企業で働く従業員にとって、身近に預けられる保育園の1つに企業内保育園があります。共働き家庭が増えた近年では、企業内保育園の重要性やニーズが高まりつつあります。
企業内保育園を開園するうえで、メリットやデメリットはあるか気になっている方もいるでしょう。この記事では、企業内保育園を開園することによるメリットやデメリットや、申請できる補助金について解説します。
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引用元:保育のカタチ
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企業内保育園とは?
企業内保育園とは、企業側が社内や近隣に設ける託児施設のことです。働く人にとっては、勤務場所の近くで子どもを預かってもらえるため、非常に利便性の高いサービスとなります。
ここでは、企業内保育園の種類や企業内保育園と保育園との仕事内容の違いについて解説します。
企業内保育園の種類
企業内保育園は、以下の3種類に分けられます。
- 認可保育園
- 認可外保育園
- 企業主導型保育園
企業内保育園を開設することを検討するうえで、どの種類を選択するのかを慎重に決定しなければなりません。各種類の詳細は、以下のとおりです。
認可保育園
認可保育園とは、関連法令である児童福祉法に従って国が定める基準を満たしており、自治体で認可された保育施設のことです。認可する基準としては、主に以下が挙げられます。
- 施設の広さ
- 保育士の数
- 調理・防災・衛生管理
- 設備
認可基準は、それぞれの自治体により異なるのが特徴です。企業内保育園の種類の中で、最も解説までのハードルが高い種類といえます。一方、国や自治体から助成金を得て運営できるため、費用面でもメリットが多いです。
認可外保育園
認可外保育園とは、認可保育園のように自治体から認可されていない企業内保育園です。認可されておらず、児童福祉法に従い国が定める基準を満たしていない場合でも、認可外保育園として開設は可能です。
認可保育園の基準が厳しく設定されていることから、満たせない施設が認可外保育園を開設するケースが多くみられます。国の基準を満たす必要がないため、ある程度自由に保育サービスを提供できる点が魅力です。一方、認可外保育園の場合は国からの助成金を得られないデメリットがあります。
企業主導型保育園
企業主導型保育施設とは、国がおこなっている企業主導型保育事業に従って開設可能な保育園です。施設の設立や運営については、国から助成金が支給されます。
児童福祉法上では、企業主導型保育施設は認可外保育施設に該当します。働く人の育児と仕事の両立支援を目的として開設され、認可保育所の基準よりも自由度が高い点が魅力です。単独企業だけでなく、複数企業で共同運営できるなどのメリットもあります。
企業内保育園と保育園の仕事内容の違い
企業内保育園と保育園との仕事内容には、大きな違いがありません。企業内保育園でも、食事や排泄のサポートをおこなったり、遊びの提案などを担当したりします。
一方で、細かく見ると以下の違いがあります。
- 勤務時間
- 勤務場所
- イベント数
- 保育年齢・人数
勤務時間については、保育士として保育園の場合は延長保育に対応しなければならない場合があります。一方で、企業内保育園の場合は完全週休二日制で延長保育はない場合や、完全シフト制で定時で勤務できる場合が多いです。
企業内保育園が増加傾向にある理由
企業内保育園が増加傾向にある理由として、待機児童が増加していることと、企業主導型保育事業により個人や民間企業でも保育園を開設できるようになったことが挙げられます。
保育園や保育士が不足している中で、待機児童が増加している問題がありました。そこで、企業主導型保育事業により企業内保育園を開設しやすくなりニーズも高いことで、企業内保育園が増加傾向にあるのです。
新卒で保育士として活躍したい場合、需要があり自由な働き方が可能なため注目されています。
企業内保育園を開園するメリットとデメリット
企業内保育園の開園を考えている方は、メリットだけでなくデメリットもしっかりと把握しておくことが重要です。ここでは、企業内保育園を開園するメリットとデメリットを紹介します。
メリット
企業内保育園を開園するメリットとして、企業に勤務する従業員の離職率低下を防止できる点が挙げられます。女性が結婚して妊娠・出産すると、フルタイムでの勤務が難しくなります。共働きの場合は、特に育児に充てる時間を確保するため時短勤務や離職してしまうケースも少なくありません。
企業側としては、企業内保育園を用意することで子育てしながらも働ける環境を整えて、離職率の低下を防止できます。
また、企業内保育園を開園すれば子育てしながら働く方や子どもに対して寄り添う企業というイメージを与えることができます。ほかにも、優秀な人材を確保するためのアピールポイントとなる場合も多いです。
デメリット
企業内保育園を開園するデメリットは、基本的に開園に関する準備はすべて企業側で対応しなければならない点です。本業とは全く異なるジャンルの場合、ノウハウなどがない状態で求人から場所の確保などが必要です。
また、無認可保育園の場合は助成金がないため、運営費用が企業業績の足かせになる可能性もあります。さらに、認可保育園でも加入可能な公的な保険に加入できない点も見逃せません。働く側としても、園庭がない場合が多くイベントを開催しづらいデメリットがあります。
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企業内保育園の開園に必要な広さや保育士の人数について
企業内保育園を開園するにあたり、以下の項目を考慮しなければなりません。
- 法定基準
- 保育士の人数
- 設備
各条件について、詳しく見ていきましょう。
法定基準
企業内保育園を開園するにあたり、以下の法定基準を満たす必要があります。
- 地方自治体が定めている認可外保育施設の設置基準を満足すること
- 子ども・子育て拠出金を負担して滞納しない事業主であること
- 消防法や条例の基準を満足すること
- 調理・給食設備が食品衛生法の基準を満足すること
- 地域の市街化調整区域に該当しないこと
- 保育施設の変更が必要なケースで変更が可能であること
- 地域枠を設定する場合は地域ニーズを満たすために自治体に相談すること
上記のように、さまざまな法定基準を満たす必要があることがわかります。
保育士の人数
企業内保育園を開園する場合、児童の年齢と人数に応じて以下の保育従事者を配置する必要があります。
年齢 | 配置人数 |
0歳児 | 3人につき1人 |
1歳から2歳児 | 6人につき1人 |
3歳児 | 20人につき1人 |
4歳から5歳児 | 30人につき1人 |
上記の必要人数だけでなく、さらに1名多く配置しなければなりません。また、半数以上は保育士資格の保有者を配置する必要があります。
保育士ではない場合、自治体などが開催している支援員研修を受講・終了しなければなりません。
保育士の配置基準については、以下の記事もご覧ください。
設備
企業内保育園を開園する際には、以下の設備を準備する必要があります。
定員 | 満2歳未満の入所 | 必要な設備 |
20名以上 | あり | 乳児室・ほふく室・医務室・調理室・トイレ |
なし | 保育室または遊戯室・屋外遊戯場・調理室・トイレ | |
20名未満 | あり | 乳児室またはほふく室・調理設備・トイレ |
なし | 保育室または遊戯室・屋外遊戯場・調理設備・トイレ |
また、定員に応じて各設備の面積も細かく設定されており、要件を満たさなければなりません。
企業内保育園を開園するまでの流れ
企業内保育園を開園するために、最初におこなうべきは場所の確保です。企業の敷地内に確保可能かどうかを確認し、場合によっては最寄りの場所で用地を確保しなければなりません。開設するための基準が設定されているので、基準を満たした建物や環境であるかもしっかりと確認しておくことが重要です。
場所を確保したあとは、実際に開園するまでのスケジュールを明確にします。その後は、提供するサービスの規模に応じてスタッフや備品の確保、自治体対応などをおこない開園に向けた準備を進めます。この時点で、保育料も一緒に決めておくと良いでしょう。
保育料の算出に重要な工程価格については、以下の記事をご覧ください。
企業内保育園が申請できる助成金
企業内保育園を開園するにあたり、事業所内保育施設設置・運営等支援助成金を活用することで負担を軽減することが可能です。配置している保育士やスタッフの人数、設備などの基準を満たせば、整備費の3/4程度の助成を受けられます。
細かくみると、開設・増設・運営に必要な費用として以下の助成を受けることが可能です。
状態 | 補助額 |
開設 | 大企業:1/3まで(限度額1,500万円) 中小企業:2/3(限度額2,300万円) |
増設 | 【増設の場合】 大企業:1/3まで(限度額750万円) 中小企業:2/3(限度額1,150万円) 【建て替えの場合】 大企業:1/3まで(限度額1,500万円) 中小企業:2/3(限度額2,300万円) |
運営 | 【通常保育の場合】 15名未満:限度額年間379.2万円 15~20名:限度額年間540万円 20名以上:限度額年間699.6万円 【時間延長の場合】 15名未満:限度額年間505.2万円 15~20名:限度額年間729万円 |
適用条件をしっかりと確認して、必要な助成金を適切に申請してください。
まとめ
企業内保育園は、待機児童の問題を解消するために国が仕組みを変更したことで、増加傾向にあります。また、企業側としてもプラスイメージを持たれやすいなど、メリットも多くあります。
保育園の開設には時間と費用がかかるものの、助成金を活用すれば負担を軽減することが可能です。この記事で紹介した内容を参考に、企業型保育園の開園も検討してみてはいかがでしょうか。
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