保育士のストライキがここ数年で急激に増加し、ニュースでも取り上げられるようになりました。保育士不足や給料の低さは近年の保育業界の課題であり、問題改善がなされていない園も多いのが現状です。
ここ数年、コロナウイルス感染対策による業務が増え、休園中の休業補償の未払いなど問題が増えました。ストライキにならないようにするためには、事前に対処することが大切です。
この記事では、保育士がストライキを起こした場合の園側の対処法や予防策などを詳しく解説します。
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保育士の採用をするなら保育のカタチがおすすめ
引用元:保育のカタチ
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保育士がストライキを起こす理由
保育士がストライキを起こす理由として、以下の3つが挙げられます。
- 給料の低さや未払い
- 人員不足
- 人間関係や不当な扱い
保育士は何かしら不満があり、問題解決のためにストライキを起こします。理由の中で最も多いのは、給料の低さなどお金に関わることです。
保育士がストライキを起こす理由を把握し、事前に防ぎましょう。
過去に起こった保育園のストライキ事例
ここ数年、全国の保育園ではストライキが相次いでいます。中にも、労働組合に加入して園側に対し団体交渉を行うなど、ストライキ寸前のケースも多数あります。
では、実際にストライキが起こった保育園を紹介します。
こころグループの保育園
首都圏で認可保育園・東京都認証保育園を26園経営するこころグループの保育園では、園長が経営会社に職員の全額の休業補償を求めたストライキを起こしました。
コロナウイルスでの休園期間中、パート勤務の保育士に対しては6割しか休業補償を支払わず、保育資格のない職員に対しては休業補償を払わなかったのです。園長は、職員の全額の休業補償を要求しました。
会社に要求を出していた園長は、休園期間が開ける直前に園長職務からおろされ、年度途中の移動を命じられたことにより、保育業界で働く人の労災組合の介護・保育ユニオンに加入してストライキに踏み切っています。
小金井なないろ保育園
小金井市内にある私立認可保育所「小金井なないろ保育園」では、保育士が13人中9人出勤をしないというストライキを起こしました。
人員不足で休憩が取れないなど園長への不満が相次いだことや、設備修繕の要求に対応しなかったことなどがきっかけでストライキが発生しました。
横浜市の認可保育園
横浜市鶴見区の認可保育園では、休業補償をめぐり保育士2名が90日間連続のストライキを起こしました。
コロナウイルス感染対策での登園自粛要請後、園児は1日1~2名のみに減少し正社員の保育士は全員出勤を指示されました。抗議したところ一部在宅勤務が認められましたが、在宅勤務時の給与は全額支払われなかったのです。
保育士たちは労動組合の介護・保育ユニオンに加入し、登園児が少ない場合の出勤削減と全額の休業補償、事前に説明が無い年度途中の移動の撤回などを理由にストライキを起こしました。
三鷹市の認可保育園
東京都三鷹市の認可保育園では、保育士や調理師など10名以上が保育環境と労働条件の改善を求めて、ストライキを起こしました。
この保育園では、退職者が相次いだり精神疾患などを理由に休職となった職員も数名いたりしました。人手不足や園長の人間トラブル・賃金未払い・設備不良など、保育園で働き続けるには多くの問題があり、改善を求めたのです。
労働組合の介護・保育ユニオンに加入し、経営会社に保育環境と労働条件の改善を求めて団体交渉を行いました。
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ストライキを予防するために園側ができること
ストライキを予防するためには、日ごろから保育職員の意見に耳を傾けることが大切です。
ここからは、いくつか園側ができるストライキの予防策を5つ紹介します。
労働環境・労働条件の改善
ストライキを起こす理由の1つが、労働環境や労働条件のため、改善に努めることでストライキを防げます。
保育士の業務は負担が大きく、拘束時間も長くなりがちです。保育士不足によって時間外労働、持ち帰り残業をしていることも多く、業務負担が大きくなっています。
持ち帰り仕事について実態を把握したり・拘束時間を短くしたりすることでストライキを防げるでしょう。
福利厚生の向上
ストライキを防ぐために、福利厚生の向上に努めることも重要です。保育士は、給料の低さがきっかけで転職する人も多くいます。
制服の支給や交通費手当の支給・家賃補償・予防接種費用の補助・給食費の無料化など、健康保険や年金以外の制度も導入すると良いでしょう。
手厚い待遇やサービスを受けられると、金銭的な負担が軽減され、ストライキへつながりにくくなります。
ICT化で業務負担を減らす
3つ目の対策として紹介するのは、ICTシステムの活用です。ICTシステムとは情報通信技術のことで、インターネットを通じて人と人、人とモノをつなぐコミュニケーションシステムです。
園児や職員の出欠管理・保育日誌の作成・おたよりの配布・自治体への提出書類の作成をサポート・園児の個人情報管理など、さまざまな事務作業の効率化が期待できます。
保育士の業務負担もストライキの要因となります。そのため、ICTを導入することにより、事務作業などを効率よく行えることから、保育士の業務負担が軽減できます。
ICTについて詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
保育士の不満に気づける環境を作る
ストライキを防ぐための対策として、保育士の不満に気づける環境を作ることも有効です。不満がある場合に意見を聞いても、中々本音を言わない方も多いです。
普段から職員面談を実施し、保育士との関係を築いておくと不満も気づけるでしょう。そのほかにも、アンケートや意見箱などを使って匿名で意見を集めるなど、言いづらさに配慮した環境を作るのも良いでしょう。
職員面談について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
保育士とコミュニケーションを取る
保育士の不満を気付くためには、コミュニケーションも大切になってきます。
相手の意見を受け入れ尊重することで、上手くコミュニケーションが取れるようになります。また、感謝や労いの言葉をかけ相手を気にかけることで、距離を縮めて信頼関係を築くことが可能です。
普段から、保育士とのコミュニケーションを意識し、良い関係を作り上げておきましょう。
保育士がストライキを起こしたときの対処法
実際にストライキが起こったら、保育園はどのように対処したら良いか気になる方もいるでしょう。
ここからは、ストライキを起こしたときの対処法について解説します。
団体交渉で解決法を探る
ストライキが起こった場合は、団体交渉で解決法を探るようにしましょう。ストライキは労働組合に加入して行う場合が多いため、労働組合と団体交渉を行う必要があります。
団体交渉では、保育士の要望を聞いて問題を改善する姿勢が大切です。できるだけ早く問題解決を図りましょう。
また、ストライキによる損害を広げないためにも、話し合いの中で解決策を見つけることが重要です。
第三者機関へ相談をする
団体交渉を行っても解決できない場合は、第三者機関へ相談するのも1つの方法です。
第三者機関の労働委員会では、あっせんや調停・仲裁・労働行政機関への相談など、問題を解決するための援助を行ってくれます。
損害賠償請求や不当労働行為は行わない
ストライキに正当性がある場合は、労働組合法にて以下のように定められています。
- ストライキによって生じた損害は、損害賠償を請求できない
- ストライキを理由に解雇やストライキの強制中止などの不当労働行為はできない
労働組合ではストライキを行う権利が保障されており、正当性のあるストライキは罰することができません。損害賠償請求や不当労働行為は、園側が刑事罰にあたる可能性が高いため、行わないようにしましょう。
しかし、不当なストライキに対しては損害賠償請求や告発・懲戒解雇を行うことが可能です。
まとめ
この記事では、保育士がストライキを起こした場合の園側の対処法や予防策など詳しく解説しました。ストライキはどこの園でも起こりうる問題です。
保育園側は、ストライキを起きないように未然に防ぐことが大切です。しっかりと保育士の意見を聞き入れて、不満を減らす努力を行い、適切なコミュニケーションを図ることでストライキを防げるでしょう。
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