保育園では、園児の事故防止に関して、注意すべきポイントが多く存在します。特に、うつぶせ寝による事故には注意が必要です。保育園ではお昼寝の時間が設けられており、うつぶせ寝で園児が死亡するリスクがあるため、園全体で注意しなければなりません。
実際に、どのような事故が発生したのか気になる方もいるでしょう。この記事では、認可外保育園で実際に発生した事故事例や、うつぶせ寝の対策方法などを詳しく解説します。
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引用元:保育のカタチ
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認可外保育園で起きたうつぶせ寝による死亡事故
認可外保育園で発生したうつぶせ寝の事故として、以下の事例を紹介します。
- 東京都 世田谷区で発生した事故
- 沖縄県 那覇市で発生した事故
各死亡事故の詳細を見ていきましょう。
うつぶせ寝による死亡事故①東京都 世田谷区
東京都 世田谷区の無認可保育施設「託児ルーム バンビーノ」において、2023年12月13日に発生した事故の経緯をまとめると、以下のようになります。
時間 | 状態 |
9時頃 | 乳児が保育施設に預けられる |
13時20分頃 | 乳児にミルクを飲ませた |
14時頃 | 睡眠時間であったが寝つけねかった |
14時50分頃 | 園長が一時外出中に職員が乳児を布団に寝かした |
15時15分頃 | 職員が異変に気付いて園長が救急通報したが、死亡が確認された |
事故当初、乳児は顔を真下に向いた状態で発見されたと、職員が説明しています。また、口や鼻の周辺の布団が多量の唾液により濡れていた状態だったことがわかっています。
結果として、園長は乳児にうつぶせ寝をさせていたことを認め、警視庁北沢署が業務上過失致死の疑いがあるとして捜査を進めました。
参照:NHK「世田谷区 保育施設で乳児死亡 業務上過失致死疑い視野に捜査」
うつぶせ寝による死亡事故②沖縄県 那覇市
2022年7月30日に、沖縄県那覇市の認可外保育施設「緑のすず乃保育園」において、うつぶせ寝の死亡事故が発生しました。緑のすず乃保育園で一時預かりしていた3ヶ月の乳児が、心肺停止の状態となり死亡したのです。
事故の経緯をまとめると、以下のようになります。
時間 | 状態 |
8時頃 | 乳児が母親とともに登園 |
8時10分頃 | 服を脱いでシャワーを浴びて着替えをさせた |
8時30分頃 | ミルクを与えたが嫌がったため、複数回に分けてミルクを与えた |
10時30分頃 | 数回ミルクを与える行為をおこなったあとに10分後横向けにした |
10時50分頃 | 乳児の声がしなくなり、見に行ったら仰向けに寝ていた |
11時20分頃 | うつぶせになっていたので横向きに直した |
12時20分頃 | うつぶせ寝状態であり、体の温かみがあったものの、おでこの部分が紫色になっていた |
12時30分頃 | 親が迎えに来た際に乳児に異常がみられ、119番通報した |
保育園では乳幼児突然死症候群予防を目的として、定期的にあおむけに寝ているなどの項目を確認し、記録することが求められています。しかし、緑のすず乃保育園では亡くなった乳児を含めて、一時保育の園児に対し記録をしていませんでした。
参照:YAHOOニュース「那覇市の認可外保育園でうつぶせ寝にさせられた乳児の死亡事故 死因は窒息か 沖縄県外の医師が診断 県警が捜査」
保育園でのうつぶせ寝による死亡事故の法的責任は?
保育園でうつぶせ寝による死亡事故が発生した場合、保育園側に法的な責任が発生します。これは刑事・民事それぞれの責任が問われることとなります。
うつ伏せ寝が原因で窒息死と認定される場合、うつぶせ寝状態を放置していて不注意があったと判断されるかもしれません。保育園側に過失が認定されると、法的責任により多額の損害賠償責任を負わなければなりません。
一方、乳幼児突然死症候群による死亡と認定されるケースでは、保育園側に法的責任がないと判断されることもあります。保育園側に過失があることと、過失と死亡との因果関係の明確な場合は、法的責任が保育園にあると認定される可能性が高いです。
乳幼児のうつぶせ寝は危険!
乳幼児のうつぶせ寝は危険であることは理解されているものの、具体的にどのような危険性があるのかを把握しておくことが重要です。
ここからは、乳幼児のうつぶせ寝の危険性について詳しく解説します。
保育施設における死亡事故の6割超が睡眠中に起きている
こども家庭庁が公表した「令和4年教育・保育施設等における事故報告集計」によると、保育施設では 2,461件の事故が発生しています。ここでいう事故とは、死亡事故や治療に要する期間が30日以上もかかった負傷や疾病も指します。
令和4年に発生した死亡の報告は5件であり、件数としては前年と比べると横ばいです。また、近年の事故内容の内訳をみると乳幼児が保育施設において睡眠中に亡くなったケースは約6割を占めています。
うつぶせ寝以外の事故について詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
うつぶせ寝には乳幼児突然死症候群(SIDS)や窒息のリスクがある
乳幼児がうつぶせ寝すると、乳幼児突然死症候群や窒息するリスクがあります。乳幼児突然死症候群はSIDS(Sudden Infant Death Syndrome)とも呼ばれ、直前まで元気だった乳幼児が寝ている間に突然死亡してしまう病気のことです。
日本における乳幼児突然死症候群の発症頻度は、およそ6,000人から7,000人に1人といわれており、生後2ヶ月から6ヶ月のタイミングで多くみられます。乳幼児突然死症候群は仰向けでも発症するケースがありますが、うつぶせ寝の方がより発症リスクが高いといわれています。
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保育園におけるうつぶせ寝対策は?
保育園において、うつぶせ寝による事故を防止するためにさまざまな対応が求められます。また、同時に乳幼児突然死症候群に対する対応も必要となります。
保育園でできる対策として、以下の6つが有効です。
- 乳幼児が寝ているときは必ず近くで見守る
- 枕やクッション、タオルなどを近くに置かない
- 硬めのマットレスを使う
- 温めすぎたり厚着させたりするのは避ける
- 保護者とのコミュニケーションを欠かさない
各対策について、詳しく解説します。
乳幼児が寝ているときは必ず近くで見守る
うつぶせ寝の対策として、保育士は乳幼児が寝ている際に必ず近くで見守ることが重要です。うつぶせ寝による事故は、うつぶせ寝により肺が適切に機能できなくなり、窒息する事例が多くみられます。
もし、うつぶせで寝ようとしている乳幼児がいれば、仰向けに直すようにしましょう。
枕やクッション、タオルなどを近くに置かない
乳幼児を寝かせる際には、周辺に枕やタオル、クッションなどを置かないようにしましょう。近くにものを置いていけない理由として、寝返りをしたときに口を塞いでしまう可能性があること挙げられます。
バスタオルやシーツを使用しなければならない場合は、しっかりと敷き布団の下に入れ込み、寝返りをしても動かないようにすることが重要です。
硬めのマットレスを使う
乳幼児のお昼寝などで使用するマットレスは、基本的に硬めのものを使用しましょう。柔らかめのマットレスを使用すると、身体が沈み、呼吸しにくくなります。
適度な硬さのあるマットレスを使用することで、うつぶせ寝をした場合でも窒息するリスクを低減できます。
温めすぎたり厚着させたりするのは避ける
寒い時期にお昼寝する際には、乳幼児に布団などで温めすぎたり厚着させたりしないように注意してください。乳幼児は体温調節機能が未発達なため、汗をかいたり体温を下げたりするのに時間がかかります。
体を温めすぎると、乳幼児突然死症候群を発症するリスクが高くなるため、日頃から注意しましょう。
保護者とのコミュニケーションを欠かさない
保育園側としては乳幼児の保護者との間でコミュニケーションを取ることも、うつぶせ寝による死亡事故を防止するために重要です。乳幼児の家庭での様子や体調、睡眠時の癖などをヒアリングして、特徴を掴むようにしましょう。
また、保育園においての乳幼児の様子について、保護者に報告して連携を図ってください。これにより、ちょっとした変化にもお互い気づきやすくなります。
まとめ
乳幼児のうつぶせ寝による死亡事故は、中々後を絶ちません。保育施設側の過失により発生するケースもあり、適切な対応を図るだけでも十分防止できます。
また、乳幼児突然死症候群についてもうつぶせ寝を防止するなどの対応により、発症リスクを下げることは可能です。この記事で紹介した内容を参考にして、適切なうつぶせ寝対策を図ってください。
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