保育園での安全管理は、子どもたちの健やかな成長を支えるために欠かせない要素です。しかし、どれほど注意を払っていても、予期せぬ怪我が発生することがあります。
この記事では、子どもが怪我をした際の保育園の対応マニュアルについて詳しく解説します。
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引用元:保育のカタチ
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保育園で子どもが怪我をするよくあるケース
保育園で子どもたちが怪我をするケースにはさまざまなシチュエーションがありますが、以下のケースがよくみられます。
- 走り回って転ぶ
- 遊具から落下する
- 子ども同士が喧嘩した
- 誤飲やアレルギー食品を飲食した
子どもたちは元気いっぱいで、走り回るのが大好きです。しかし、勢い余って転んでしまったり、遊具から落下したり、けんかをしてつまづいてしまうことがあります。転倒による擦り傷や打撲は日常的な怪我ですが、頭を打った場合や大きな衝撃があった場合には、適切な対応が必要です。
また、子どもは好奇心旺盛で、何でも口に入れたがるため、誤飲やアレルギー食品の摂取という重大な事故が発生することもあります。誤飲防止のためには小さな部品のある玩具を避け、アレルギー対策には徹底した食材管理が必要です。
保育園で起こりやすい事故については、下記の記事もご覧ください。
子どもが怪我をした際の保育園の対応マニュアル
ここからは、子どもが怪我をした際の保育園の対応マニュアルを紹介します。基本的に以下のマニュアルに沿って対処していきましょう。
- 応急措置をする
- 園長先生や主任に報告する
- 必要ならば病院医連れて行く
- 保護者に報告しお詫びする
それぞれの項目について、詳しく見ていきましょう。
①応急措置をする
けがをしたら、下記のような応急処置を行います。
擦り傷 | 1. 傷口を清潔な流水で洗う 2. 消毒液で消毒 3. 乾いた清潔なガーゼや絆創膏で覆う 4. 必要に応じて医師に相談 |
鼻血 | 1. 子どもを座らせる 2. 頭を前に傾ける(仰向けにしない) 3. 鼻の柔らかい部分を指で5~10分押さえる 4. 30分以上止まらない場合は医師に相談 |
口の外傷 | 1. 傷口を清潔な流水で洗う 2. 傷が深い場合はガーゼで圧迫止血 ※ 顔の下にボールを置いておく 3. 腫れがひどい、10分以上出血が止まらない場合は医師に相談 |
頭を打った | 1. 直後は安静にさせる 2. 出血がある場合は、ガーゼを当てて強く圧迫。意識がない・ショック状態のときには救急車を要請 3. 意識がある場合、静かに30分以上寝かせ、嘔吐、意識障害、異常行動がないか観察 4. 保護者に頭を打ったことを伝え、異常がみられる場合や心配な場合はすぐに医師に相談。頭を打ってから48時間程度は子どもの様子を観察する |
子どもが泣いている場合や保育士が1人では対応しきれない場合は、応援を呼ぶことをおすすめします。
②園長先生や主任に報告する
子どもが怪我をしたら、小さなケガであっても、すぐに園長先生や主任に知らせる必要があります。
以下の内容を伝えられるよう、職員全員で共有しておきましょう。
- 子どもの名前
- 怪我をした場所(例:園庭、教室)
- 時間(例:何時何分に怪我をしたか)
- どのような状況で怪我をしたか(転んだ、ぶつかったなど)
- 実施した応急処置の詳細(洗浄、消毒、止血など)
③必要ならば病院へ連れて行く
怪我の程度がひどい場合や異常がみられる場合は、速やかに病院へ連れて行きましょう。子どもの怪我がひどい場合や異常がある場合、すぐに保護者に電話して状況を詳細に伝えます。そのうえで、園長や副主任を交えて、急を要するかどうかを判断します。
万が一、重篤な場合はすぐに119番に電話して救急車を呼びましょう。軽度な場合は、必要に応じて保護者と相談したうえでかかりつけ医で診てもらうように手配します。
④保護者に報告しお詫びする
最後に、保護者に報告しお詫びしましょう。以下にケース別のお詫び・報告方法を記載します。
1. 生活の中で起きた軽い怪我の場合
報告内容
- どのような状況で怪我が発生したのか(具体的なシーンや流れ)
- 怪我の部位と程度(例:小さな切り傷、軽い打撲など)
- 応急処置の内容(例:洗浄、消毒、絆創膏の貼付けなど)
- その後の子どもの様子(普通に遊んでいる、機嫌が良いなど)
報告方法
- 口頭報告:お迎え時にお伝えする。
- 連絡帳での報告
2. 園児同士の喧嘩が原因の場合
報告内容
- どの場面で喧嘩が始まったのか(具体的なきっかけや経緯)
- 喧嘩の内容(どのようにして怪我またはトラブルが発生したか)
- 怪我の部位と程度(例:小さな噛み傷、軽い打撲など)
- 応急処置の内容
- その後の子どもの様子
- 再発防止のための対応策(例:話し合いを行った、見守りを強化するなど)
報告方法
- 口頭報告: お迎え時に詳細にお伝えする。
- 電話報告: 場合によっては緊急度が高いと判断される場合、当日中に電話で報告する
3. 継続して医療機関に通院が必要な場合
報告内容
- 怪我や症状の詳細と経緯(起きた場面、状況、どのように発生したか)
- 応急処置の内容および医療機関での検査結果
- 応急処置の内容、今後の治療や通院の必要があるか
- その後の子どもの様子
報告方法
- 電話報告: すぐに電話で報告する
- 口頭報告: お迎え時に詳細にお伝えする。
保育園や自治体で保険に加入している場合、継続的な医療受診にかかる診療費の詳細や費用の申請手続きについて伝えましょう。怪我の状態が安定し、保護者の気持ちも落ち着いた頃に、保育士が保険申請書の記入方法や手続きについて丁寧に案内することで、保護者の信頼と安心感を得られます。
保護者への報告はいつすれば良い?
保護者への報告は小さな傷や軽い打撲であったとしても、保育士が判断せずに必ずすぐに行うように徹底しましょう。
ただ、報告の必要性は上長の判断に従いますが、小さな怪我ごとに電話をすると保護者が忙しい場合には迷惑をかけることがあります。以下のような状況では、電話での報告を控え、お迎え時や連絡帳で伝えましょう。
- 園内での処置のみで対応できる軽い切り傷やすり傷、手足の打撲
- 子どもがその後、問題なく活動や食事を続けている場合
一方、以下のようなケースでは、保護者に電話で報告することが望ましいです。
- やけどや捻挫などの重大な怪我、頭部打撲や顔周りの傷跡が残りそうな怪我
- 怪我の後に体調不良などの異変がみられる場合
- 医療機関(かかりつけ医や救急)にかかった場合
保護者から「すぐに迎えに行く」「医療機関へ連れて行ってほしい」などと指示があれば、その指示に従い、迅速に対応しましょう。
【保育園での怪我】保護者対応での注意点
保育園での怪我は、どれほど注意しても避けられない場合があります。しかし、その際の保護者対応が適切でないと、保護者の信頼を損なうことになります。
ここでは、保育園での怪我に対する保護者への対応で注意すべきポイントについて解説します。
平謝りをしない
怪我が発生した際に気をつけたいのが「平謝りをしない」という点です。もちろん、謝罪の気持ちは大切ですが、ただひたすらに謝罪するだけでは保護者に不安を与えてしまいます。
謝罪の際は、具体的な状況や対応策についてもあわせて伝えることが重要です。たとえば、「〇〇の場面で△△の怪我が発生しました。すぐに応急処置を行い、現在も観察を続けています。」という形で具体的な情報を提供しつつ謝罪することで、保護者も安心できます。
原因や状況を曖昧にしない
保護者に対して報告する際、怪我の原因や状況を曖昧にせず、はっきりと伝えることが大切です。
保護者は子どもがどのような状況で怪我をしたのかを知りたがっています。たとえば「遊具で遊んでいる最中に滑って転んでしまいました」など、具体的なシチュエーションを伝えることで保護者の不安を軽減することができます。
曖昧な説明は、園に対する信頼を損なう可能性もあるため注意しましょう。
園児や職員個人のせいにしない
怪我の原因を園児や職員個人のせいにすることは避けましょう。大切なのは、保育園全体としてどのように対応し、再発防止策をどのように講じるかを強調することです。
たとえば、「全職員で再発防止策を検討し、遊具の使い方について改めて指導を行います」といった形で、具体的な対応策を伝えると良いでしょう。
今後の対応を必ず提示する
最後に、怪我が発生した後の対応策をしっかりと提示することが重要です。保護者は、今後同じような怪我が起こらないようにするために、保育園が具体的にどのような措置を取る予定なのかを知りたがっています。
そのため、今後同様の怪我を防ぐための具体的な対策を伝ることが重要です。さらに、翌日からも子どもと保護者双方に怪我の状態や家庭での様子を確認することを忘れずに行いましょう。これにより、保護者に対して「気にかけている」という姿勢を示すことができます。
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保育園で子どもの怪我を未然に防ぐ方法
保育園では、子どもたちが安全に過ごせる環境をつくることが重要です。しかし、動き回る子どもたちが多い保育園では、怪我のリスクが付きものです。
ここでは、保育園で子どもの怪我を未然に防ぐための具体的な方法について解説します。
怪我が起こりやすい場所を特定する
最初に重要なのは、園内で怪我が起こりやすい場所を特定することです。遊具が多い場所や子どもたちが頻繁に行き来する場所、段差や階段などの転倒リスクが高い場所など、怪我をしやすい場所をピックアップしましょう。怪我をするリスクがあるエリアを把握することで、怪我を防ぐための具体的な対策をすることができるようになります。
安全対策の一例として、「遊具の周りには安全マットを配置して滑り止めの施工を行う」「段差や階段には手すりを設置する」「ガラス窓には飛散防止フィルムを貼る」などが挙げられます。また、定期的に設備の点検を行い、破損や故障がないかを確認することも必要です。
ヒヤリハットを共有する
ヒヤリハットとは、重大な事故には至らなかったものの、ヒヤッとするような出来事を指します。ヒヤリハットを全職員で共有することで、事故を未然に防ぐための意識を高めることができます。
「子どもが机の角に頭をぶつけそうになった」「遊具のうえでバランスを崩しそうになった」などの具体的な事例を定期的に話し合い、情報共有の機会を設けると良いでしょう。
さらに、ヒヤリハット報告書を作成してデータベースとして蓄積していくことで、継続的な安全管理にも役立てられるでしょう。
保育園におけるヒヤリハットの事例を知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
子どもから先生が目を離さない
保育園での安全確保の基本は、常に子どもたちと先生が近くにいることです。先生たちが子どもたちと近くにいることで、危険を察知しやすく、迅速に対処できます。
遊具を使う際や園庭での遊び時間は、目を離さないように注意を払い、常に視界に入れておきましょう。
外部研修で安全知識を深める
先生たちが外部研修を通じて、安全に関する知識とスキルを深めることも重要です。専門家による講習やワークショップに参加することで、最新の安全対策や応急処置の方法を学べます。
これにより、保育園内での事故を未然に防ぎ、万が一の事態にも迅速かつ適切に対応できるようになるでしょう。さらに、新しいスタッフが加入した際にも、定期的に研修を行い、先生たちのスキルを向上させることが大切です。
まとめ
保育園で子どもが怪我をした際の適切な対応は、子どもたちの安全と保護者の信頼を守るために非常に重要です。
怪我が発生した際は迅速に適切な応急処置を行い、その後速やかに保護者に連絡しましょう。保護者対応では、誠実な説明と安心感を提供するためのコミュニケーションを心がけてください。また、定期的な安全チェックと事故予防の研修を通じて、日々の保育活動において子どもの安全を最優先に考える文化を育むことも大切です。
保育園全体で高い安全意識を持ち、日々の業務に取り組んでいきましょう。
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引用元:保育のカタチ
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