【保育園・幼稚園の採用担当者必見】行動面接で理想の人材を採用しよう

目次

はじめに

幼保施設の採用においても、ほとんどの園で面接での評価が選考に含まれています。
面接は採用活動において、園と求職者が限られた時間の中でお互いを見極める重要な時間です。

・優秀な人が集まらない
・選考離脱や内定辞退が多い
・自園の理念、保育観とマッチしているかどうかが分からない
・求職者の価値観が見極められない
・面接官ごとに採用基準が違う、または曖昧
・印象や主観で選んでいる

など、採用に関する課題の声は多いです。
この課題の原因の一つとして、採用基準が曖昧である、ということが挙げられます。

また、人手不足により、せっかくの面接が妥協の場になってしまい、安易に採用した結果ミスマッチが起きてまた人手不足になる、というような悪循環が起きてしまうことも。

この記事では、人手不足に陥る前に、採用基準や面接を整備して、今後の園の将来を担う人材を前向きに採用していくための方法をご紹介します。

この課題を解決のするためには採用基準を明確にして、行動面接をするのがおすすめです。

自園の採用基準を考えてみる

いま、みなさんの園では、採用基準はどのような基準でしょうか?
この質問に明確に答えられるようであれば、下の行動面接の話に進んでいただいて大丈夫です。

例えば、

「体力がある人」
「根性がある人」
「明るくて素直な人」

という人柄に対しての基準や

「保育士資格を持っている人で経験3年以上」
「幼稚園教諭の免許を持っている人」

など、スキルや経験に対しての基準を答えにするかもしれません。

園の採用基準を決める際には、園の理念や大切にしている価値観、職場の雰囲気、活躍しているスタッフの行動を参考にして、どのような人材がマッチするのか、望ましいのかを明確に言語化しておく必要があります。

具体的にどのようなことなのか、次でご紹介していきます。

採用基準の決め方

仕事で成果を出すために必要な「KSA」

KSAとは、

・Knowledge:仕事で役に立つ知識
・Skill:仕事に必要な技術
・Attitude:仕事に臨む上での心構え・姿勢・態度

のことをいいます。

多くの採用担当者や人事は、この3つのうち、Aの部分、つまり姿勢や態度を大切にしています。知識やスキルは、入社後にいくらでも身につけることができるからです。

もちろん最低限の知識やスキルは必要です。
しかし、幼保施設の退職理由の上位に人間関係がきていることから、いくら知識やスキルがあっても、園風や組織に適応できずに早期退職してしまう人が多く、ミスマッチの原因になっています。

重要なのは、知識やスキルを使って、どのように行動できるか、つまり、行動能力です。

この行動能力を具体的に明確に言語化して、園内、あるいは会社内での共通言語として共有しておく必要があります。

採用基準を決める時の3つの材料

採用基準を決める時には、以下の3つの材料から考えてみることをおすすめします。

・経営理念
・園の特徴、雰囲気、職員の仕事の進め方
・活躍している職員をモデルにしてみる

経営理念から考えてみる

園の経営理念、保育理念には、保育担当や調理担当などの部門が違ったとしても共通している判断基準が書かれていることが多いです。

自園の職員に本当に求める要素は何か、理念から検討してみます。

園の特徴、雰囲気、職員の仕事の進め方から考えてみる

園の雰囲気は、社風や文化によって異なります。自園にはどのような雰囲気の人が合っているのか、どのような特徴のある人なら、組織に順応できるのかを考えてみます。

活躍している職員をモデルにして考えてみる

現在活躍している職員の行動を分析して考えてみます。
例えば複数人活躍している人物をピックアップして、行動や行動原理に共通点はないか、活躍している人がしていて、ちょっとパフォーマンスの低い職員がしていないことなどを洗い出して、行動を能力要件として言語化してみましょう。

必要な能力に優先順位をつける

このように考えて洗い出した能力要件について、全てを満たす人物は超人とも呼べるような人になっている可能性があります。
採用基準を決定する上では、要件に優先順位をつける必要があります。
この要素だけは譲れない、他がいくら高くても、この能力が低かったら採用しない、など、優先順位をつけておくことが大切です。

採用基準を決めるためのステップ

採用基準を決めるための手順をまとめると、

・「知識やスキル」に必要な基準を洗い出す
・「潜在的な能力要件」の必要な基準を洗い出す
・それぞれに優先順位をつける(「必須(マスト)」「できれば必要(WANT)」「あれば加点」など)
・マスト項目が多すぎないか、しっかり具体的な表現になっているかをチェックする

このような順序で、採用基準を明確にしていきましょう。

なぜ採用基準を守れないのか

せっかく採用基準を明確にしても、いざ面接の評価の際に、この基準を反故にしてしまっては意味がありません。
「当てはまらなかったけど採用した」というご経験もおありかと思います。

その理由として、

・面接してみると、基準以外の良い点が目についた
・必須ではない要件の専門的なスキルが圧倒的だった
・欠点がなかった
・入社後に教育することで何とかなると思った
・上長の鶴の一声でGOサインを出してしまった
・人手不足のために妥協をしてしまった
・基準を満たしているか確信がないまま採用してしまった

などの声がよく聞かれます。

結果的に、採用基準を守れない採用はもちろんうまくいく可能性も少しはあるでしょうが、大抵は失敗に終わると言えるでしょう。

なぜなら、採用基準を守って採用したとしてもうまくいくかどうかは採用してみないと分からないのに、採用基準を守れずに妥協してしまった採用では、その可能性は下がる確率の方が高いからです。

選考に迷ってしまった時は、採用基準に立ち返って考えることが重要です。

これまでの面接の課題

これまでの従来型の面接のやり方では、以下のような課題がありました。
みなさんの園ではどの程度当てはまっているでしょうか。

・面接で十分な記録を取っていない
・第1印象や応募書類から受けた1つの印象で他が全部よく見える、または悪く見える
・面接の事前準備が不足している
・面接者が複数の場合、質問内容が重複する
・面接者が応募者の情報を誤って解釈する
・面接者が応募者の動機を見逃す
・応募者についての重要な情報を収集していない
・面接で応募者が園に失望する
・採用基準が園全体に浸透していないため、応募者の潜在能力に気付けない
・採用を前提とした面接をしている

このような課題に多く当てはまっているようであれば要注意です。
面接の仕組みを見直してみる必要があります。

ここで、一つおすすめの面接方法をご紹介します。
それが、「行動面接」という方法です。

行動面接とは

行動面接とは、従来型の面接の問題点を解決するために以下の3つの要素を戦略的に行う面接のことです。

・計画的な面接
・職務に必要な行動能力にフォーカス
・面接全体を仕組み化する

それぞれ詳しくご紹介していきます。

計画的な面接とは

行動面接では、あらかじめ準備された質問を行います。
まずは採用したい人物像を明確に描きます。
そして必要な能力要件(スキル・ディメンジョンという)のリストを作成して、面接で評価に必要となる情報を質問から集めます

この過程で、事前に「面接シート」を準備しておき、質問項目をあらかじめ記載しておくことによって、質問のばらつきや重複がなくなり、時間もうまくコントロールすることができます。

職務に必要な行動能力にフォーカス

行動面接では、職務で成果を上げるためにどのような行動能力が必要かに注目して、具体的な行動に関する情報を引き出していきます。
行動に関するデータが欲しいので、職務遂行能力を中心とした質問を行っていきます。

面接全体を仕組み化する

属人的でバラバラに面接を行うのではなく、面接全体の流れを組織化する、ということです。
具体的には、統一された採用基準を元に、それぞれの役割分担、面接の構成や手順を体系化、スケジュールの統一をはかります。

この目的は、できるだけ組織としての面接を行うことで、主観的な部分を排除して、客観的な面接にするということです。

評価は複数名による合議制で決まり、評価は行動事実に基づいて行われます。
面接者の主観を取り除き、客観的データによって、職務遂行能力を評価します。

面接での9つの評価項目

行動面接では、以下の9つの項目で評価をしていきます。
もちろん、職種や職務、ポジション、新卒なのか中途なのか、によって、必要とする項目の重要度や優先度は変化します。
みなさんの園それぞれで考えてみてください。

面接での行動質問によって見抜ける能力
・イニシアティブ:より高い目標に向けて、自分で考えて他者より先に行動を開始する能力
・バイタリティ:課題をやり遂げようと最後までやり切る能力
・自主独立性:周囲の意見や反応に惑わされず、自分の信念に基づき職務を遂行する能力
・柔軟性:状況に応じて自分の行動ややり方を修正し、適応できる力
・感受性:個人や集団の感情や欲求を感じ取って、反応、対応する力

面接での観察によって見抜ける能力
・インパクト:自信ある態度や親しみやすい雰囲気で、他から注目を引き、強く印象づける力
・理解力:会話や文章の中から、要点を正しく把握する力
・表現力:自分の考えや情報を会話や発表の際に明確に、効果的に伝える力
・ストレス耐性:様々な圧力や抵抗の中でも安定して職務をやり遂げる
この項目について、評点がつけられるようになることで、行動面接が効果を発揮できるようになります。

幼保施設ではどの項目を使えばよい?

それでは幼保施設ではどの項目に優先度があるでしょうか?

求められるポジションや役職によっても変わってきます。
例えば主任などの管理職であれば、
業務遂行に関する力や、統制をとるための決断力、分析力、各種コミュニケーションに関する能力が重要です。

逆に一般の保育スタッフであれば、
対人関係のスキルと意思疎通のスキル、個人的なスキルを総合して判断すれば良い、という形になります。

どの能力にどのくらいのレベルが必要か、については、園の方針によって変化します。
自園に必要な人物像と照らし合わせて、調整する必要があります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
幼保施設で効果的に人材を採用するにあたって必要な考え方として行動面接がある、ということ、行動面接の基礎的な考え方について、今回はご紹介しました。

是非面接の方法を見直す際の参考にしてみてください。

さらに詳しく行動面接について知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。

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この記事を書いた人

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