【人事担当者必見!】幼保施設のチームビルディングのポイント

目次

はじめに

チームビルディングという言葉を聞いたことがありますか?
研修などでも取り入れられているように、人材育成の一つの手法として、チームを育成していく方法です。

私たちが活動する中でも、幼保施設のスタッフに対して、研修を行いたい、と考えている経営者の声を耳にする機会が増えてきました。

しかし、スタッフに対して積極的に研修を施している園の数はまだまだ少ないというのが印象です。

では、なぜ研修をすることができないのでしょうか。

・現場のメンバーがまとまって時間を取れる機会がない
・研修の効果はすぐに出づらい
・幼保施設は営業などと違って、明確に売上などの数字に現れない
・予算が取れない

など、主にお金や時間に対しての効果に疑問を感じている声が多いように感じられます。

この記事では、幼保施設のチームビルディングのメリットと、実際に生まれる費用対効果についてご紹介していきます。

チームビルディングとチームワークの違い

チームワークについてはよく聞かれる言葉ですが、チームビルディングとの違いは何でしょうか。
チームワークは、既に行っている仕事や活動を成功させるための、メンバーの団結力や連携、協力体制のことです。

これに対して、チームビルディングとは、チームにいるメンバーが達成すべき目標に対して、関係を創っていくことです。

業務遂行に対して焦点を当てているのがチームワーク、目標達成に対して焦点を当てているのがチームビルディングと考えていただけると分かりやすいでしょうか。

チームビルディングで目指すべきチームの姿は、
「各自の強みをお互いが活かし合い、弱みを補い合うチーム」です。

このチームができるとどのようなことが起きるのか、
どのようにこのチームを作っていくのか、をご紹介していきます。

チームビルディングがうまくいくと起きるメリット

チームビルディングには、ただのチーム作りではない、人材育成の要素があります。
人材育成において重要な視点は、「人はすぐには変われない」ということ。つまり、中長期の視点を持って実行するものであるということです。

中長期の視点を持って、「行動を継続する仕組み」を作っていくことで、成長を促していくということが重要です。

では、チームビルディングがうまくいくと、どのようなメリットがあるのでしょうか。

意思決定と伝達、行動のスピードアップ

各個人の強みと弱みをお互いが認識して理解すると、自分の役割やポジションが明確になります。そして、チームに対しての帰属意識が生まれ、心理的安全性が高まります。

そうすると、各自が自律的に動き出すようになります。
コミュニケーションに積極性が生まれ、情報伝達が早くなり、相談し合うことが増えるので、意思決定と行動がスピードアップします。

新メンバーの即戦力化

チームビルディングによって、「各個人がお互いの強みを活かし合う」ことができるようになると、新しく入ったメンバーに対しても同様のことが起きるようになります。

新メンバーも心理的安全性の高い中で仕事ができるので、良い循環の中で成長をすることができるようになります。

すなわち、即戦力に育つようになります。

園のスタッフが育つ風土ができあがる

このチームが園内に複数できるようになると、園にとっても「それが当たり前、当然」という風土ができあがります。

この風土ができあがることで、勝手にスタッフが成長し、園がどんどんと成長していくことにつながります。

チームビルディングの要素

それでは、チームを作っていくためにどのような要素が必要なのでしょうか。
以下の3つの要素が必要です。

・人材力
・組織力
・関係力

この3つの要素について、ご紹介していきます。

人材力

では、人材力とはどのようなことでしょうか。
以下の要素について考えてみてください。

・メンバーそれぞれの強み、弱みは何か
・それぞれの思考や行動の特徴は何か
・どんな配置や仕事がそれぞれにとって最適か
・今、自分達のチームに必要な人材はどのような人か

上記の問いに答えられない、
あるいは、上記を仕事のできるできない、という評価の軸で考えている、
という状況であれば、改善が必要です。

お互いに理解を深めた上で、能力を最大限に発揮するにはどうしたら良いか、チームとして強みを活かしあって弱みを補い合うという状態に持っていくためにマインドを変更するところから始めてみましょう。

組織力

組織力とは、組織の理念やビジョンと、スタッフ一人ひとりのミッションを結びつけて、組織の目的達成に向かって動けるチーム作りをすることです。

それぞれの強みを理解しても、何のためにその強みを活かすのか、使うのかが共有されていなければ、チームとして機能する度合いが弱まってしまいます。

方法論の違いに摩擦が生じて、本来の目的を見失ってしまう状態に陥ってしまいます。

関係力

関係力とは、チームのメンバーのモチベーションと能力を引き出すためのコミュニケーションの取り方を学んで、現場を現実的に活性化させるスキルを身につけることです。

組織力の項目で、何のために強みを活かしていくのか、を共有、すり合わせることが目標達成には重要だと述べました。
では、どうすれば実現できるのかという点につき、重要になってくるのがメンバー間の話し合いです。

チームビルディングの過程において、メンバー間のコミュニケーションは避けて通れません。
本音で話し合えるコミュニケーションの取り方を学び、実践することが特に重要です。

コミュニケーションの取り方にはこのような手法が有効です。


それぞれの脳の個性を理解する(ハーマンモデル)

チームメンバー一人ひとりの強みを理解する上で、世の中にはさまざまな検査方法が存在します。
その中でも、多種多様な企業において活用されている、ハーマンモデルについてご紹介します。
ハーマンモデルとは、一人ひとり違う「利き脳」の割合を測定し、どのような思考パターンを持ちやすいか、どのようなパターン同士が相性が良いか、を見極めることができるツールです。

ハーマンモデルについては、下記の記事で解説していますので、是非参考にしてみてください。

このハーマンモデルを理解することで、自身の考え方の傾向と、メンバーの傾向を把握できれば、強みを活かし弱みを補うことに役立ちます。

チームビルディングの実践方法

このチームビルディングを、研修だけで行っても、なかなか実際の業務には反映しづらい、という懸念があるかもしれません。

そこで、チームビルディングの要素を、実際の仕事の中で行う、という方法がおすすめです。

一つの仕事やプロジェクトに対して、

1.メンバー選び(人材力)
2.チーム作り(組織力)
3.コミュニケーション(関係力)

の要素を入れながら、実際の仕事を通じてチームを作っていけば、研修をする時間がない、研修にする時間を使うなら日常の業務に、という問題点が解決できます。

例えば、園で新しくイベントを立ち上げるというプロジェクトを行うことを考えると、

1.プロジェクトメンバー選び:誰にどんな強みがあるのかを把握
2.プロジェクトチームの組織作り:プロジェクトの目的、目標に対して、どのような役割分担を行って、どのような仕組みで達成していくのか
3.プロジェクトチームの日々の関係構築:目標達成のためにはどのようなコミュニケーションを取る必要があるのか

などの要素から、行動→改善→行動の仕組みを作っていくことが重要です。

注意点(途中に起きる過程を理解して、諦めないで続ける)

チームビルディングを行っていく中で、

・本音のぶつかり合いは関係性が壊れるのでは
・チームが空中分解してしまうのでは
・人間関係が崩壊し、人格攻撃につながってしまう
・関係性が壊れたら、研修など本末転倒

というような声が出てくることもあります。

人間は元々変化を嫌う生き物です。
チームごと変化の過程にいる中ではなおさらです。

そこで、事前に全員が理解しておく必要のある注意点があります。
それが、チームビルディングを行う際にたどる変化の過程です。

もし何か起きた時に、この過程に立ち返ることができれば、今自分達のチームに起きていることを理解することができます。

そうすれば、冷静に対処することが可能です。
以下にその過程をご紹介します。

チームが発展していくまでに通る過程(タックマンモデル)

この過程には、タックマンモデルという名前がついています。

チームがチームになるまでにたどる発展段階を4つに分けて、コミュニケーションとメンバーの関係が理解できるモデルです。

「形成」の段階

メンバーが集まって、関係性ができてくるとこの段階になります。
新しいことが始まる期待感と、お互いについては深く知らないので、核心に触れないようなことから話が始まり、徐々にコミュニケーションが取れるようになっていきます。

「嵐」の段階

コミュニケーションが取れるようになってくると、それぞれの考え方を発信できるようになります。
そしてその中で、それぞれの「違い」が明らかになり、「不安」が高まる段階です。

本音や意見を言うことで「衝突」が生まれたり、逆に本音や意見を言うことを控えるようになります。

メンバーには不安が充満しており、体裁はあるものの、チームとしては機能していないという段階です。

「秩序」の段階

意見が衝突した時の対処方法や、本音を引き出すためのコミュニケーションなど、関わり合いの中での約束事、物事を生産的に進めるやり方や役割分担などが確立されていきます。

この段階にきて、メンバーの心に希望の光が見え始めます。

「成果」の段階

チームが成果に向けて機能している状態です。
これまでの段階を経て、それぞれがお互いの理解を深め、自分自身に与えられた役割を理解しています。
心理的安全性が高まり、お互いを助け合うことで団結力と一体感が生まれ、それぞれのリーダーシップを発揮しながら成果に向けて動いています。

このような過程をたどることが最初からわかっていれば、チームが空中分解するのではないか、チームビルディングに力を入れたとしても成果が出ないのではないか、という不安を払拭することができます。

そのために重要なポイントは、「リーダー」がこの過程を超えて、成果を必ず出す、という信念を持っていること。

テクニカルな情報をお伝えしてきましたが、困難な局面に対しては、必ず成果を出す、という情熱、マインドの部分も必要です。この情熱をどう伝えるか、については、コミュニケーションの中で伝えることが重要です。

コミュニケーションの方法を具体的にまとめた記事がありますので、
こちらも参考にしてみてください。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
今回は幼保施設のチームビルディングについて、基礎的な知識をご紹介しました。
具体的にどのようにチーム作りをしていくかについては、
以下の記事を参考にしてみてください。

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この記事を書いた人

株式会社シェンゲン執行役員、人事責任者
「保育のカタチ」事業責任者、採用支援コンサルタント

前職ではリクルートの代理店にて、7年間1,000社以上の採用支援を担当。シェンゲン入社後は、幼保業界の「人」に関する問題解決に特化した専門家集団「保育のカタチ」を立ち上げ、事業責任者として従事。

保育園の統括マネージャーとして運営にかかわりつつ、保育士転職サービスでのキャリアサポートや、保育園への採用コンサルタントも行う。

採用活動を内製化する伴走型の採用支援や保育士向けの研修、紹介予定派遣などのサービスを公共機関や幼保施設の運営法人に向けて提供中。祖母、母、妹が保育士という保育士一家で育った。

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