【人事担当者必見!】突然若手スタッフから「辞めます」と言われないためのポイント

目次

はじめに

現在の10代〜20代前半ぐらいの方は、いわゆる「Z世代」と呼ばれています。
幼保施設で働いている、或いはこれから働こうと考えている中心の世代が「Z世代」になりつつある中で、コミュニケーションの問題による離職を防ぐため、

この記事では、若手スタッフ(「主にZ世代」)の特徴や考え方を理解し、上司や役員のマネジメントを改善して、突然の離職を防ぐためのポイントについてご紹介します。

Z世代の特徴

Z世代は、生まれた時から周囲にデジタル製品がある状態でした(デジタルネイティブとも言われています)。
そのため、幼少期からスマートフォンに親しむだけでなく、使いこなすことで身につけたソーシャルネットワーキング力を持っています。

このような成育環境から、ライフスタイルや働き方に独自の価値観を有しているのがZ世代の特徴です。

Z世代には具体的に、下記のような特徴があります。

・情報収集は主にSNSやYouTube、10代はTiktok
・社会問題への関心が高く、企業にも求める傾向がある
・何をするかも重要だが、誰と一緒にするかが重要
・ワークライフバランスを重視する
・多様性を大事にする
・仲間を大事にして、競争を避ける
・無駄なことはしない。コスパ、タイパ(タイムパフォーマンス)が大事
・他人から自分がどう見られているかを気にする

上司や役員は、この価値観を理解しておくことが重要です。

(以下の記事でも採用に関してのZ世代の特徴をご紹介していますので、是非参考にしてみてください:内部リンク)

Z世代は本当にすぐに離職するのか

近年、「最近の若者は突然辞める」という声がよく聞かれますが、果たして本当でしょうか。
新卒は3年で3割辞める、という話は、幼保業界に限らず一般企業でも聞かれる話です。
ただ、ひと昔以上前からずっとこのセリフは言われ続けているようにも思われます。

実際に、厚生労働省発表の新卒者の離職状況データをみると、31.5%の新卒者が3年で離職するという結果が出ています。

この結果を見ると、30年前と変わらない水準であることが分かります。
入社後3年というスパンで見ると、最近の若者がすぐ辞めるという話は思い込みということになります。
にも関わらず、なぜ突然辞める、という声が途絶えないのか、退職を伝えるタイミングの変化にポイントがあります。

エン・ジャパン社が行ったアンケートによると、
25歳以下の約4割弱が、退職を決めたタイミングで理由とともに職場に伝えるという結果が出ています。

アンケートの結果から、事前に悩みを相談せずに転職活動を行って、辞めることを決めてから、職場に伝えるということが分かります。

この状態では、悩みを解決して離職を思いとどまってもらう、という手は打てません。管理する側からはダメージの大きい離職となり、突然辞めてしまった、という印象が強く残るのではないかと考えられます。

そこで、管理する上司や役員は、Z世代の悩みを察知して、辞めますという宣言の前に対策することが重要です。
そのためにはZ世代の考え方や行動原理を理解して、歩み寄る必要があります。

仕事の場面におけるZ世代と上司の言い分の違い

具体的にどのような場面で、Z世代と管理側の食い違いが生まれてしまうのでしょうか。
上の世代が良かれと思ってしたことが、「やってられない」となってしまう不幸な状況が生まれる場合の具体例をご紹介します。

ケース1「全社ミーティングでの過剰な賞賛」

入社1年目のAさんに対して、保育について保護者から感謝の言葉が本部に届きました。
本部のマネージャーは、全体ミーティングの席で、Aさんを皆の前に出るように促して、一言求めます。
Aさんはすみませんと恐縮しきりで、居心地が悪そうに今後も頑張ります、と述べて、最後にもすみませんと言いながら自席に戻りました。

本部マネージャーはAさんの謙遜度合いをみて、もっと盛り上げて自信をつけてもらいたいと考えました。

このケースでのマネージャーの考え

・最近の若者は承認欲求が強いから褒めて伸ばしてあげたい
・ご褒美こそがモチベーションで、自信がつけばもっと成長してくれる
・Aさんがバリバリ頑張れば、他のスタッフにも活気が出る

Aさんの考え

・嬉しくないことはないけど、大げさすぎて、自分だけいい子ちゃんみたいに思われないか心配
・人間関係が大切な職場なのに、さらに先輩方に気を遣わないといけない。

このようなすれ違いが起きているかもしれません。
Z世代はSNSでの処世術を持っています。身内から小さく褒められることは嬉しいですが、過剰に褒められて出る杭になっては叩かれてしまう、という不安も常に抱えています。

ケース2「自分で考えてやってみよう」

新人のBさんと教育係になった主任のケースです。
主任の入社当時は、丁寧に仕事を教えてもらえるようなことはなく、基本的に先輩について、見て覚える、というやり方でした。この姿勢が足りないのではないかと日頃から思っています。

新人のBさんに、新しい行事の企画出しをお願いしたところ、どう提出したら良いかわからない、何か以前のテンプレはないかと聞かれました。
特に形はないし、まずは簡単に自分で考えて作ってみて欲しいと伝えて、Bさんは不安な顔で承諾しました。

このケースでの主任の考え

・最近の若者はとにかく答えを知りたがる。育てていくのが仕事だからなるべく考えさせようとしている。
・言われた通りのことにはやりがいがないと感じるのに、考えて欲しいと言ったらテンプレが欲しいという。Bさんがどうしたいのかよく分からない。

このケースでのBさんの考え

・答えがあるならまず参考にするほうが無駄がなくて良い。
・考えて提出しても結局修正されて主任の意見になるなら、その間の時間と手間が無駄。
・考えることが大切なのは分かるが、テンプレを使わないこととは違う。

このようなすれ違いが生まれている可能性があります。
教育する側は、考えることに価値を見出し、新人は成果を出すことに価値を見出しているから生まれる食い違い。お互いに良かれと思っているのに、これで関係が悪くなるのは勿体無いことです。

Z世代の職員とのコミュニケーションの3つのポイント

上記の例のように、Z世代の特徴は、「縦の社会が苦手で、常に周りから見える自分を気にしていて、超合理的」なところに集約されます。
では、どのようにコミュニケーションをとっていけば良いのでしょうか。

ポイントは3つ。

・上から目線ではなくフラットな目線で接する
・一人ひとりを意識した個人レベルに合わせて対応する
・見ているよ、ということを意識したレスポンスの重要性

縦の社会が苦手なので、横から目線の会話が大切で、むしろ若者を主役にするようなファシリテーションの思考が求められます。
また、周囲への共感と自意識のバランスを取るために、日頃から気遣いをしていることに対しての理解と寄り添いが大切です。
そして、超合理的な側面と、承認欲求を満たすためにも、常に見ているよ、という意味での素早いレスポンスは極めて重要なコミュニケーションになります。

この3つのポイントに、一般的なマネジメントのセオリーである、

1.関係構築
2.共感し、心理的安全を提供する
3.モチベーションに火をつける

という要素を加味して考えることで、Z世代と上手にコミュニケーションを取る方法が見えてきます。

以下にポイントを列挙します。

・コミュニケーションの「質より量」を意識する
・名前を呼ぶことを意識する
・常に気にかけていることを伝える
・ベストな回答より、まずは一言でも即返事をしておく
・自分では気づいていないけど、他人に見えている自分を発見してあげる
・ちょっとした褒め、ちょっとした感謝をこまめに
・叱るときはルールをぶらさずフラットに、その後フォローをする
・結論ではなく、感想を聞くことでアウトプットさせる
・「目的を共有」して、役に立っていることを感じながらやらせる
・仕事を任せるときは8割テンプレ、2割余白のバランスで
・フィードバックは分かりやすく

上記のような点を意識するだけでも、Z世代とのコミュニケーションは大幅に改善されます。
是非少しずつ始めてみてはいかがでしょうか。

離職を防ぐには定期的な声かけと面談が効果的

上述のポイントにも挙げましたが、Z世代に限らず、スタッフの離職を防ぐには、定期的な声かけと面談が効果的です。

マネージャーが面談をするにあたってのポイントやコツをまとめていますので、こちらの記事も是非参考にしてみてください。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
Z世代と聞いて、どう接して良いか分からないと感じていた管理者世代もこの記事を参考に、是非積極的にコミュニケーションを取ってみてください。

少しずつ実行することで、相互に理解が深まり、コミュニケーションが改善していくことを実感できるかもしれません。
そうなれば、突然の離職の前に、悩みを相談してくれたり、逆に先に察知して、対応することができるようになります。

少しでもこの記事が参考になれば幸いです。

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この記事を書いた人

株式会社シェンゲン執行役員、人事責任者
「保育のカタチ」事業責任者、採用支援コンサルタント

前職ではリクルートの代理店にて、7年間1,000社以上の採用支援を担当。シェンゲン入社後は、幼保業界の「人」に関する問題解決に特化した専門家集団「保育のカタチ」を立ち上げ、事業責任者として従事。

保育園の統括マネージャーとして運営にかかわりつつ、保育士転職サービスでのキャリアサポートや、保育園への採用コンサルタントも行う。

採用活動を内製化する伴走型の採用支援や保育士向けの研修、紹介予定派遣などのサービスを公共機関や幼保施設の運営法人に向けて提供中。祖母、母、妹が保育士という保育士一家で育った。

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