公定価格は、保育園の運営にとっては非常に重要な財源になるといっても過言ではありません。保育している子どもの人数や運営方法によって公定価格が変わるため、しっかりと理解して保育園の運営を行うことが大切です。
この記事では、保育園の運営に欠かせない公定価格の内訳や計算の仕方などを詳しく解説します。
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引用元:保育のカタチ
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公定価格とは?
教育や保育、地域で必要な保育に対し、一般的に必要だと考えられる費用を公定価格といい、子育て支援の拡充や質の向上を進めるために制定されました。保育園など子育てのための施設を充実させるため、施設型給付費や地域型保育給付費の費用を算出するための財政支援となります。
はじめに、施設型給付費と地域型保育給付費について見ていきましょう。
その他の保育園経営に役立つ補助金については、下記の記事をご覧ください。
施設型給付費
施設型給付費は、もともと個別対応だった保育施設への財政支援を一本化するために創設された制度です。保育支援の量を拡充し、保育園の事業者へ直制支援を行う仕組みとなっています。
施設型給付費の対象となるのは、以下の3つの施設です。
- 保育所
- 認定こども園(幼保連携型、幼稚園型、保育所型、地方裁量型)
- 幼稚園(子ども・子育て支援制度に移行する園が対象)
施設により認定区分が変わるため、事前に把握しておくことが大切です。
認定区分 | 給付の内容 | 利用定員を設定し 給付を受ける施設や事業 |
---|---|---|
教育標準時間(1号)認定子ども 満3歳以上、就学前の子どもで2号認定子ども以外 | 教育標準時間 | 幼稚園認定 こども園 |
保育(2号)認定子ども 満3歳以上、就学前の子どもで家庭において必要な保育を受けることが困難な子ども | 保育短時間 保育標準時間 | 保育所認定 こども園 |
保育(3号)認定子ども 満3歳以上、就学前の子どもで家庭において必要な保育を受けることが困難な子ども | 保育短時間 保育標準時間 | 保育所認定 こども園 小規模保育など |
給付される公定価格は「教育・保育給付認定区分」や「年齢」「保育時間」によって異なるため、園児の人数により金額に差が生じます。
地域型保育給付費
2015年に創設された「地域型保育給付費」は、保育事業への財政支援として小規模保育施設を運営する事業者に支援をするためのものです。対象となるのは、小規模保育施設に該当する以下の4つの施設です。
- 小規模保育
- 家庭的保育
- 居宅訪問型保育
- 事業所内保育
0~2歳児が対象となるため、先述で解説した認定区分においては、3号認定をもとに公定価格が算出されることになります。
公定価格の計算方法
公定価格は「基本分単価」と「各種加算額」により算出されます。ここでは、公定価格の計算に用いられる内容について、詳しく解説していきます。
基本分単価
公定価格を計算するときの「基本分単価」とは、保育に必要な基礎的な経費として事業費や人件管理費に対し、子ども1人あたりの単価が決められた価格のことです。
基本分単価には、子どもの年齢などが影響する「認定区分」と、施設の場所における「地域区分」があります。
認定区分と地域区分について解説するので、参考にしてください。
子どもの認定区分
子どもの人数が影響する認定区分では、基本分単価について、次の4つの区分をもとに算出されます。
- 子どもの定員
- 認定される子どもの数
- 子どもの年齢
- 保育時間など
基本分単価では、子どもの人数が大きく影響しており、公定価格のほどんどを占めることになります。そのため、正確な子どもの人数と保育時間などにおける認定区分の把握を、しっかり行なっておくことが大切です。
地域区分
地域区分は物価が高い地域への配慮のために制定されており、市町村によって以下の8区分にわかれています。
- 20/100
- 16/100
- 15/100
- 12/100
- 10/100
- 6/100
- 3/100
- その他地域
物価が高ければ人件費も上がり、他の地域と同比率の公定価格だと、保育園の運営や収支に影響を及ぼしてしまいます。公定価格における地域区分は、国家公務員が地域手当を受けるときに用いられる「支給割合の地域区分」と連動しており、分子の数が大きくなるほど、公定価格の単価が上がります。
各種加算分
公定価格の計算をするときに加算される項目は数多くあり、基本単価分から加算されたり、調整として差し引かれたりして計算されることになります。代表的な加算項目は以下のとおりです。
- 処遇改善等加算Ⅰ~Ⅲ
- 3歳児配置改善加算
- 休日保育加算
- 夜間保育加算
- 園長が設置されていない場合(調整)
- 土曜日に保育していない(調整)
保育士の数が不足し、園長が保育現場に入っている場合、加算ではなく減額対象の調整が入るため注意が必要です。また、保育園の状況が毎月変化する場合は、加算項目を取得できるかどうか確認しておかなければなりません。
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公定価格は計算ソフトを用いて計算できる
公定価格は、こども家庭庁で公開されている計算ソフトを使えば、簡単に計算できるようになっています。
保育園の子どもの定員や各種加算または調整分を入力すると、保育園が受け取れる公定価格の年間総額や園児1人あたりの金額まで自動で計算されるようになっています。
ただし、年度途中に入退園した児童は含まれないため、注意しましょう。
参考:子ども・子育て支援新制度における公定価格の試算ソフト(令和4年版)|こども家庭庁
子ども一人当たりの公定価格の計算方法
公定価格は、保育園を運営するにあたり、非常に大きな運営資金となります。保育士の人件費や保育施設の充実をはかることができますが、在園する子どもの年齢や人数が公定価格に影響することを覚えておきましょう。
ここでは「子ども一人当たりの公定価格の計算」で必要となる、定員区分や年齢区分、加算・調整項目について解説します。
定員区分
基本分単価を計算するとき、定員区分では認可定員ではなく、実際に保育園に在籍している子どもの数をもとに計算されます。
また、保育園がある地域区分によって基本分単価などは変わるため、必ず地域区分を確認したうえで定員区分を選択しましょう。
年齢区分
年齢区分は、在園する子どもの年齢が対象です。園児の年齢とは、各月の1日における「子どもの満年齢」が基準となります。
ただし、4月1日に満年齢が1歳下の年齢区分となる場合は、年間を通じて同じ単価を適用することになるので、間違えないよう注意しましょう。
加算・調整項目
保育施設で加算または調整項目がある場合は、基本分単価に加算される金額を計算していきます。加算と調整の判断は、基本分単価と加算・調整項目の間に「+」や「-」の表記があるので、よく確認しながら試算しましょう。
たとえば、「処遇改善等加算Ⅰ」では、保育標準時間認定などによって加算されますが、土曜日に保育を行わない場合は、調整として基本分単価からマイナスとして差し引かれます。
保育園の公定価格を計算する際は、こども家庭庁「別表第2 保育所(保育認定)」を参考にしてみてください。
まとめ
保育園の運営に欠かせない公定価格は、子育て支援の拡充や質の向上を進めるためにつくられた「子ども・子育て支援制度」ですが、子どもの人数によって金額が大きく異なります。
保育施設の充実や保育士への人件費などに充てられるため、どのように公定価格が計算されるのかを、よく理解しておくことが大切です。
特に、基本分単価に上乗せされる加算項目は、保育園の運営方法により調整となってしまわないよう、公定価格も意識しながら健全な保育施設の運営を行ってください。
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