障害児保育は、障害の種類に応じて保育の内容が異なります。この記事では、障害児保育を実施する障害の種類や実施している主な施設、障害児保育の現状や課題、必要な資格やポイントなどを紹介します。
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引用元:保育のカタチ
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障害児保育とは?
障害児保育は、障害をもつ子どもに対する保育のことです。
対象となるのは、障害者手帳をもっている子ども、もしくは特別な支援が必要であると診断を受けている子どもです。
- 障害児保育を行う障害の種類
- 障害児保育を行う主な施設
以上の2つを、より詳しく見ていきましょう。
障害児保育を行う障害の種類
障害児保育を実施する障害の種類は、主に4つです。
知的障害 | 知的な遅れを伴っている障害です。知的障がい者の定義規定はないとされているため、具体的な障害名などで定められていません。療育手帳を持っている場合は、知的障害として分類されます。 |
身体障害 | 視覚や聴覚、言語や咀嚼機能などに障害があったり、心臓や呼吸器、排泄機能や免疫機能に何らかの不安を抱えていたりします。肢体不自由の方も身体障害に分類されます。 |
発達障害 | 広汎性発達障害や注意欠陥多動性障害、学習障害などの中でも、知的な遅れを伴わないものです。精神障害社保健福祉手帳を持っている方が該当します。 |
精神障害 | 怒り・不安・興奮など自分自身の感情がうまくコントロールできず、その状態が生活に支障をきたすのが精神障害です。自閉スペクトラム症・不安障害・身体表現性障害・気分障害・摂食障害などが精神障害に分類されます。 |
障害児保育を行う主な施設
障害児保育を実施している主な施設は、以下の4つです。
保育園や認定こども園 | 障害児枠を設けている保育園や認定こども園では、障害児保育に対応しています。障害児枠で受け入れており、入園すると加配保育士が保育を担当するケースが多いです。 |
入所型の障害児施設 | 家庭での暮らしは難しいと判断される障害児には、入所型の障害児施設で保育をします。入所型なので、家から通うのではなく、施設内に住んで日常生活を送るのが一般的です。 |
通所型の障害児施設 | 未就学児向けデイサービスの児童発達支援事業所、地域の療育施設である児童発達支援センター、就学時向けデイサービスの放課後等デイサービスが該当します。 |
病院にある保育ルーム | 病気が重く入院して療養生活を続けている子どもを保育する場所です。病棟保育士が、保育を請け負っています。 |
障害児保育の現状と課題
ここからは、障害児保育の現状と課題について解説します。
障害児保育の現状
こども家庭庁の発表によると、障害児を受け入れて保育している施設は、令和2年時点で19,965ヶ所です。平成22年には13,950ヶ所だったことから、増加傾向にあります。
未就学児を対象としている児童発達支援の施設は4.5倍、小学生から18歳を対象としている放課後等デイサービスは6.5倍にも増加しています。
実際に住んでいる地域で、新しく児童発達支援の施設や放課後等デイサービスができたのを見る機会も増えているのではないでしょうか。障害児がより自分らしく生きられるようにサポートできる環境が、社会全体で作られ始めています。
参照:PWC「第6回 保育園の気になる子」
障害児保育の課題
障害児保育施設は増加傾向にあるものの、課題がたくさんあり、障害児の対象にならない子どもがいる・園での受け入れ態勢が整っていないことなどが挙げられます。
さらに、課題となっているのは、支援する側の知識不足・経験不足です。障害児の受け入れ先が増えていても、実際には専門的な知識や経験、資格をもたない保育士が保育をしているケースが多いため、サポートが行き届いていません。
ほかにも、通所施設や保育所、医療機関など障害児が携わる施設すべての連携も課題と言われています。
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障害児保育の種類
障害児保育には、2つの種類があります。それぞれの違いをチェックしてみましょう。
- 分離保育
- 統合保育・インクルーシブ保育
それぞれの特徴を詳しく見ていきます。
分離保育
分離保育は、健常児と障害児をはっきりと分けて、障害児を専門とする施設で障害児にだけ保育をすることです。障害といっても、さまざまな種類があります。子どもの障害の種類や程度に応じて、1人ひとりに適切なサポート・トレーニングを提供できます。
分離保育をしている児童発達支援センターなどでは、個々に合わせた専門的な機能訓練・言語訓練・日常生活を送るためのトレーニングなどをしています。保育士だけでなく理学療法士・作業療法士など、専門家とも連携して保育をするケースが多いです。
統合保育・インクルーシブ保育
統合保育は、障害児に対する保育を実施するようになった昭和49年ごろからすでにある考え方です。障害のある子どもと障害のない子ども、どちらも同じ環境で保育することを指します。
一方、インクルーシブ保育とは、障害のあり・なしに関係なく、子どもにとって必要な支援をすることを基本としています。障害の有無だけでなく、国籍・人種・宗教の違いなども含めて、個性を大事にする考え方です。
障害児保育に必要な資格は?
障害児保育に必要な資格は、特にありません。保育士資格を持っていれば、障害児保育に携わることができます。
ただし、保育士の資格さえあれば誰でもできるとはいえ、やはり専門的な知識・経験が必要です。また、担当する保育士の知識不足や経験不足が課題にもなっており、これからは障害児保育に対して何らかの資格・研修が必要となる可能性も高いでしょう。
障害児保育を行う際のポイント
障害児保育を実施する際のポイントは、以下の3つです。
- 研修を取り入れて正しい知識を身に付ける
- 保護者と信頼関係を築く
- 何事も冷静に対処する
1つずつ解説します。
研修を取り入れて正しい知識を身に付ける
障害児保育は、正しい知識を身に付けることが何よりも大切です。同じ障害であっても、実際には1人ひとり状態が異なります。障害に対して正しい知識がないと、子どもにとって適切な保育ができません。
保育団体・自治体などが開催する研修やセミナーを利用したり、障害児保育を実施している施設に協力してもらい、現場見学をさせてもらったりするのが良いでしょう。
保育士の研修については、以下の記事をご覧ください。
保護者と信頼関係を築く
障害児に適切な保育をするために、大事なのは普段からそばで見ている子どもの保護者に確認することです。家庭で子どもとどのように関わっているかを確認し、園や施設でも同じように関わることで子どもは安心して保育が受けられます。
また、コミュニケーションをこまめに取ることで、保護者にも安心感を与えられ、より深い信頼関係が築けます。
何事も冷静に対処する
障害児の子どもの保育では、冷静に、優しく、決して感情的にならない接し方が大切です。1つの動作がスムーズにできず、手助けが必要だったり時間がかかったりすることはよくあります。障害児保育で大事なのは「できるまで待つ」ことです。どうしてもできないときはサポートをしますが、基本的にはできる限り自分でできるようにすることが、保育の目標とされています。
次の予定があるとき、他の子どものサポートに入らなくてはいけないときなど、焦ってしまいそうになることもありますが、冷静に対処することが重要です。
まとめ
障害児保育といっても、障害の種類や障害の程度によって、保育の仕方にもさまざまな方法があります。それぞれの障害に対して理解を深め、保護者とも密なコミュニケーションをとりながら、個々のペースに合わせてできることはできるまで待つ、できないことはできるようになるようにサポートすることが障害児保育では大切です。
また、専門的な知識や経験が不足している保育士が多いため、できていないケアもたくさんあります。知識を深め、経験を積みながら障害児保育と向き合っていきましょう。
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