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はじめに
新卒や、中途採用の方が多く入職される4月。
幼保施設では同時に新年度が始まります。
新年度の開始によって現場は大忙しの中、新入社員に対してしっかりとしたコミュニケーションが取れずに早期離職してしまう、ということも。
この記事では、新人保育士、教諭の離職防止のために
マネージャーが行う面談のポイントについてご紹介します。
・どのような面談をすれば離職が防げるのか
・離職を防ぐ具体的な面談の手順
・面談の際の注意点
を解説しますので、是非参考にしてみてください。
早期離職はコミュニケーション不足によって起きる:なぜ早期離職してしまうのか
早期離職者に対するアンケート調査によると、早期離職の主な理由として
・人間関係の悪さ
・仕事内容が合っていない
・成長できない
・長時間労働
・給与が仕事に見合わない
などが挙げられます。
この内、長時間労働や給与についてはすぐに改善することは難しいものの、
人間関係、仕事内容の不一致、成長できない、などで離職してしまうスタートラインはコミュニケーション不足にあります。ここでいうコミュニケーション不足とは、ただコミュニケーションの回数が少ない、というだけではなく、質も不足しているという意味です。
マネージャーや先輩社員が適切にコミュニケーションを取ることができなかった結果、仕事や職場環境に対しての意欲が下がり、最終的に上記の結果として表出するということです。
面談することでコミュニケーション不足が解消できる
コミュニケーション不足の改善には、前提としてまず社員の価値観を知る必要があります。
特に、近年の新入社員世代(いわゆるZ世代)は、自身の価値観を大切にするという傾向があるため、大切にしている価値観を知ることが適切なコミュニケーション手法の選択につながります。
そこで、5月末までに全職員と面談をすることがおすすめです。
5月末はGW明けで一度自身を見直す時期でもあり、退職の意思を固めやすい時期でもあるため、離職防止の観点から5月中に面談を行うことが重要です。
面談することによって得られるメリット
本音を引き出す事で、価値観が分かる
適切な面談をすることで、マネージャーは社員の本音を引き出し、価値観に触れることができます。
価値観が分かると何が起きるか
社員の価値観を理解したマネージャーは
・価値観によって対応を変化させることができる
・仕事を任せる時の話し方が変わる
・社員ごとの価値観の違いから、問題発生を予見して対応できる
など、今後のマネジメントに対しての方向性が明確になり、自信を持って社員に接することができるようになります。
一方、面談で話をしっかり聞いてもらった社員は
・承認欲求が満たされる
・心理的な安全が担保される
・目指すべき方向が分かる
園や会社への帰属意識が高まり、意欲を持って仕事に取り組むことができるようになるため、コミュニケーションの頻度が増えます。
その結果、5月末での退職、という最悪の事態を免れることができるようになります。
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マネージャーが意識すべき面談のポイント:どういう面談をすれば本音を引き出せるか
いくら面談を行ったとしても、本音を引き出せなければ双方にとって時間の無駄になってしまいます。
ここでは、本音を引き出すための面談時の心構えについてご紹介します。
「傾聴」に徹する
マネジメントの仕事をしている人であれば、「聞く力」や「傾聴」という言葉を聞いたことのある人は多いでしょう。
「聞く力」のことを質問力と捉えている方もいらっしゃると思います。
エグゼクティブ・コーチの林健太郎さんは、著書の中で、「傾聴」とは、「相手に静かな時間を提供すること」と定義しています。
静かな時間を提供することで、自分や自分の課題と向き合える時間や、自分で考えざるを得ない時間を作ることができます。
そして、面談時に、社員が話し始めるまで黙って待つ。
沈黙の間は、「何でも話して大丈夫」という思いを全身で表現すること。
眉間に皺を寄せて腕組みをしたマネージャーが目の前にいて、自分の本音を伝えようという人は珍しいでしょう。にこやかで話しやすい雰囲気を持ったまま、話を待ちましょう。
このポイントを活用することで、社員は自分から話し始めます。
自分から話を始めたら、話が終わるまで聞くこと。この徹底が重要です。
「事実」と「それ以外」を分けて聞く
社員の話す内容は、さまざまな情報が混在した状態です。
例えば、「事実」とそれ以外の「感情」や「憶測」や「推測」に基づく情報です。
あるいは、過去の話なのか今の話なのか、それとも未来の話なのか、時間軸の情報も混在しやすいと言えるでしょう。
マネージャーは話を聞きながら、上記の要素を区別して整理していくことで、会話の方向性を見出しやすくなります。
「聞く」と「伝える」を分けて聞く
面談時には、聞くときは聞くことに集中する、ということが重要です。
幼保施設のマネージャーは、施設での経験が長い人が昇格することが多いので、それぞれ独自の経験や考え方を持っています。
特に頭の回転が早ければ、話の途中でアドバイスや対応策が頭に浮かびます。
そこでぐっとこらえて、話を聞くときは聞くことに集中してください。
話の腰を折られていきなりアドバイスが始まれば、それ以降相手は本音を話してくれることはないでしょう。
相手の話を分類しながら聞くことを意識していれば、自分の考えをまとめて話す、ということに気が回らなくなります。最初の5分はとにかく話さない、と決めてしまうのも一つの方法です。
本音を引き出す面談の5つのポイント
心構えができたら次は実際に面談を行います。
ここでは社員の本音を引き出し価値観を理解するためのポイントを紹介します。
1.「傾聴」が大前提:静かな時間を提供する
前述の「傾聴」が重要です。この静かな時間を提供して話を徹底的に聞く、という部分が全ての基本なので、面談中も必ずこの姿勢に戻るということを意識しておくと良いでしょう。
2.復唱する
面談では、相手の話を理解している、聞いていることが伝わるのが重要です。
復唱によって、相手の言葉をそのまま繰り返すことで、話を聞いているということが伝わり、相手の心理的安全性を確保することにつながります。
・単純に繰り返すオウム返し
・語尾に丁寧語をつけての確認
・要約して復唱
などで、相手に聞いていることをしっかりと伝えることです。
また、復唱は次項で説明する承認も兼ねる場合があります。
もっとも単純で効果的な方法ですので是非使いこなせるように意識してみてください。
3.承認する
人間は自身の行動や言動を承認してもらいたいという欲求を持っています。
承認には以下のような種類があります。
・行動の承認
・発言の承認
・プロセスの承認
・見解の承認
など、相手の話で引き出した内容から上記の承認を行いましょう。
注目すべきは、褒めるという称賛ではないということ。
褒めるのは会社の都合と受け取られてしまう可能性があります。
そうではなく、中立の立場で承認する、ということを意識してみてください。
繰り返しになりますが、復唱はおすすめの承認方法でもあります。
4.合いの手で引き出す
相手の話をより引き出すために合いの手を活用しましょう。
具体的には用途に分けて以下の4つを使いこなせると良いでしょう。
・「そうなんですね」→「承認と促し」
・「というと」→「背景の情報を聞きたいとき」
・「ほかには」→「話題を他に広げたいとき」
・「もう少し詳しく」→「話題を深掘りしたいとき」
合いの手は相手の話を遮らないよう極力短く、リズム良く入れることが重要です。
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面談で社員に働きかけを行うときの5つのポイント
先ほどの手順で社員の話を引き出したあと、マネージャーが社員に働きかけを行う際の手順をご紹介します。
下記を実践する際には、必ず相手に許可を取ってから行うことが重要です。
「質問してもいいかな」
「私の考えを伝えてもいいかな」
など、必ず相手が話し終わっていることを確認して許可を取ってください。
もし相手の話を遮って話を始めてしまったら、今まで聞くことで築いてきた信頼関係が一気に崩れてしまいます。
5.未来を想像させる
未来志向の問いをすることで、社員の思考を未来の可能性に向けてもらうことができます。
・もし何も制約がなかったらどうしたいか
・そこにはどんな願いがあるか
・実現したらどんなことを感じると思うか
・達成したらどんな気分になるか
などの質問が有効です。
6.感情を引き出す
人間の行動や意思決定を最終的に司るのは感情と思考と言われています。
社員が「承知しました」と言ったとしても、内心は分かりません。
そこで、感情を聞くことで気持ちが分かり、情報量が増えることでその後のケアが可能になります。
日本人の特性もあり、なかなか感情については話してもらうのが難しいことです。
何度も聞くことで、話してもらえるよう工夫しましょう。
7.洞察を促す
意識せずに何となく話したことについて、反芻して振り返ることで、深層心理で考えていたことに気づくことがあります。
この気づきを与えることによって、自力で解決することを促す効果があります。
・話してみて理解が進んだことは?
・話してみてどうですか?
・話してみてどのようなことが分かりましたか?
など、一度発言を振り返る質問を投げかけてみるのが効果的です。
8.方向性を示す
質問に対して、「わかりません」という答えが返ってくることがあります。
すぐに答えを教えることは簡単ですが、できるだけ自力で解決を促すために、
・分かることだけでいい
・まとまっていなくてもいい
・明瞭じゃなくてもいい
と、方向性を例示することで、再度自分の力で考えることができるようになります。
9.相手の意思を聞く
ひとことで言えば、「どうしたい?」という質問を投げかけてみるということです。
正しいかどうかを探させるのではなく、意思を確認するということが大切です。
この質問では社員自身で考え、自分の向かう方向を決めることが目的です。
仮に言葉につまったり、的外れな答えが返ってきたとしても、社員の現在のレベルが分かったり、成長にもつながります。安易に助け舟を出さず、傾聴する、ということを意識してみてください。
面談の際の注意点
以上の手順で面談を行うことで、マネージャーは社員の価値観が分かり、社員は会社に対して前向きな意識を持てるようになります。
最後に、面談の際の注意点が3点あります。
無策で聞かない
面談では必ずゴールを決めて臨む必要があります。
いかに自由に話してもらったといっても、プライベートの雑談を1時間話して終わってしまっては、何の時間だったっけ?ということになりかねません。
・社員の自己成長
・メンタル面の健康状態を確認
・業務の確認
など、相手の状態によってゴールを決めて面談に望めば、方向性を伝えることで話の内容が具体的になります。
話しかけやすさを演出する
面談中の注意点ではありませんが、面談時のために日々行っていた方が良いことを注意点として一つ挙げておきます。
特に繁忙期の幼保施設では、一人ひとり、長時間の面談の時間が取れないこともあるかもしれません。
ちょっとした時間でも、現場に足を運んで、気軽に話しかけてもらうことを日々の業務の中からしておくことが重要です。
価値観の押し売りをしない
最初に述べましたが、特にZ世代の社員は自身の価値観を大切にしています。
面談時に会社や自身の考えを押し付けると、社員は心を閉ざしてしまいます。
例えば、「成長したいよね」という前提で話を切り出しては、一方的な物言いで面談がスタートしてしまうことになります。
会社や自身の考えは一旦脇に置いて、社員の価値観に好奇心を向けることが重要です。
まとめ
以上のように、面談をすることによって、新入社員の価値観を理解することでコミュニケーションが改善され、離職を防止することにつながります。
是非マネージャーのみなさんは、5月中に面談をするべくスケジュールを取ることから始めてみてはいかがでしょうか。
本記事は、以下の書籍を参考に記述しました。
参考文献: 林健太郎著「優れたリーダーは、なぜ「傾聴力」を磨くのか?」(2022年 三笠書房)
それでも、社員が退職してしまったとき
面談などコミュニケーションを意識しても退職してしまう社員は残念ながら存在します。
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