はじめに
「保育士を辞めたい…」
「思ったよりもきつい」
と思う方も多いです。
保育士の仕事をやったものの、思ったよりきつく心身ともにかなりの負担がかかって辞めたいと感じる方も多いです。そこで本記事では、保育士を辞めたい方によくある理由や、辞めたいときの解決策を解説していきます。
保育士を辞めたい人はどのくらいいる?離職率について
保育士を辞めたいと考える方はどのくらいいるのでしょうか。ここでは保育士を辞めたいと感じる割合について解説します。
保育士の離職率
平成29年の厚生労働省の調査によると保育士の離職率は9.3%です。そのうち、公営の保育園の離職率は5.9%、私営の保育園の離職率は10.7%という結果が出ています。
勤務者 | 採用者数 | 採用率 | 退職者数 | 離職率 | |
全体 | 407,828人 | 60,830人 | 14.9% | 37,716人 | 9.3% |
うち公営 | 118,481人 | 10,087人 | 8.5% | 6,941人 | 5.9% |
うち私営 | 288,806人 | 50,743人 | 17.6% | 30,775人 | 10.7% |
上記の表を見てもわかるように、1年間で保育士を辞める方は多いです。これだけの数が出ているので、保育士を辞めたいと考えるところまでいっている方の数は想像以上に多いものです。
保育士の退職理由
厚生労働省の調査によると、保育士の退職理由として最も多いのは保育業界への転職が多いです。その他主な理由について以下があります。
- 転職(保育業界)
- 結婚
- 体調不良
- 転職(他業界)
- 出産・育児
全体で見ても転職という理由が最も多く、次いで結婚や体調不良が多いです。
参照元: 厚生労働省「保育士の現状と主な取り組み」
保育士を辞めたい理由
退職する理由としては、転職や体調不良が多いとわかりましたが、では実際に転職に至る動機はなんでしょうか。では、保育士が辞めたいと考えるのはどんな理由が多いのか確認していきましょう。
人間関係が悪い
まずひとつ目の理由としては「人間関係が悪い」ことです。保育園は女性が多い職場なので、女性特有の人間関係によってストレスを抱える方が多いです。人としての相性や派閥など人間関係のトラブルはさまざまです。
また、職場内だけではなく、保護者からのクレーム対応をしないといけないのが保育士の仕事です。子供が軽い怪我をしたときは親からのクレームに対処しないといけないのは心身に負担がたまってしまいますよね。人間関係のストレスは自分だけではコントロールが難しいため、一度コントロールできなくなってしまうと出口の見えないストレスへとなってしまいます。
仕事量が多い
保育士の仕事は子供の相手をするだけではなく、事務作業もあります。いくら子供が好きでも、子供の相手をするのにも当然体力を消耗しますし、それ以外の仕事でも体力を要します。
さらに保育園は常に人材不足であるため、残業が必要な場合が多いです。持ち帰り残業も多いため、休む時間も少なくなります。朝は早く、夜は遅いということで保育士を辞めたい方が多いです。
給料が低い
仕事量に対しての給料が低いというのも保育士を辞めたいと考える理由です。厚生労働省の調査によると女性保育士の平均給与自体は月収27万円です。27万円と聞くとそこまで低くない数字かと思いますが、実際に働いている量とは見合っていないと感じる方が多いのが現状です。
そもそも保育士資格は国家資格なのに賃金が低いという問題もあります。保育士での給料はすぐにあげられる訳ではないため、辞めて転職するのでしょう。
参照元: 厚生労働省「平成28年賃金構造基本統計調査」
保育の仕事に向いていない
そもそも働いてみて、保育士の仕事があっていないと感じる方も多いようです。子供と接することが好きで保育士を目指したものの、子供と接する以外にも事務仕事や、親からのクレーム対応など、本来するとは思ってもいなかった仕事が多いです。
理想と現実のギャップによって仕事への不満がたまり、保育士を辞めたいと感じるのでしょう。
保育園の方針に合わない
保育園によって、それぞれの方針があり、自分には合わないと働くモチベーションが下がってしまいます。保育園の方針が合わないというのは、別の保育園に転職する大きな理由になります。
休みを取得しづらい
保育士という仕事は休みを取得しづらい職種の一つです。その原因としては特に人手不足であることです。どうしても休めない上に、プライベートでの大切な時間が失われてしまっては、辞めたいと思うのも当然ですよね。
「他の方がやってるんだから、自分もやらないといけない」という考えになってしまうと休みを取りづらくなります。
保育士を辞めたいと思ったら
保育士を辞めたいと思ったら、すぐに辞めることを伝えるのではなく、確認するべきことがあります。
保育士を本当に辞めたいかどうかを考える
「保育士を辞めたい」と思う気持ちは、一時的なものではないでしょうか。もしかしたら今週、面倒な仕事や嫌な仕事があるだけで退職したいと考えてるだけで、実はそこまで本気ではないという場合もあります。保育士を辞めたいのではなく、今の職場を変えたいだけかもしれません。もう一度保育士を辞めたい理由をよく考えてみましょう。もしかしたら、辞める以外の改善策があるかもしれません。
誰かに相談する
もしも辞めたいと感じるのであれば、1人で悩まずに誰かに相談することが大切です。1人で悩んでも答えは出ないことが多々あります。そのため、誰かに話を聞いてもらって客観的な意見をもらうことで自分がどうするべきか答えが出しやすくなります。
誰かに相談することで、新しい改善方法が見つかるかもしれません。親しい知人、家族に聞いてもらうのがおすすめです。身近な人に話しづらい場合は、転職エージェントなど、キャリアについて第三者に相談してみましょう。
保育士を辞めたあとのことを考える
保育士を辞める前に、辞めたあとのことを明確にしておきましょう。そもそも保育士は辞めるのか、それとも今の職場を辞めるだけで保育士自体は続けるのかはっきりさせることが大切です。
また、保育士を辞めたあとのリスクを考えてみることで決断が変わるかもしれません。特にお金には困らないか、すぐに次の転職先が見つかるかなどリスクはしっかりと踏まえて決断しましょう。いずれにせよ、転職することとなったら転職の準備は必要です。また、失業手当など国の制度でお金がもらえます。
【ポイント】円満に退職するには
保育士を辞めたいと感じ、退職する決心がついたのであれば上司に伝えます。保育士は常に人材不足で辞めることを引き止められないか不安に思う方も多いでしょう。円満に辞めるためのポイントについてお伝えします。
退職時期を考える
円満退職をするには、退職の時期が重要です。保育士を辞めるのは年度末がベストです。もし担任を持っている場合は、途中で辞めてしまうと園児が受け入れられないこともあり、多くの人に迷惑をかけてしまいます。
秋から冬にかけては、保育士の求人が増えるので、この時期に転職活動も開始しつつ退職を伝えるのがベストです。
退職する3ヶ月前には伝える
法律上は2週間前に伝えるように決められていますが、会社によっては1〜3ヶ月前に伝えると規定されている場合もあります。他の保育士への引き継ぎのことも考えて3ヶ月前には上司に伝えることをおすすめします。
また、辞めるのを伝えるのはメールや電話ではなく、直接伝えましょう。もしも辞めたいと伝えたときに引き止められても余裕を持って対処することができます。
園児や保護者にも伝える
退職することは、上司や同僚だけではなく、園児や保護者にも伝えましょう。園児や保護者に何も言わずに退職してしまうと、園児が受け入れられなかったり、保護者からの保育園への信頼も損なう可能性があります。
園児や保護者に伝える際には、ネガティブなことを言わないように注意しましょう。
退職の意思を貫く
保育園は常に人手不足のため、退職を伝えると引き止めにあう可能性が高いです。給料を上げるという言葉でなんとしてでも引き止めてくる場合もあります。もしあなたの辞めたい理由が給与面であれば、交渉をすることで解決できるかもしれません。
ただし、もし給与面ではなく他の理由での転職や退職であれば、いくら引き止めにあっても絶対に辞めるという強い意思を持ちましょう。
転職した保育士の声
実際に転職した保育士の声をご紹介します。前述のように、周りの人や転職エージェントに相談して、保育士を辞めるのではなく、今の職場を変えることで希望の働き方を実現した人もいます。そんな保育士さんの声をご紹介します。
子育てとの両立の転職
30代前半・東京都
扶養枠内のパート勤務をしていましたが、シフトが不定期で、正職員さんの都合に合わせて出勤の日数や時間が変わり、育児との両立が難しい状況が続いていました。固定シフトで規則正しい生活をしていきたいと考えたことが転職のきっかけでした。
自宅から近いところで他にいい職場もないと思っていたので、保育士の仕事をあきらめようかと考えたこともあります。知人のすすめで転職エージェントに相談したところ、希望の求人を紹介してもらえて、希望の保育園で働けるようになりました。
人間関係の悩みを解消した転職
20代後半・神奈川県
給料にも不満がありながらも、女性が多い職場特有の人間関係の悩みが大きく、ストレスを抱えながら仕事をする日々。保育園はどの職場も同じだろうと考えて、子どもたちは好きだけど、保育士の仕事は続けていくか迷っていました。悩んでいたところ、SNSで保育士むけの転職相談窓口を発見。
DMで連絡し、オンライン面談で今の職場での悩みを相談したところ、いくつか保育園の求人を紹介してもらえました。すぐに転職するつもりはなく、他の園も見てみよう、くらいのつもりで見学に行きましたが、そこで出会った保育園の職員さんや園長先生の人柄に惹かれ、保育士を辞めなくても、理想の職場がありそうだなと気づきました。
その後転職活動を継続し、無事転職に成功。人間関係の悩みが解消されて、保育士の仕事を続けられています。
【まとめ】保育士を辞めたいと考える理由はさまざまで実際に辞める方は多い!
本記事では、保育士が辞めたいと思う理由や、辞めたいと思ったときの対処法について解説しました。
是非参考にしてみてくださいね。
最後に、保育士を辞めたいと思う方は多く、辞めたいと感じる理由はさまざまです。辛い思いをして、誰にも相談できずに悩んでいたかもしれません。その中で、子どもたちのためにここまで頑張ってこられたのだと思います。
もしも保育士を辞めたいと思ったのであれば、本当に保育士、という仕事自体が嫌で辞めたいのかよく考えてみてくださいね。環境一つで状況がガラッと変わることもありますし、自園しか知らない保育士さんは、違う園に転職したことで、本当にこんないい保育園があったんだ、とびっくりすることもあります。
1人では答えが出ないこともあるので、誰か信頼できる方に相談することで道が見えてくることもあります。保育園を変わるのか、それとも他の業種に大胆に転身するのか、するしないは別にしても、まずは今の悩みを相談してみることで、辛い気持ちが楽になるかもしれません。是非私たち、保育のカタチに気軽に相談してみてください。
ご相談は、LINE、相談申込フォーム、InstagramのDMでも受け付けています。保育のカタチは、自社でも保育園を運営しているから、保育士さんのことも、保育園のことも深く理解した上でご相談できます。
転職のご相談を担当するパートナー、カズラオのInstagramアカウント
https://www.instagram.com/hoiku_kazurao/
キャリアについての相談は、保育のカタチでも行っております。自社でも保育園を運営しているので、保育士のキャリアについて実例をもとにご相談できます。一度迷ったら、ぜひご相談を考えてみてくださいね。