統合保育とは？インクルーシブ保育との違いやメリット・デメリット・取り入れる際のポイントなどを解説

統合保育は、近年注目されている保育スタイルの1つです。そんな統合保育ですが、「インクルーシブ保育との違いや導入するメリット・デメリットを知りたい」と思う方は多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、統合保育とは何か、インクルーシブ保育との違いやメリット・デメリットなどを解説について解説します。また、事例や取り入れる際のポイントも併せて紹介します。

この記事を読めば、統合保育について理解できるので、導入すべきか考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

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統合保育とは？インクルーシブ保育との違いを解説

統合保育とは、障がいの有無にかかわらず、全ての子どもが同じ空間で学び育つことを目的とした保育形態です。特別支援教育が主流だった時代から進化し、すべての子どもにとって学びや成長の場を平等に提供することを目指しています。

一方で、インクルーシブ保育は、障がいを持つ子どもを他の園児と分けることなく受け入れる理念に重点を置いたものです。統合保育はインクルーシブ保育の実践形態とも言えますが、具体的な手法や環境整備に違いがあります。

統合保育とインクルーシブ保育の違い

統合保育とインクルーシブ保育の違いは、理念と実践方法にあります。インクルーシブ保育は、子ども一人ひとりの特性を理解し、全ての子どもが最大限に学べる環境を作るという理念を重視します。

一方で、統合保育はインクルーシブ保育の理念を実現するために、具体的な仕組みやサポートを導入するのが特徴です。専門スタッフの配置や個別支援計画の作成が挙げられます。

インクルーシブ保育については、以下の記事をご覧ください。

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統合保育の現状と課題

統合保育は、日本全国で徐々に広がりを見せていますが、まだ多くの課題が残されています。

障がいを持つ子どもと障害がない子どもを同じ空間で育てるためには、保育士のスキルや知識、施設の環境整備が求められます。また、保護者の理解を得るための取り組みも必要となるでしょう。

結果的に、保育士の十分なリソースが確保できず、保育の質にばらつきが生じることが問題視されています。

統合保育のメリット

統合保育のメリットは、以下の5つです。

• 【園児】福祉の心が育つ
• 【園児】他者との違いを個性として尊重できる
• 【園児】自己肯定感が向上する
• 【保育士】障がいの正しい知識やスキルが身に付く
• 【保育士】保護者とのコミュニケーション力が高まる

それぞれ詳しく解説します。

【園児】福祉の心が育つ

統合保育では、子どもたちが互いの違いを自然に受け入れられる環境を整えられます。障がいを持つ友達と日常的に接することで、他者を思いやる気持ちや共感能力が育まれます。

これらの経験は、子どもたちが将来社会に出たときに大きな財産となるでしょう。

【園児】他者との違いを個性として尊重できる

子どもたちは、他者との違いに気づき、それを「個性」として尊重する姿勢を学びます。統合保育では、多様なバックグラウンドを持つ子どもたちが共に学ぶため、自然と「違いがあるのは当たり前」という概念が醸成されます。

【園児】自己肯定感が向上する

統合保育では、個々の特性に応じたサポートを受けることで、障がいを持つ子どもたちも達成感を味わえます。達成感は自己肯定感の向上に繋がるため、成長をさらに促せるでしょう。

【保育士】障がいの正しい知識やスキルが身に付く

統合保育を実施することで、保育士は障がいに関する知識やサポートスキルを高められます。より質の高い保育を提供できるだけでなく、保育士のキャリアアップにも繋がります。

【保育士】保護者とのコミュニケーション力が高まる

障がい児の保護者とのやり取りを通じて、保育士のコミュニケーションスキルが向上します。このスキルは、健常児の保護者対応にも活かされ、保護者全体の信頼を得られるようになるでしょう。

統合保育のデメリット

統合保育のデメリットは、以下の3つです。

• 【園児】活動に物足りなさを感じる可能性がある
• 【園児】孤立してしまう可能性がある
• 【保育士】障がい児にかかりきりになる可能性がある

それぞれ詳しく解説します。

【園児】活動に物足りなさを感じる可能性がある

健常児が統合保育に参加する際、活動内容が制約される場合があります。その結果、一部の園児が物足りなさを感じてしまう可能性があるため注意が必要です。

健常児と障害を持つ子ども双方の、活動のバランスを取る工夫が求められます。

【園児】孤立してしまう可能性がある

障がいを持つ子どもが集団の中で孤立してしまうリスクも否定できません。特に、支援体制が不十分な場合には、子ども自身が居心地の悪さを感じることがあります。

孤立感を感じさせないためには、保育士の細やかな配慮が必要となります。

【保育士】障がい児にかかりきりになる可能性がある

統合保育では、障がい児へのサポートが手厚くなる一方で、他の園児への配慮が不足する可能性があります。この課題を解決するには、適切な人員配置や支援スタッフの導入が鍵となります。

統合保育の事例

統合保育の現場では、障がいを持つ子どもと健常児が同じ空間で学び、遊ぶ環境が提供されています。取り組みの事例を以下にまとめました。

【バリアフリーの環境づくり】
車椅子の子どもが自由に移動できるように廊下を広げたり段差をなくしたりしており、音声で指示を出す機器を導入して、視覚障がいのある子どもが活動に参加できるように工夫している。

【個別サポートの導入】
障がいの特性に応じた個別支援計画を作成し、専門スタッフがサポートを行う。特定の課題を抱える子どもが集団生活にスムーズに溶け込めるようになる。

【園児同士の協力活動】
園児がペアを組んで行う活動を取り入れることで、障がいを持つ子どもと健常児が自然に助け合う機会を作っている。他者を理解し尊重する気持ちが育まれる。

上記の事例は、統合保育が子どもたちの学びや成長だけでなく、園全体のコミュニティづくりに寄与していることを示しているといえるでしょう。

統合保育を取り入れる際のポイント

統合保育を導入する際には、適切な環境整備と保育士のスキル向上が欠かせません。さらに、園児同士の自然な交流を促進することが大切です。

ここからは、統合保育を取り入れる際のポイントを具体的に解説します。

保育環境を整備する

統合保育を実現するためには、保育環境の物理的・精神的な整備が重要です。子どもたちが安心して過ごせる場を提供するため、以下のように環境を整備しましょう。

• 施設内の段差をなくし、車椅子や歩行器を使用する子どもが自由に動ける環境を整える
• 視覚的な絵カードや、音声案内付きの教材など、すべての子どもが学びやすい工夫を施す
• 音や光に敏感な子ども向けに静かなスペースや薄暗い部屋を設置し、安心して過ごせる場所を確保する

整備を整備することにより、すべての子どもが無理なく集団生活に参加できるようになります。

園児同士のコミュニケーションを促進する

統合保育の現場では、園児同士が自然に交流できるような環境づくりが必要です。そのためには、次のような活動を取り入れると効果的でしょう。

• ペア活動の導入
• 多様性や他者理解をテーマにした絵本や物語の活用

ペア活動の導入では、障がいを持つ子どもと健常児をペアにし、一緒に工作やゲームを行うことで協力意識を育めます。多様性や他者理解をテーマにした絵本や物語を活用することで、子どもたちが楽しみながら学べる環境を提供すると良いでしょう。

また、園児同士のコミュニケーションの場を設けるためには、保育士の適切なフォローも求められます。コミュニケーションが苦手な子どもに対して、保育士が対話をサポートし、他の園児との関係構築を促すと良いでしょう。

園児同士のコミュニケーションを促進することで、子どもたちは自然と互いの違いを尊重し、協力し合うスキルを身につけられます。

保育士のスキルアップ研修を実施する

統合保育を成功させるためには、保育士が必要な知識とスキルを持つことが欠かせません。保育士のスキルアップには、以下のような研修が有効です。

• 障がい児保育の基礎知識
• ケーススタディ研修
• 保護者対応スキルの向上

障がい児保育の基礎知識は、障がいの種類やその特性について学び、適切な対応方法を理解します。ケーススタディ研修では、実際の保育場面を想定することで、課題解決力や実践力を高められます。

これらの取り組みにより、保育士は子どもたち一人ひとりに合った適切なケアを提供できるようになります。

まとめ

統合保育は、障がいの有無に関わらず全ての子どもが共に学び育つ保育形態で、子どもたちが多様性を学び、将来の社会に役立つ価値観を育む貴重な場となっています。インクルーシブ保育と混同されがちですが、具体的な支援や環境整備に重点を置く点が異なります。

統合保育には、子どもたちが福祉の心を育み、他者の違いを尊重する姿勢を身につけられるのが特徴です。また、保育士にとってもスキル向上や保護者との信頼関係構築といった利点がある一方で、活動のバランス調整や支援体制の充実が課題となっています。

統合保育を導入する際は、保育環境の整備や園児同士のコミュニケーション促進、保育士のスキルアップを図ると良いでしょう。

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