メディアでよく耳にする機会が増えたSDGsに関して「保育園ではどのように取り組めば良いのかわからない」と悩んでいる園関係者の方もいるでしょう。
この記事では、保育園で実践可能なSDGsへの取り組み例や年齢別のおすすめの遊びを詳しく紹介します。子どもたちにSDGsをわかりやすく教えるコツもお伝えするので、ぜひ活用してください。
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引用元:保育のカタチ
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SDGsとは?
引用元:国際連合広報センター公式サイト
SDGs(エスディージーズ)とは、2015年9月に国連サミットで採択された国際社会共通の「持続可能な開発目標」のことです。
世界中の人が差別や偏見なく豊かに暮らせることと、地球環境の保全継続のために17の目標169のターゲットが設定され、2030年までの達成を掲げています。
はじめに、SDGsのポイントとなる「17の目標」と「5つのP」について解説します。
17の目標
SDGsで設定された17の目標は、以下のとおりです。
- 貧困をなくそう
- 飢餓をゼロに
- すべての人に健康と福祉を
- 質の高い教育をみんなに
- ジェンダー平等を実現しよう
- 安全な水とトイレを世界中に
- エネルギーをみんなにそしてクリーンに
- 働きがいも経済成長も
- 産業と技術革新の基盤をつくろう
- 不平等をなくそう
- 住み続けられるまちづくりを
- つくる責任つかう責任
- 気候変動に具体的な対策を
- 海の豊かさを守ろう
- 陸の豊かさを守ろう
- 平和と公正をすべての人に
- パートナーシップを
(引用元:国連SDGs公式サイト)
5つのP
先述した17の目標を形作る考え方として、Pで始まる5つのキーワードがあります。
- People(人間):すべての人間を平等で大切に
- Prosperity(豊かさ):経済的かつ安全な豊かさ
- Planet(地球):地球環境を守り自然と共存
- Peace(平和):争いのない平和な世界
- Partnership(パートナーシップ):身近な所からそして世界中の人と協力
5つのPからSDGsを理解していくと、実際に取り組みやすくなります。
保育園で取り組めるSDGsとは?
SDGsについて理解できたところで、実際に保育の現場ではどのように取り組めば良いのか気になる方も多いでしょう。
ここからは、保育園で取り組める例を7つ紹介します。
食品ロスを減らす
保育園でできるSDGsの取り組み1つ目は、食品ロスを減らし、食育をすることです。楽しみな給食やお弁当の時間に食品ロスを出さないようにしましょう。
食べものを口にするまでには多くの方が関わっていること、世界には少しの食べものさえ口にできず、亡くなる子どもがいることを伝えるだけでも効果的です。
ただし、あまりにも給食で食べ残しが多い場合は、子どもに出す給食の量を見直す必要があるかもしれません。
また、野菜くずで染めものをしたり、食べ残しでたい肥を作ったりすることで「残さない」だけでなく「無駄にしない」ということを学べて食に関する感謝の気持ちを育めるでしょう。
ジェンダーレス教育や質の高い教育を実現する
保育園でできるSDGsの取り組み2つ目は、ジェンダーレス教育と質の高い教育を実現することです。
SDGsでは、男女関係なくだれもが公平に良い教育を受けられるようにという目標を掲げています。保育士は「男の子だから、女の子だからこの遊びはしてはダメ」といった接し方をしないようにし、性別関係なく子どもに接しましょう。
そして、子どもたちには「男女で役割を決めつけない」ということを理解してもらうことが重要です。
節水・節電を行う
保育園でできるSDGsの取り組み3つ目は、節水や節電を行なうことです。
水道を出しっぱなしにしない・エアコンの設定温度に気を付けるなど、小さなことからでもかまいません。節水・節電は、毎日のちょっとした行動の積み重ねで実現できます。
手洗い場に節水ステッカーを張るなどをして子どもたちにも節水・節電を伝えることで、家庭でも心がけてくれるようになるでしょう。
ペーパーレス化をして紙の使用量を減らす
保育園でできるSDGsの取り組み4つ目は、ペーパーレス化をすることです。紙の主原料は木であるため、紙を消費することは森林破壊につながります。
ペーパーレス化を実現するためには、ICTを導入すると良いでしょう。ペーパーレス化をすることによって保育士の業務を軽減でき、離職を防ぐことにもつながります。
また、ペーパーレス化により可燃ごみが減ったり、保育士のデスク周りもすっきりし作業効率もUPしたりと、メリットはたくさんあります。まだICTを導入していない園関係者は、ICTの導入を検討してみてください。
ICT活用について詳しく知りたい方は下記の記事もご覧ください。
植物を育てる
保育園でできるSDGsの取り組み5つ目は、植物を育てることです。身近な植物を通して自然の大切さを学ぶことで「15.陸の豊かさを守ろう」につなげられます。
園庭のプランターでお花や植物を育てたり公園へ足を運んだりしながら、自然とふれ合い自然の大切さを学ぶ機会を作りましょう。気になった花や植物、虫などについて調べることで子どもたちはさらに興味を持ち、森林伐採や海洋汚染の知識も得られます。
感染症にかからないようにする
保育園でできるSDGsの取り組み6つ目は、感染症にかからないようにするということです。最近では、コロナウイルスが世界的に猛威をふるい、たくさんの方の健康が脅かされつらい思いをしました。
「普通の生活」ができることのありがたさを知るとともに、感染予防の大切さも学んだ方が多いのではないでしょうか。保育園でも感染予防や手洗いの大切さを園児に伝え、みんなが健康で暮らせるようにすると良いでしょう。
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SDGsに関するおすすめの年齢別遊び
ここでは、年齢別にSDGsに関するおすすめの遊びを紹介します。これらは、あくまでも一例です。子どもは個人差が大きく、アレルギーなどを持っている子どももたくさんいるため、注意して実施してください。
0歳児におすすめの遊び
0歳児におすすめの遊びは、以下のとおりです。
おすすめの遊び | 取り組み目標 |
---|---|
スポンジ・卵のパックなどを触って感触や音の違いを感じる | 3.すべての人に健康と福祉を |
切る前の野菜や果物を触る | 2.飢餓をゼロに |
マット山・風船マットなど成長に合わせて全身で遊ぶ | 3.すべての人に健康と福祉を |
0歳児は、寝返りの打てない子どもから歩ける子どもまでさまざまです。触ることからはじめて、からだを動かすことに移行していくと良いでしょう。
1歳児におすすめの遊び
1歳児におすすめの遊びは、以下のとおりです。
おすすめの遊び | 取り組み目標 |
---|---|
草花の匂いを楽しむ | 15.陸の豊かさを守ろう |
絵の具で色遊びをして色が混ざる変化を楽しむ | 9.産業と技術革新の基盤をつくろう |
小麦粘土で形の変化を楽しむ | 9.産業と技術革新の基盤をつくろう |
ペットボトルに節分の豆を入れて遊ぶ | 12.つくる責任つかう責任 |
1歳児は、からだを使って感じる遊びを取り入れるのがおすすめです。
2歳児におすすめの遊び
2歳児におすすめの遊びは、以下のとおりです。
おすすめの遊び | 取り組み目標 |
---|---|
押し花を作る | 15.陸の豊かさを守ろう |
小麦粘土を一から作って遊ぶ | 9.産業と技術革新の基盤をつくろう |
プランターに植物の種を植えて育てる | 15.陸の豊かさを守ろう |
色々な野菜を水槽に入れて浮くか沈むかのクイズで野菜に興味を持たせる | 2.飢餓をゼロに |
2歳児は「なぜ?」という疑問を持つ年代のため、理由づけて理解させてあげると良いでしょう。
3〜5歳児におすすめの遊び
3〜5歳児におすすめの遊びは、以下のとおりです。
おすすめの遊び | 取り組み目標 |
---|---|
「赤い実」「黄色い葉っぱ」など数個の条件を書いたカードを作って公園でスタンプラリーをする | 15.陸の豊かさを守ろう |
世界地図の塗り絵をして他の国に興味を持たせる | 10.不平等をなくそう |
野菜の畝作りから収穫まで一連の作業をする | 2.飢餓をゼロに |
毎日「今日は何の日クイズ」をしてさまざまなことに興味を持たせる | 4.質の高い教育をみんなに |
ホットプレートで簡単な料理をする | 12.つくる責任つかう責任 |
3歳以降は複雑な作業が可能な年齢となるため、遊びの幅も広がります。料理をしたり、世界地図を活用したりしてさまざまなSDGsに関する取り組みを行うと良いでしょう。
SDGsに関するおすすめの制作
SDGsに関するおすすめの制作は、段ボールや牛乳パックなどの廃材を利用する制作です。廃材を利用しておもちゃを作ることで、SDGs「12.つくる責任つかう責任」の取り組みが実現できます。保育士が作るのではなく、子どもたちが主体となって制作できるようにしましょう。
子どもは何かものを作り始めると夢中になり、できあがったときには自分の作品に対してとても強い思いをよせます。「廃材からもおもちゃが作れるんだ」と実感してくれるでしょう。
段ボールや牛乳パック以外にも、乳酸菌飲料の空きボトル・トイレットペーパーやラップの芯を使ったり、シュレッダーの紙ごみから再生紙を作ったりするのもおすすめです。
また、玉ねぎの皮を利用してTシャツやバンダナを染めて、運動会や発表会でお揃いでつけても良い思い出を作れます。
SDGsに関するおすすめの絵本
SDGsに関する絵本には、どのようなものがあるのでしょうか。SDGsついてわかりやすく教えてくれる絵本は「わたしがかわる みらいもかわるSDGsはじめのいっぽ」です。
こちらの作者は外務省で国内外のSDGsを担当しており、子どもでも理解できるようにSDGsについてわかりやすく書かれています。
その他にも、以下の絵本も取り入れると良いでしょう。
- わたしがぼくが ちきゅうのためにできる10のこと
- もったいないおばさん
- もったいないおばさんの いただきます
- せかいでいちばん おかねもちのすずめ
- せかいのひとびと
- みずくみに
- ランドセルがやってきた
園児にSDGsをわかりやすく伝えるためには?
ここからは、子どもたちのSDGsをわかりやすく伝えるためのポイントを2つ紹介します。
遊びを通して理解できるようにする
1つ目のポイントは、遊びを通して伝えることです。遊びの中でも自然遊びが一番伝わりやすいでしょう。子どもたちと自然の中で生きもの・草花・季節を感じることで、さまざまなSDGsにつながります。
さらに、自然遊びは子どもたち本人の健康にもつながるため、積極的に取り入れるのがおすすめです。
絵本を用いてSDGsに触れられるようにする
2つ目のポイントは、絵本や紙芝居を用いることです。絵本や紙芝居に夢中になると、子どもは絵本の世界に自分が入ったように感じます。つまり、自分で理解して身に着けることが可能になるということです。普段から、SDGsに関する絵本を保育に取り入れるのもおすすめです。
また、保育施設のさまざまなところに17の目標の中から該当するマークを貼ることで、常に視覚から意識させることもできます。ただし、マークは使用制限があるため、使用時はガイドラインを参照してください。(国際連合広報センター-SDGsのポスター・ロゴ・アイコンおよびガイドライン)
まとめ
この記事では、子どもたちにわかりやすくSDGsを伝えるにはどうすれば良いのか、どのようなことに取り組むと良いのかを紹介しました。
SDGsの目標はよく考えれば当たり前のことですが、改めて掲げられると実行していこうという気持ちになります。ひとりの小さな意識が世界中の未来につながっていくため、積極的に保育園でも取り組みを行いましょう。
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