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はじめに:保育園の運営委託とは?

保育園運営委託とは、保育施設の運営全般を外部の専門企業に任せる仕組みです。自社で保育士の採用や教育を行う必要がないため、運営に関わる負担を大きく軽減できる点が特徴と言えます。
一方で、直営と比べるとノウハウが社内に蓄積されにくい面もあるため、自社の目的や規模に合わせて委託形態を検討することが大切です。サービスの質を高めたい場合には、委託先企業の豊富な運営実績と専門的な知見は大きな武器となります。
この記事では、自社に最適な保育サービスを実現するための基本的な知識として、以下の点を幅広く取り上げます。
- 運営委託の種類と特徴
- 主要な委託業者の比較
- 業者選定のチェックポイント
- 導入プロセスと流れ
- 法的・税務に関する注意点
保育園運営委託の種類と選択肢
保育園を外部に委託するときには、企業主導型や院内・事業所内、公設民営など複数の形態から選ぶことが可能です。それぞれの仕組みや助成内容は大きく異なるため、理解を深めておくことが大切です。
形態 | 主な特徴 | メリット | 注意点 |
企業主導型 | 企業が主体となり、国の助成を受けて設置する。 | ・助成金によりコストを抑えやすい ・地域の子どもも受け入れ可能 | ・国の定める基準を満たす必要がある |
院内・事業所内 | 従業員のために設置する。 | ・夜勤やシフト勤務など柔軟な運営が可能 ・従業員の福利厚生として活用できる | ・原則として従業員向け(地域枠を設ける場合もある) |
公設民営 | 自治体が施設を設置し、運営を民間企業に委託する。 | ・公的機関の関与による信頼性と安定性 ・補助やサポートが充実している | ・運営方針などの自由度は比較的低い ・運営要件が厳格 |
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① 企業主導型保育施設とは
企業が主導し設置する保育施設で、国の助成制度を活用できる点が大きな利点です。
- 地域住民への門戸開放と定員管理のしやすさ 通常の企業内保育所と比較して、地域住民にも門戸が開かれるケースが多く、雇用者以外の子どもを受け入れることで定員管理のしやすさが向上します。
- 助成金活用によるコスト削減 企業主導型保育は運営コストを助成金で補う部分が大きいため、経費削減にもつながる可能性があります。
- 企業価値の向上 企業イメージ向上や離職率低減の効果も期待できるため、複数のメリットを総合的に検討するとよいでしょう。
運営中は、利用者のニーズや企業の方針を踏まえた保育プログラムを提案できる委託先が望まれます。委託企業とのコミュニケーションを密に行い、与えられたスペースや地域の特性を生かした施設運営を目指します。
② 院内・事業所内保育所の特徴
院内や事業所内保育所は、従業員の子育て環境を整えるうえで非常に役立ちます。
- 多様な勤務形態への対応力 夜勤や不規則な勤務にも対応できる人材配置を計画しやすいことから、看護師や交代勤務の職員が多い組織での導入が増えています。
- 地域貢献とイメージアップ 事業所内保育所の多くは原則として職員用ですが、自治体や施設規模によっては地域枠を設けることがあります。地域との交流を通じて、職場のイメージアップや地域貢献効果も得られるでしょう。
- 専門業者との連携 スタッフのシフトや設備投資など課題も多いため、経験豊富な委託企業と連携して進行するのが定石です。実績ある企業であれば、医療機関特有の感染対策や業種特有の労働時間にも柔軟に対応してくれます。
③ 公設民営保育所のポイント
公設民営保育所は、自治体が設置した保育施設を民間企業が運営する形式です。
- 公的機関による信頼性とサポート 公的機関がバックアップするため安心感が大きい反面、運営方針や人員配置など細かいルールが決められており、自由度はやや低めです。各種補助や支援が充実しており、自治体の監修のもとで運営が行われるため、運営企業にとっても安定的な協力体制を得られます。
- 契約条件の事前確認の重要性 公設民営を検討する際には、自治体との協議内容や契約条件をしっかりと把握しておく必要があります。施設設備や定員数の制限、スタッフの研修制度など、運営に必要な基準が比較的厳密に定められています。
保育園を委託する主要な業者一覧

保育園の運営を得意とする企業は数多くあり、それぞれ得意分野やサポート体制が異なります。自社のニーズにあった業者を見極めることが、成功につながる大切なポイントです。
株式会社アイグラン:病院内保育から企業主導型まで幅広い実績
- 多様な事業形態への対応力 病院内保育の運営管理に定評があり、医療機関ならではのニーズやシフトに合わせた体制を提案しています。さらに企業主導型保育施設の支援実績も豊富で、多様な事業形態に対応できる点が強みです。
- 質の高い運営体制 社内品質管理システムや研修制度を整えており、スタッフが生き生きと働ける環境づくりにも注力しています。定期的なモニタリングやヒアリングを行い、改善策をスピーディに実行できる点も高く評価されています。
- 柔軟な導入サポート 総合サポートのほかに、保育士の採用や教育に関する相談にも応じてくれるため、院内独自の事情を踏まえた柔軟な導入が可能です。
アートチャイルドケア株式会社:全国ネットワークを活かした充実サポート
- 全国規模での展開力 全国展開を行っており、広域的なネットワークを武器に多地域での保育園立ち上げや運営に対応していることが特徴です。遠方での開設や大規模施設の運営にも対応できるため、様々なニーズに合わせやすいと言えます。
- 専門的な保育プログラム 特に保育プログラムの研究開発にも力を入れ、子どもの発育を科学的な視点からサポートする取り組みがあります。
- 手厚い人事・採用サポート 人事・採用面でのサポート体制が整っているため、保育士不足やマネジメント面の問題を一括して相談できるのも利点です。スタッフ研修の充実度も高く、全国規模の情報交換や教育の機会が豊富に用意されています。
SOUキッズケア株式会社:柔軟なサポート体制とコスト面の強み
- コストを抑えた運営支援 企業主導型保育や事業所内保育の運営に強みを持ち、コストを抑えながらも必要なサポートを提供してくれる企業として知られています。
- 手厚いコンサルテーション 運営コンサルテーションも手厚いため、初めて保育園を開設する企業にも心強い存在です。保育園の規模や業種の特性に合わせて柔軟にプランをカスタマイズできるので、無理のない範囲で質の高い保育を提供しやすい点がメリットとなります。
- 安定運営に寄与する職場づくり スタッフ同士のコミュニケーション強化に重点を置いており、保育士が長期的に働きやすい職場づくりをサポートしていることが、園の安定運営にも寄与しています。
株式会社トットメイト:院内保育の専門性と人材育成
- 院内保育に特化したノウハウ 院内保育に特化したサービス展開を行い、医療従事者が安心して業務に取り組める環境を整えるノウハウを蓄積しています。夜勤や24時間対応が必要な現場にもスムーズに対応できる計画力が高い評価を得ています。
- 独自の研修プログラム 保育士の育成プログラムや研修も充実しており、看護学校との連携体験など、業界ならではの取り組みがユニークです。多岐にわたる保育ニーズに合わせたカスタマイズができるため、病院ならではの課題に着目したアドバイスを受けられます。
- 柔軟な人材活用 人手不足への対策として人材プールを有効活用するなど、柔軟な人員配置を可能にしている点が特徴です。医療現場のペースやシフトに合わせて、保育環境を効率よく運営できる仕組みが整っています。
その他の注目企業(メディフェア、アミー、キャリアリンクなど)
メディフェアやアミー、キャリアリンクといった企業も、保育園運営を幅広く受託しています。看護現場だけでなく、複数の業界でのコンサル実績を持っている場合が多く、総合的なサポートを期待できるでしょう。契約形態やサポート内容が異なるため、委託費用の内訳や派遣可能な保育士数など、細かな比較が必要です。特に地方や離島などの場合は、対応エリアが限られているかを事前にチェックするのが重要となります。
委託業者を選ぶ際に確認すべき4つのポイント

保育園運営をどの企業に委託するかは、長期的な成功に直結します。保育の質や費用面だけでなく、企業の対応力やサポート範囲など、複合的な観点から評価していくことが必要です。
Point 1:保育サービスの質
- スタッフ教育と保育方針 高品質の保育を実現するためには、スタッフのモチベーションとスキルアップを重視する社内研修が欠かせません。研修プログラムや自己啓発の機会が豊富な委託先を選ぶと、子どもの成長を多面的にサポートできます。また、保育方針がしっかり定められているかどうかも大切な評価ポイントです。
- 保護者・スタッフとの連携体制 子どもの発達段階に合わせた保育や、保護者との情報共有手段が明確に定められているかを必ず確認しましょう。事故や体調不良などに対して迅速に対応できるチームづくりができているか、日ごろからコミュニケーションが円滑に行われているかも見極めが必要です。
Point 2:コストと助成金対策
- 具体的な費用と助成金の活用 保育園運営には、施設設置費や人件費など、多岐にわたるコストが発生します。導入時の初期費用や毎月の人件費など、具体的な支出を試算するのが大切です。国や自治体の助成金を上手に活用できるかもコスト面では大きなポイントですので、提案内容と助成金スキームをきちんと比較しましょう。
- 申請手続きのサポート範囲 企業主導型保育施設の場合は国の助成金制度が活用できます。こうした手続きを代行してくれるかどうか、またはサポート範囲に含まれているかも選定時にチェックすると良いでしょう。
Point 3:継続性と本部サポート体制
- 企業の経営基盤 長期的かつ安定的に保育サービスを提供するためには、委託先企業の資本力や経営状況が堅実であることが求められます。突然の経営悪化や人材流出を防ぐためにも、事前に企業の実績や運営年数などをチェックしましょう。
- 本部のサポート体制 本部の専門チームやサポート部署がしっかりと機能しているかもポイントです。定期的な情報共有やアドバイスだけでなく、トラブルが起きた際のクレーム対応なども円滑に行ってくれるかどうか確認が必要です。
- 契約終了後の対応 契約終了後の対応についても、明確に決めておくと安心です。長期的な支援が期待できる企業を選べば、将来的な拡張やリニューアルもスムーズに行いやすくなるでしょう。
Point 4:開設業務代行
- 行政手続きの代行 保育園を開設する際には、認可や許認可の申請手続きなど手間のかかる業務が多彩にあります。行政とのやり取りや助成金の申請作業に慣れている業者であれば、スケジュールの遅延や書類不備を最小限に抑え、スムーズに開園を進められます。
- 設備準備の専門的アドバイス 設備準備の際には安全面や衛生面を重視した施設作りが欠かせません。園児の年齢や定員に応じたレイアウトや防災対策など、専門的な視点でアドバイスを行ってくれる委託先は信頼度が高いと言えます。
運営委託の導入プロセス
実際に運営委託を導入するにあたっては、事前に詳細な計画を立て、開園準備を念入りに進める必要があります。
- ステップ1:計画 【事業計画と保育方針の策定】 保育園を通じて会社のイメージアップを図るのか、福利厚生として従業員に利用してもらうのかなど、目的を具体的に定めておくことが重要です。また、保育の質や教育理念についても委託先企業とすり合わせ、ビジョンを一致させることが成功の第一歩です。
- ステップ2:準備 【契約から開園までの流れ】 委託契約を締結後、建物の改修や備品購入、保育士の採用など具体的な準備工程に移ります。開園間近には、保護者向けの説明会や地域への周知活動を実施し、信頼関係を築くことが欠かせません。
- ステップ3:運営・改善 【運営開始後のモニタリングと改善】 開園後は日々の保育の質を検証し、スタッフからのフィードバックや保護者アンケートなどを活用して問題点を洗い出します。委託先企業との定期ミーティングや視察の機会を設け、最新の保育情報や業界動向を共有することも大切です。
税務・法的手続きに関する注意点
保育園運営には独自の税務処理や契約手続きのルールが存在します。特に企業主導型保育施設は助成金も絡むため、十分な知識が必要です。
企業主導型保育施設の消費税取扱い
- 課税・非課税の混在に注意 企業主導型保育施設の運営においては、保育部分が非課税扱いとなる反面、その他の諸経費が課税対象となるケースがあります。たとえば保育料収入は非課税でも、委託費の一部は課税扱いになることがあるため、仕訳を誤ると税務上のトラブルにつながります。
- 専門家との連携 導入段階で税理士などの専門家の助言を得ることが望ましいですが、委託先企業にも消費税関係の実務に詳しい担当者がいると安心です。定期的に税制改正が行われるため、最新の法令や自治体の通知も常にチェックする必要があります。
運営委託契約の種類と法令順守
- 契約内容の明確化 運営委託は業務委託契約など複数の形態が想定されます。保育内容や責任範囲に加え、スタッフの雇用関係がどこに属するのかなどを正確に文書化することが不可欠です。
- 各種基準の順守 自治体や厚生労働省のガイドラインに従い、設備基準や職員配置基準などを満たす必要があります。契約締結後も定期的に監査を受けることがあるため、書類管理や保育士資格の確認など日常的に確認作業を行いましょう。
まとめ:最適な保育園運営委託とは
保育園運営委託は、専門企業のノウハウを活かして保育環境を整えたい企業や自治体にとって、効率的かつ質の高い選択肢となります。
- ポイント
- 自社に合った形態の選択: 企業主導型や院内保育、公設民営など、自社の目的や規模に合わせて検討し、適した委託形態を選ぶ。
- 信頼できる業者の選定: 保育の質をはじめ、コストやサポート体制、さらに税務・法的手続きを踏まえた総合的な判断が重要。
- 継続的な改善: 選定から開園後の運営まで綿密に計画を立て、定期的なモニタリングと改善を行う。
何より重要なのは、利用者である子どもと保護者、そして保育士が快適に過ごせる環境を整えることです。企業や自治体が専門家と連携し、豊富な実績を持った委託先を選ぶことで、長期的に安定し質の高い保育サービスを提供できるようになるでしょう。
\自園と相性のよい人材が長く働いてくれる、保育のカタチの採用支援/