保育指針の「幼児期に育ってほしい10の姿」とは？具体例や保育に取り入れるコツなどを解説

幼児期は子どもたちにとって成長の基盤が築かれる大切な時期です。日本の保育指針には「幼児期に育ってほしい10の姿」が示されており、子どもたちが健やかに成長するための指標となっています。

この記事では「10の姿」が何を意味するのか、具体的な例を交えながら解説します。保育にどのように取り入れていくか、コツやポイントが知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

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「幼児期に育ってほしい10の姿」とは？

「幼児期に育ってほしい10の姿」とは、小学校入学前に子どもたちが身につけるべき資質や能力を10の視点から示したものです。この理念は、子どもたちがさまざまな経験を通じて、成長を遂げることを目指しています。

下記の記事では、保育の五領域を詳しく紹介しています。併せて参考にしてみてください。

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保育指針の「10の姿」の具体例

ここでは、保育指針の「10の姿」の具体例を、厚生労働省が出している保育所保育指針をもとにみていきましょう。

参照元：厚生労働省「保育所保育指針解説」

健康な心と体

健康な心と体は、保育所生活の中で子どもたちが充実感を持ちながら自分のやりたいことに向かう姿を指します。具体的には、全身を使った遊びや活動を通じて、目標に向かって努力する楽しさを学びます。

友達と協力して遊具を使ったり、運動会に向けて練習を重ねたりすることで、達成感を得ることが可能です。また、日常生活においては、手洗いや着脱・排泄といった基本的な生活習慣が身につきます。手洗いを習慣化することで、自分の健康を守る意識が芽生えるでしょう。

子どもたちは活動を通じて、自分の行動を見通し、計画的に過ごす力を養えます。

自立心

自立心とは、自分に求められることを理解し、自分の力で成し遂げる姿勢を指します。困難に直面しても諦めずに挑戦することで達成感を味わい、自信を持つようになるでしょう。

具体的には、日常生活の流れを理解し、自分でできることは自分でする習慣を身につけます。服を自分で選んで着替えたり、食事の後に自分の皿を片付けたりすることを通じて、自己管理能力を高めていきます。

また、遊びの場面でも、自分の目標に向かって努力する姿勢が育まれるでしょう。友達と協力して課題を達成する中で、成功の喜びや満足感を感じられます。

共同性

共同性とは、人と関わり合いながら互いの思いや考えを共有し、共通の目的に向かって協力する力を指します。子どもたちは考えや工夫をしながら、充実感を持って何かを成し遂げる喜びを体験できるでしょう。

具体的な例としては、クラスで一緒に何かを作り上げる活動です。皆で大きな絵を描くときに、各自が自分のアイデアを持ち寄り、役割を分担して協力します。

この過程で、子どもたちは自分の気持ちを伝えたり、相手の意見を尊重したりすることを学びます。

道徳性・規範意識の芽生え

道徳性・規範意識の芽生えとは、何が良いことなのか悪いことなのかを理解し、他者の立場を考えながら行動する力を育むことです。自分の感情を調整し、友達との関係を築く中で、ルールの重要性を学んでいきます。

これにより、決まりを作ることや守ることの意義を実感できます。具体的な例としては、子どもたちが遊びの中で、ルールを守ることや協力することを学ぶ場面です。ゲームをする際に自分が勝つためだけではなく、友達も楽しめるように意識することで、共感の気持ちが育まれます。

また、相手の立場から自分の行動を振り返る時間を設けることも効果的です。

社会生活との関わり

社会生活との関わりは、子どもが家族を大切にしつつ、地域の人々との交流を通じて人との関わり方を学ぶことです。この過程で、子どもたちは相手の気持ちを理解し、自分が役立つ喜びを感じながら地域に親しむようになります。

具体的には、保育所での課外活動や地域行事に参加することが挙げら、地域のお祭りや花火大会に参加して地元の人々と触れ合い、楽しさや感謝の気持ちを育みます。

これらの体験を通じて、遊びの中に地域の文化や習慣を取り入れ、工夫を凝らした遊びを展開することも可能です。

思考力の芽生え

思考力の芽生えとは身近な事柄に興味を持ち、物の性質や仕組みを感じ取りながら、さまざまな視点から考える力を育むことです。自分の経験や観察を通じて問題解決に挑戦し、予想や工夫を楽しむことで、思考を深めていきます。

子どもが水の流れや風の動きを観察する自然観察や実験活動が該当します。自然観察や実験活動は物の性質を学ぶ機会が得られ、物事を論理的に考える力が育まれます。また、友達と意見を交換することで、自分と異なる考え方に触れることも可能です。

自然との関わり･生命尊重

自然との関わり・生命尊重とは、自然環境に触れることで生命の大切さや不思議さを実感し、好奇心や探求心を育むことが目的です。

子どもたちは、自然の変化を観察する中で、自然への愛情や畏敬の念を育んでいくでしょう。具体的な体験としては、季節ごとの散策や野外活動が挙げられます。

春には花の観察、夏には昆虫採集、秋には葉の色づきなど、身近な自然との触れ合いを通じて、五感を使った学びが生まれます。このような遊びの中で、子どもたちは動植物に興味を持ち、自らその存在を大切にする気持ちが育まれるのです。

数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚

数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚は、遊びや日常生活の中で数量や形、文字に対する興味を育むことを目指しています。

子どもたちは身の回りの物事に触れ、自然にこれらの概念に親しみを感じ、必要に応じて活用する力を身につけるでしょう。具体的には、家族や友達の名前を書いてみることで、文字への興味を引き出せます。

活動を通して、自己表現やコミュニケーションの楽しさを実感でき、文字の重要性を認識するきっかけにもなります。また、図形を組み合わせる遊びを通じて、空間認識や形の理解を深めることが可能です。

言葉による伝え合い

言葉による伝え合いは、子どもたちが保育士や友達と心を通わせる中で育まれる重要なスキルです。子どもたちは、絵本や物語を通じて多様な言葉や表現に触れ、豊かなコミュニケーション能力を身につけていきます。

この過程で、自らの経験や思いを言葉で表現する楽しさを感じ、他者の話に耳を傾ける大切さも学ぶでしょう。具体的には、遊びの場面で自分の考えやイメージを言葉で伝え合うことで、コミュニケーションの喜びを体験します。絵本の読み聞かせを通じて新しい言葉や表現に触れるのが良いでしょう。

豊かな感性と表現

豊かな感性と表現は、心が動く出来事に触れることで育まれる要素です。さまざまな素材や表現方法に気づき、感じたことや考えを自分なりに表現する楽しさを実感する中で、表現する意欲が高まります。

具体的には、アートや劇遊びを通して、想像力を豊かに働かせることが大切です。絵を描いたり工作をしたりすることで、自分の内面を表現する喜びを味わいます。

劇遊びをする場合は、小道具や素材をなどを用意しておくと、子どもたちが自由にアイデアを出しやすくなります。これにより、表現の幅が広がり、創造的な遊びを楽しめるでしょう。

保育指針の「10の姿」を保育に取り入れるコツ

「10の姿」を保育に活かすためには、以下の3つのコツを意識しましょう。

• 目安として捉える
• 保育の五領域を基に考える
• 小学校教育との連携を意識する

「10の姿」は達成目標ではなく、子どもたちの成長を促すための指針です。年齢にあわせて五領域を活用し、段階的にアプローチしましょう。定期的に小学校と情報を共有することも大切です。

まとめ

幼児期に重要な成長段階の「10の姿」を詳しくみてきました。「10の姿」は子どもたちが自立し、社会での生活に適応するための基盤を築くために不可欠です。

それぞれの具体例や、保育に取り入れるためのポイントを理解することで、子どもたちの成長を促す環境が整います。子どもたちが豊かな感性や思考力を育み、より良い人間関係を築けるよう、取り組んでいきましょう。

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