近年、労働環境や仕事量が原因で、保育士の離職率が増加傾向にあります。そのため、保育の現場では業務改善が求められています。
この記事では、業務改善が求められている理由と改善策、改善に取り組む際の流れについて解説します。具体的な事例も紹介するので、保育士不足を解消したい園関係者の方は、ぜひ参考にしてください。
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保育士の採用をするなら保育のカタチがおすすめ
引用元:保育のカタチ
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許可番号 | 厚生労働大臣許可番号有料職業紹介事業:27-ユ-303764 労働者派遣事業:派27-304996 |
雇用形態 | 正社員、契約社員、パート |
求人施設 | 保育園、幼稚園、認定こども園、病児保育、事業内保育、学童保育、託児所など |
対応エリア | 全国 |
連絡手段 | 電話番号:06-6210-5326 LINE |
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保育の現場で業務改善が求められている理由
なぜ、保育の現場で業務改善が求められているのか、気になる方もいるのではないでしょうか。業務改善が求められている理由は、以下の3つです。
- 保育士不足
- 保育士の業務量過多
- 働き方改革
それぞれの理由をくわしく解説します。
保育士不足
業務改善が求められる理由として、保育士不足が挙げられます。厚生労働省によると、平成30年の調査で保育士の登録者数は147万人、社会福祉施設等に勤務している方は約57万人と発表されています。
しかし、保育士資格を持っているにもかかわらず社会福祉施設等で働いていない方は90万人程度と発表されました。また、平成19年〜平成29年までの10年間で、資格保有者は40万人ほど増加していますが、実際に保育の仕事に従事している人は15万人程度しか増加していません。
保育園をはじめとする社会福祉施設等に勤務している保育士の数が足らないことから、業務改善が求められています。
求人を出しているのにもかかわわらず、保育士方集まらないと悩んでいる方は、下記の記事もご覧ください。
保育士の業務量過多
近年、保育現場では、保育以外の業務量が多く、保育士に負担がかかっています。業務を再構築し、業務負担を軽減することで、保育士が働きやすい環境を整えられるでしょう。
また、多くの保育士が持ち帰り残業をしていることから、園側は残業が少なくなるように取り組む必要があります。
働き方改革
働き方改革も、業務改善が求められる理由の1つです。日本は少子高齢化により労働人口が減少している状態です。労働人口減少による生産性低下のリスクに備えるために、全業種で働き方改革が進められています。
非正規雇用や正規雇用などの雇用形態に関わらず、同じ仕事をしていれば同一の賃金をもらえます。また、有給取得は義務化され、きちんと雇用者も有給をとらせないと指導されることになりました。
残業も月の上限が定められ、サービス残業もしてはいけないルールがあります。時間外労働の上限が明確に定められたため、もしも人手が足りない場合は、保育士を追加することにより業務に対応する必要があります。
働き方改革について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
保育士の負担軽減&業務効率化のための改善策と事例
保育士にとって、改善したい業務の1つが「事務作業」です。2020年に公表された「保育事業者の事務負担軽減等に関する調査・分析報告書」では、保育士が事務業務にかける時間は、1ヶ月におよそ50時間といわれています。
参照元:東京都福祉局「【保育事業者の事務負担軽減等に関する調査・分析 報告書】について」
保育士の負担を減らすためには、事務作業の軽減が重要といえるでしょう。ここからは、厚生労働省の資料をもとに、保育士の負担軽減と業務効率化のための改善策を4つ紹介します。
参照元:厚生労働省「保育分野の業務負担軽減・業務の再構築のためのガイドライン」
ICTの活用
保育士の事務業務における負担や業務量を減らすために、ICT導入は非常に効果的です。勤務シフトの作成・書類作成・登降園の記録やデータの管理など、多くの事務作業をパソコン1台でこなせるようになります。
スマートフォン利用率が高まっている現在、迅速に情報を共有できるようになっています。写真や動画を配信し、保護者と子どもの学びや育ちの姿を共有することにより、業務負担の軽減効果だけではなく、保護者との保育の理解を基とした信頼関係を築くことができます。
ICT導入における事例を3つ紹介します。
【事例1】登降園・出退勤の管理に ICT を用いる
課題
・登降園の時間管理の際に、記録ミスが発生する
・登園時間・お迎え時間を保育士が記録する
・ 延長保育時間・給食費などの費用の計算が煩雑で大変
対策
登降園・出退勤の管理のための記録装置とそのデータを管理するソフトウエアを導入する
効果
・事務作業が軽減できる
・保護者との情報共有が向上する
【事例2】写真を使用して保育を記録し、発信する
課題
・保護者に保育内容を伝える際、文章だけのお便りや掲示だと伝わりにくいことがある
・保育士によっては文章を書くことが得意でなく、業務量が偏るおそれがある
対策
・写真に文章での説明を少し書き加えるフォームを導入する
・保護者や職員間で写真を使えるアプリを共有して利用し、プリントアウトの手間などを減らす
効果
・保護者との情報共有が簡単にできるようになる
・作業が効率化できる
【事例3】園内や保護者との保育の情報共有
課題
・お便りなど、文章の作成や見た目の配置にも気を使い、作成に時間がかかる
・配布のスケジュールに合わせて印刷の必要があり、業務が重なることがある
・保護者への連絡、園内の情報共有、日々の保育の記録・計画など、同じ内容を複数の書類に記入する必要がある
対策
・保護者も園側も使いやすい、連絡ツールアプリなどを利用する
・電子機器が園で安全に利用できる環境を整備して、情報・写真の漏洩を防ぐ
効果
・重複作業が軽減できる。
・アプリで決まった作業を繰り返すことで作業時間を短縮できる
・保護者との情報共有量が増加する
・連絡の正確性が向上する
ICTについてくわしく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
保育補助者の採用
保育補助者とは、洗濯や掃除などの業務をサポートをする人のことを指します。保育士ではない人が担当できる業務は、保育補助者に依頼するのがおすすめです。
洗濯や掃除以外にも、お昼寝やおやつの手伝い、園庭での保育の見守り、お散歩の同行などもしてもらうことが可能です。「保育関係の仕事がしたい」「保育士資格の取得に向けて勉強をしている」人も一定数いるため、保育補助者の求人を出すと良いでしょう。
保育補助者を採用する際は、事前に業務分担をはっきりとしておくとトラブルになりません。それでは、どのように保育保護者を活用すれば良いか、事例を挙げて紹介します。
【事例1】 作業手順の「見える化」を図る
課題
・園独自の業務ルールや方法があり、説明しないと正しく業務が行われない
・保育補助者にお願いしたい作業があっても、その都度教えたり、情報共有するのに時間がかかる
対策
・写真を用いてわかりやすいマニュアルを作成する
・作業場近くか、目につきやすいところに置き、すぐに確認できるようにする
効果
・保育士の負担軽減ができる
・保育士がやるべき仕事が明確になる
・保育補助者も働きやすくなる
【事例2】業務分担の検討・役割の明確化
課題
・保育園で必要な業務があまりに多く、保育士の負担になっている
・保育補助者にお願いできる業務範囲がわからない
対策
・管理者、保育士、保育補助しで業務役割検討チームを作る
・チームが中心となり、業務リストを作成する
・業務リストの内容を①保育士にしかできない業務・②保育士がした方が良い業務・③保育士と保育補助者双方ができる業務・④保育補助者がした方が良い業務の4つに分類する
効果
・業務分担が明確になることで、保育士は保育に専念できる
・保育補助者の業務がはっきりとする
【事例3】業務表の作成
課題
・通常保育を行う中に突発的作業が入ってくると、業務が滞る
・業務伝達がうまくいかない
・日によって、保育保護者の業務量が違う
・保育士でなくてもできる業務が、保育士の業務になっている
対策
・業務表を作成し、依頼したい業務、お願いしたいクラスを記入する
・作業表にはチェック欄を作る。作業終了後にチェックしていく
効果
・保育補助者の業務内容が明確になる
・必要な業務の全体像を全員で共有できる
・保育補助者の業務量を均等にできるようになる
書類や記録などの見直し
保育士が行う書類や記録は、保育計画や月の目標の作成、保護者への連絡帳記入などがあります。改めて、それぞれの書類の作成意図を見直してみましょう。
まずは、普段から作成している書類の内容について、目的や内容を改めて確認してみてください。意外と内容が重複していたり、必要ない情報を記入する必要があったりするかもしれません。様式、記載方法などを改定・工夫することで業務改善が進むこともあります。
書類や記録に関する事例は、以下のとおりです。
【事例1】 園児の記録用書類の見直し
課題
・保管のための書類が多く、せっかく作成した書類が活用されず負担感をじる
・同じような内容の書類を複数作成する必要がある
対策
・現在作成している書類とその内容を全て書き出して重複内容があればリストアップする
・写真を使う記録にする
効果
・作成時間の短縮
・書類作成の目的の明確化
・写真を家庭への個人記録用に使いつつ、園保管の書類としての記録にも活用できる
【事例2】計画書類の見直し
課題
・昔からの慣習に沿った指導計画を使用していて、現在の保育形態にあっていない
・短期・中期・長期と色々な指導計画があり、作成に時間を要する
対策
・最低限記載する必要がある項目が何かを、全職員で決定する
・視覚化して「計画」「実践」「反省」をわかりやすくまとめるひな型を作成する
効果
・誰が見てもわかりやすい計画を作成できる
・子どもの実態に即した指導計画を立てやすくなる
保育士の働き方を見直す
保育園は、幼稚園と違い、元々預かり時間が長く残業が多くなりがちです。慢性的に残業が続くと、それが当たり前となり、残業するのが当たり前のような雰囲気になる傾向があります。
そのような環境下では、職員の離職率や新しく採用する保育士の定着率にも影響が出てきます。
残業時間の短縮や有給休暇の取得率向上・休憩時間を設ける・園児と触れ合わず別の業務を行う時間の確保など、働き方全体を見直すことが大切です。
【事例1】各業務にかかる時間を可視化する
課題
・休憩や有給が取りづらい
・業務の多寡が、人により差がある
・作業の煩雑さや必要な作業時間が全員で共有できていない
対策
・子どもから離れ、事務作業だけに集中する「ノンコンタクトタイム」を各々設定する
・より良い保育を提供するためには、園全体でゆとりある休憩や休暇が必要だと認識する
・各作業にどの程度の時間がかかるのかをまとめ、一日の中で必要な業務のボリュームを調整する
効果
・偏っていた業務量を均等化できる
・休みを取得しやすい環境を整えられる
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業務改善を実施する流れ
保育園が目指す業務改善は、ただ仕事を省けば良いというものではありません。保育士が、子どもの保育に専念できるように保育以外の業務の負担を軽減し、仕事を効率化することが目的です。
業務負担の軽減や仕事を効率化するためには、現状を把握して問題点を洗い出す必要があります。問題点を洗い出したら改善策のアクションプランを考え、実施しましょう。ここからは、業務改善を実施する流れを4ステップにわけて解説します。
現状を把握して問題点を洗い出す
まず、保育園の現状を把握し、問題点をあぶり出します。問題点を把握するためには、現場で働く保育士から意見を聞くのがおすすめです。
保育士から意見を聞く場合は、数名のグループに分け、日々負担になっていることを書き出してもらいます。書き出してもらった問題点を、負担の大きな仕事や手順が統一されていない仕事、非効率な仕事など、カテゴリ別にまとめましょう。
もし、グループ別に集まる時間を作るのが難しい場合は、事前にアンケートを配布すると効率的に意見を集められます。
改善策を考える
問題点が提起できたら、改善策を考えていきます。カテゴリ別にまとめた問題点の優先課題を決定しましょう。
優先順位が決まったら、複数のアプローチ方法を検討します。アプローチ方法とあわせて、具体的な手立ても出しましょう。完璧な改善策を考えようと、改善策が浮かばなくなることもあるため、ゴールを明確にして逆算して考えるのがおすすめです。
実現のためのアクションプランを考える
改善策が浮かんだら、実現のためのアクションプランを考えていきます。アクションプランは単年度と中長期の2つに分けて、作成するのがおすすめです。
ICTの導入や保育補助者などの新しいやり方を導入する場合は、研修や情報共有が必須となります。アクションプランに研修の期間も組み込むようにしましょう。
また、アクションプランを実践する前に、園の運営者と保育士で共有し、実現できそうか再確認しておくと、スムーズに実践に移れます。
実践と振り返りを行う
アクションプランに問題がなければ、改善策を実践しましょう。管理者は改善策の進捗を確認したり、定期的に報告を受けたりして、計画が予定通りに進んでいるかをチェックしてください。
アクションプランがスムーズに進んでいない場合や、実践していく中で課題が見つかった場合は、振り返りを行い、再検討する必要があります。
まとめ
保育園における業務改善の背景には、保育士不足のほか、保育士の業務量過多・働き方改革があります。人材不足解消のためには、「保育」という保育士の本質に専念できるような環境を整えることが重要といえるでしょう。
ICTの導入や保育補助者の採用などを行い、保育士の負担軽減を図るとともに、業務を効率化し園全体で働きやすい環境を構築することが重要です。業務改善を行う場合は、現場で働く保育士に意見を聞き、改善策を考えましょう。
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引用元:保育のカタチ
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