少子化なのに保育園不足といわれるのはなぜ？待機児童が減らない理由や解決策などを紹介

日本では少子化が進んでいるにもかかわらず、保育園不足が問題となっています。一見矛盾しているようなこの状況に、多くの人が疑問を抱いているのではないでしょうか。この記事では、少子化と保育園不足の関係性や、待機児童が減らない理由、さらには保育施設の経営者が取り組める解決策を詳しく解説します。

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引用元：保育のカタチ

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少子化なのに保育園不足といわれるのはなぜ？

保育園を新設するには以下のようなハードルがあり、それが保育園不足の要因となっています。

• 保育士が不足しているため
• 設置基準を満たす施設確保が難しいため
• 園児数が減少しているため
• 隠れ待機児童が増加しているため

それぞれ詳しく紹介します。

保育士が不足しているため

保育園不足の大きな要因の1つに、現場での人材不足があります。資格を持っていながら保育所などで勤務していない潜在保育士が増加しています。この背景には、労働環境や待遇の問題があるでしょう。

さらに、少子化の影響で日本全体の生産年齢人口が減少していることも、人材不足に拍車をかけています。保育業界だけでなく、多くの業種で人材の確保が難しくなっており、人材獲得競争も激しくなっています。このような状況下で、人材の確保が困難になり、保育園の新設や定員の拡大が進まないのです。

設置基準を満たす施設確保が難しいため

保育園不足のもう1つの要因は、認可保育所の厳しい設置基準です。認可保育所として認められるには、定員が20人以上で、0歳児・1歳児の1人当たりの基準面積が3.3㎡必要となります。この基準は子どもたちの安全と健全な発達を保証するために重要ですが、特に都心部では、この基準を満たす広さの施設を確保することが非常に困難です。

土地価格の高騰や適切な物件の不足により、基準を満たす施設を見つけることは簡単ではありません。そのため、保育園を新設したくても、適切な場所が見つからない状況が生じています。この問題は、特に都市部において顕著であり、保育園不足の大きな要因となっています。

園児数が減少しているため

少子化の影響で、一部の地域では実際に園児数が減少しています。「数年前までは0歳児クラスは満員が当たり前だったのに、今年度は希望者が少なかった」のような声も聞かれます。この状況は、地域によって大きく異なり、都市部では依然として保育園不足が続く一方、地方では園児数の減少が顕著になっています。

園児数の減少は、保育園の運営に直接的な影響を与えます。定員割れが続けば、保育園の経営が困難になる可能性があります。そのため、新たに保育園を開設することにリスクを感じる事業者も増えており、結果として保育園の新設が進まないという状況につながっています。

隠れ待機児童が増加しているため

公式の待機児童数には含まれない「隠れ待機児童」の存在も、保育園不足の実態を複雑にしています。隠れ待機児童には、以下のようなケースが含まれます。

• 保護者による求職活動の休止
• 特定の保育園のみを希望したが、定員枠超過で落選してしまった
• 保護者の意向による育児休業の延長

これらのケースは、統計上の待機児童数には反映されませんが、実際には保育園に入れない子どもたちが存在することを意味します。隠れ待機児童の増加は、保育園不足の実態をより深刻なものにしており、単純な数字だけでは把握しきれない保育ニーズが存在しているのです。

保育士不足を解消するための対策

保育園不足の主要因である保育士不足を解消するためには、以下のような対策が重要です。

• 保育士が働きやすい環境を作る
• ICTを活用して保育士の負担軽減を図る
• 潜在保育士を積極的に採用する
• 福利厚生を見直す
• 保育士のケアをする

それぞれ解説します。

保育士が働きやすい環境を作る

保育士の離職を防ぎ、新たな人材を確保するためには、働きやすい環境づくりが不可欠です。具体的には、勤務時間の見直し、休日出勤の改善、保育士同士のコミュニケーションの強化などが効果的です。これらの取り組みにより、働く人の負担を軽減し、やりがいを感じられる職場環境を整えることができます。

ICTを活用して保育士の負担軽減を図る

ICTの導入は、保育園での業務負担を大幅に軽減する効果的な方法です。労務管理の簡略化、登降園時間の記録、園児情報の管理、給与計算など、事務作業の多くをICTで効率化できます。これにより、保育士が子どもたちと向き合う時間を増やすことができ、保育の質の向上にもつながります。

ICTについてさらに詳しく知りたいという方は、下記の記事をご覧ください。

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潜在保育士を積極的に採用する

資格を持ちながら現在働いていない「潜在保育士」の復職支援も、人材不足解消の有効な方法です。研修プログラムの導入や、柔軟な勤務形態の導入などにより、復職のハードルを下げることができます。潜在的な人材を採用できれば、即戦力の確保につながる可能性が高いため、積極的に取り組む価値があります。

福利厚生を見直す

従業員の定着率を高めるためには、充実した福利厚生が重要です。有給休暇の取得促進、健康診断の実施、社会保険の完備など、基本的な福利厚生の充実はもちろん、保育士特有のニーズに応じた支援も検討しましょう。例えば、従業員自身の子どもの保育料補助や、心理カウンセリングをすることも効果的です。

保育士のケアをする

保育士の心身のケアも、重要な対策の1つです。保育業務は体力的にも精神的にも負担が大きいため、定期的なストレスチェックの実施や、リラクゼーションスペースの設置など、保育士のメンタルヘルスケアに取り組むことが大切です。また、管理者との定期的な面談を通じて、個々の悩みや課題に耳を傾けることも効果的です。

園で取り組める少子化による園児不足の解決策

少子化による園児不足に対しては、各園で以下のような対策を講じることが重要です。

• 特色を積極的に発信する
• 発達支援への取り組みを拡充する
• 保育士のキャリアアップに取り組む

詳しく紹介します。

特色を積極的に発信する

保育園の特色や取り組みを積極的に発信することは、園児確保に大きな効果があります。しかし、園では一生懸命行っていることでも、保護者に十分に伝わっていないケースが多々あります。そこで、ホームページやInstagramなどのSNSを活用して園の情報を発信することが重要です。

日々の保育の様子や園の特色ある活動を定期的に発信することで、保護者の関心を高め、入園希望者の増加につなげられるでしょう。

保育園の集客について深く知りたい方は下記の記事をご覧ください。

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発達支援への取り組みを拡充する

近年、未就学の障害のある子どもへの支援ニーズが高まっています。このニーズに応えるため、児童発達支援事業所としての機能を持つことも1つの選択肢です。そのためには、児童発達支援管理責任者の配置など、専門的な体制を整える必要がありますが、地域の特別なニーズに応えることで、園の存在価値を高めることができます。

保育士のキャリアアップに取り組む

保育士のキャリアアップを支援することは、園の魅力向上につながります。キャリアプランや研修制度が充実している園は、保育士からの人気が高く、求人募集を出す際にも有利です。また、保育士の離職率も低くなる傾向があります。保育士が自身の成長を実感できる環境を整えることで、保育の質の向上と園の安定運営の両立が期待できます。保育士に人気の研修については、下記の記事をご覧ください。

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経営を開園するなら民間に移管するのも効果的

少子化が進む中、保育園の経営を安定させるには、複数の園を運営する法人化が効果的です。しかし、新規園の設立は慎重に検討する必要があります。公立園の民間移管を受け入れることが、経営の安定化につながる可能性があります。

公立園の民営化では、これまでの実績や園運営のノウハウがとても重要になります。すでに複数の園を運営している法人は、そのノウハウを活かして公立園を効率的に運営できるでしょう。また、公立園の移管を受けることで、新規園設立のリスクを抑えつつ、事業規模を拡大できます。

まとめ

少子化が進む中での保育園不足は、複雑な要因が絡み合った結果です。保育士不足、厳しい設置基準、地域による園児数の偏り、隠れ待機児童の存在など、多くの課題が存在します。しかし、これらの課題に対して、保育現場でできる対策は多いです。

労働環境改善、ICTの活用、潜在保育士の活用、園の特色の発信強化などさまざまな方法でアプローチ可能です。これらの対策を適切に組み合わせ、地域のニーズに合わせた保育サービスをすることが、保育園不足解消への道筋となるでしょう。

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