

これからの園経営は「差別化」が重要。ただ、差別化って何をしたら良いか分からない、という施設経営者の方への参考になればと思い、食での差別化を実践している園への取材をしてきました。

ハピオスインターナショナルスクール 園長
オーガニック給食はぴーと主宰
内田洋介さん

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目次

公務員を辞めて、保育園を始めたきっかけ

保育のカタチ(以下:保):本日はよろしくお願いいたします。内田さんは大阪で企業主導型のインターナショナル保育園を運営されていますが、そもそも保育事業を始められたきっかけを教えていただけますか?

内田洋介さん(以下:内):私は大阪市で公務員として15年勤めておりました。その中で、もっとこの国をよくできるのではないかと感じることが多くありました。そのために、次世代を育成することに力を入れたいと感じ、保育事業を始めました。

保育園を始める時、差別化をどう考えていた?

保:保育園を始めることで、子どもたち世代から育成をしていこうと考えられたのですね。保育園を始めるにあたって意識されたことはありますか?

内:保育園を始める際、これから少子化になるということはわかっていましたので、選ばれる保育園になることを意識していました。そのため、他の園との差別化を最初から考えていました。

保:インターナショナル園、オーガニック給食などの特色などですね。

内:そうです。どのような形を取れば差別化になるのかと考えた結果、これからの子どもたちに良いことを取り入れた園にしようと考えていました。インターナショナル、という部分でも、ただ英語のお勉強ができるようにしようとするのではなく、英語でコミュニケーションが取れる、というところを近隣のインターナショナル園との差別化ポイントにしようと思っていました。

保:さすがによく考えられていますね。園の運営で大切にしていることはなんでしょうか?

内:とにかく楽しく、ということを大切にしています。これは、子どもはもちろんのこと、保護者さんも、働く先生たちもです。

保:その心はカリキュラムや活動に溢れていますね。ホームページを拝見しましたが、本当に皆さん楽しそうでした。どのように取り組みを始めていったのですか?

内:最初は保育園にありがちな、「豊かなこころを育む」という形を考えていたのですが、豊かなこころは心の在り方で、目に見える化できない要素が多い。見えないものをどう形にしていくかがポイントでした。

保:そこで次にどうされたのですか?

内:そもそもこの文化をマニュアル化する、ということが無理だなということに気づきました。この気づきも過程として重要だったと思っています。

保育園では、ある意味先生たちが商品なので、先生たちがどれだけ楽しく働いているかがサービスのクオリティに直結するなと。そこで、誤解を恐れずに言えば、先生たちには自分が好きなことを実践してもらうことで、それが楽しいにつながるようにサポートしようと考えました。

保:それはなかなかできない決断ですね。うまくいかなかったことはなかったのですか?

内:もちろんありました。特に最初の方は、楽しい以外の基準がなかったので試行錯誤の繰り返しでした。初期メンバーには方針や考え方を伝えてはいましたが、基本的には先生たちと私で実践の中で、コミュニケーションをとりながら練り上げて行きました。今は、その先輩たちがいますので、基準もわかりやすくなりました。

「食」での差別化

保:園での「楽しい」と「英語」への取り組み方は素晴らしいですね。もう一つの目玉である、「食」についての取り組みを教えていただけますか?

内:実は私、農家になったんです。

保:農家に!?

内:はい、差別化に、と思って始めたオーガニック給食なのですが、考えれば考えるほど、国内の食糧自給率にも思いが至り、ついには私も米を作ろうとなりまして、農家になりました。

私自身がお米づくりを始めたことで、保育園の活動で子どもたちに農業体験をしてもらうことができるようになりました。

保:最初からオーガニック給食を導入してのスタートとのことですが、大変だったことはどのようなことでしょうか。

内:まず最初に起きた問題として、何を作っても同じようになってしまい、美味しくない、見た目が一緒、みたいになって、献立の現場と保育園の調理の現場で試行錯誤を繰り返しました。

改善の土台として、現場の先生とのコミュニケーションをとても意識しました。なぜ美味しくなさそうに見えるのか、などのフィードバックを丁寧に相談しながら進めていきました。

スタッフが前向きに考えてくれる人たちが多かったのもよかったことですね。

結果、在籍している外国人の先生の伝統食をイベント時に給食として体験したり、、味や見た目が改善されて、子どもたちがよく食べてくれるようになりました。

保:他にはどのようなことがありましたか?

内:現在の流通は、ハウス栽培等で旬でなくてもスーパーに並んでいたりするので、旬のものを工夫して選んでいたり、流通量が少ないので原価が高いのが難しいポイントでした。旬に合わせた献立の開発、原価をどれだけ抑えるか(1年以上)を1つの園でやってみようとするオーナーは基本少ないし、いないんじゃないかなと思っています。当初は1食、原価が700円ぐらいするような時もあったんですよ。

保:700円!それはなかなかですね。そのような問題点をどのように解決していったのですか?

内:一つは献立の工夫です。献立の組み合わせ方で価格を調整しています。

もう一つは仕入れ先の開拓です。年単位で地道に仕入れ先を開拓していきました。もともと仕入れのルートを持っていたわけではなかったので。

総合問屋ではなく、それぞれが専業でやっている商店と提携していきました。いわゆるその分野のプロですね。しかも、一般消費者も買えるところで仕入れているので、保護者さんも安心できます。

園では仕入れ先も開示しているんです。これも保護者さんが安心できるポイントだと思います。

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子どもたちや保護者にも意識の変化が

保:それはすごいですね。子どもたちの食への情熱をひしひしと感じます。オーガニック給食について、子どもたちや保護者さんの意識などに変化はありましたか?

内:まずは子どもたちからお話すると、お米が変わったら味の違いがわかる、など、味の違いがわかるようになりました。「保育園の野菜がおいしくて、家の野菜を食べてくれない。ハピオスで買っている〇〇さんの野菜しか食べてくれないんです。」など、食べ物の味を感じる、という部分に成長を感じます。

保護者の方でいうと、子育て中で、ご飯をしっかりしたいと思っているのですが、ハピオスでしっかりやってくれるから、夜ご飯作り少しサボってもいいかな、と子育てが気楽になる、心理的にラクな気持ちになれる。という感想をいただいています。

また、ハピオスに来てもらうことで、オーガニックを知って、自宅でもできる範囲で、という保護者さんからお話を伺う機会が増えました。

例えば、「お米って何買ったらいいですか?家のお米食べないんです」という相談があったり、自宅でもオーガニックを始めてみたいけどどうしたら良いかわからない、などのご相談をいただいたりします。

そのような方には、まずは調味料からでも始めてみたらいかがですか?とおすすめしています。

保:オーガニックにこだわりすぎて、何も食べられなくなってしまう、というような話も聞きますが、内田さんはそのあたりをどう考えていらっしゃいますか?

内:健康のために食事に気を使うことはとても大切ですし、いいことだとは思っていますが、それが気になりすぎてストレスになるぐらいだったら、好きなものを食べていいと思っています。バランス感覚は大切かなと。楽なスタンスでいいと思います。

保:そのぐらいのバランス感覚が内田さんの良い塩梅、ということですね。他によかった点などはありますか?

内:実は保育園事業外でもお問い合わせが来ることがあります。例えば、美容や健康関連の人からのオファーが増えました。食べ物が大事とはわかっているけど、食べ物の生産現場がどうなっているかはなかなかわかりづらいもので、何がちゃんとしているのか、していないのか、というところをレクチャーさせていただくなど、ご協力をさせていただいています。

保:ありがとうございます。特に食に関しての強い思いをお持ちだと思いますが、他にはどのような取り組みをされていますか?

内:保育園では:次世代に繋ぐという大きな目的を持って、特に食の部分でオーガニック給食材をご家庭でも使って欲しいと考えて「保育園を八百屋さんに」というプロジェクトをやっています。

保:具体的にお聞きしてもよろしいでしょうか。

内:はい。ハピマルシェというネット販売を通して、1つはご家庭や保育園向けに、単品で品物を買うことができるサービス。もう1つは、栄養士さんなどが常駐していない保育園向けに、献立を提供するサービスです。

保:このプロジェクトは保育園の「食」にフォーカスした差別化ポイントになりそうですね。

内:そうなんです。おそらく、少子化の流れを受けて、すでに園長・理事長さんは肌感で園児が減っていきそうだ、ということを感じていると思います。

その中で、認可園は変化を起こさないと置いていかれてしまったり、特に地方ではそのような園がより増えてくると思います。

何か始めないといけない、と感じている園は、まずは「食」から取り組んでみては、と思います。もちろん「食」が「園選びの決め手」になることは少ないと思いますが、もしこの部分が完璧なら、迷っている保護者さんの背中を押すポイントにはなると思います。

保:どのような園におすすめですか?

内:個人的には、本来は全施設が取り組むべきことだと言いたいところなのですが笑

・食に全く今まで興味がなく、手をつけていない園

・他の園との差別化をしたいが、何から取り組んでいいかわからない園

など、非常に取り組みやすいことなのでおすすめできます。

例えば調味料だけオーガニックにしてみる、などは、給食室のやり方を変えることもなく、現場との調整も簡単にできます。予算の調整だけですね。

オーガニックの導入は、保護者さんの視点からは非常に嬉しいことだと思います。元々関心のある人にとっては嬉しい変化ですし、関心がなかった人でも、オーガニックを敢えてやめてください、という方はいないので。

保:ありがとうございます。最後にメッセージをいただければ。

内:施設として子どもたちへ地球へ寄り添った農産物を作る環境を残してあげたい、というのは私たち大人世代の責任かなと考えています。その環境に貢献する仲間が少しでも増えてくれたら嬉しいです。

保:本日はありがとうございました。

ハピオスインターナショナルで取り組んでいる差別化ポイントとしての食へのこだわり。この取り組みにご興味のある方は、ぜひ一度内田さんとご相談してみてはいかがでしょうか?

まずは保育のカタチに相談する

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この記事を書いた人

株式会社シェンゲン執行役員、人事責任者
「保育のカタチ」事業責任者、採用支援コンサルタント

前職ではリクルートの代理店にて、7年間1,000社以上の採用支援を担当。シェンゲン入社後は、幼保業界の「人」に関する問題解決に特化した専門家集団「保育のカタチ」を立ち上げ、事業責任者として従事。

保育園の統括マネージャーとして運営にかかわりつつ、保育士転職サービスでのキャリアサポートや、保育園への採用コンサルタントも行う。

採用活動を内製化する伴走型の採用支援や保育士向けの研修、紹介予定派遣などのサービスを公共機関や幼保施設の運営法人に向けて提供中。祖母、母、妹が保育士という保育士一家で育った。

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