児童福祉法は、学校教育以外の場面における児童の健やかな暮らしを支える基盤となる大切な法律です。これまで保育に携わってきた方でも「児童福祉法という言葉は聞いたことはあるけれど、どのような法律かわからない」という方も多いでしょう。
この記事では、児童福祉法に関する基本的な知識や、改正された内容のポイントを詳しく解説します。この記事を読めば、最新の児童福祉法について把握できるため、気になる方はぜひ参考にしてください。
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引用元:保育のカタチ
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児童福祉法とは?
児童福祉法とは「18歳未満の児童の福祉と権利を保障し、国民の責任を定める」日本の法律です。福祉六法のひとつで1947年12月12日に公布され、1948年1月1日から施行されました。
児童福祉法は、児童が良好な環境に生まれ、心身ともに健やかに育成されるように保育や母子の保護、児童虐待対策などを含む、すべての児童の福祉を支援するための法律です。国や自治体、関係機関が連携し、児童の福祉を保障しています。
児童福祉法の目的
児童福祉法の目的は、以下のように定められています。
第1条
すべて国民は、児童が心身ともに健やかに生まれ、且つ、育成されるよう努めなければならない。2 すべて児童は、ひとしくその生活を保障され、愛護されなければならない。
第2条
国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う。
第3条
前2条に規定するところは、児童の福祉を保障するための原理であり、この原理は、すべて児童に関する法令の施行にあたつて、常に尊重されなければならない。
引用元:厚生労働省「④-1児童福祉法・児童虐待防止法の目的・理念」
児童福祉法は、健全な児童の育成や権利擁護を通じて将来の社会を担う世代を育成するため、保護者だけでなく国や地方、国民全体で支援することを目的としています。
児童福祉法の内容
児童福祉法は、第1章〜第8章までの8つの章に細かく分けられています。各章の内容を紹介していきます。
児童福祉法について、理解を深めていきましょう。
総則(第1章)
第1章の総則では、児童福祉法全体に共通する規定について記載があります。
18歳未満のすべての児童が心身ともに健やかに成長し、幸福な生活を送れるように保護者と共に国や自治体が一丸となって、子どもを守る責任があると述べられています。
また、児童の福祉を補償するうえでの相談所の役割や、児童に関する資格や福祉施設の規則も定められているのです。総則では保育士や児童福祉司、児童委員の3つの資格が規定されています。
第2章
児童福祉法の第2章では、療育指導や居宅生活の支援など、体に障害がある児童への療育実地などについて述べられています。
保健所長による障害のある児童に対しての診査や相談の責任、小児慢性特定疾病児童への支援として医療費の支給や療育の実施などが定められています。主に、福祉の保障について述べられているのが第2章です。
第3章
児童福祉法の第3章では、事業や施設について記載されています。保育園などの保育事業や、放課後デイサービスなどの障害児通所支援事業など、児童福祉に関する施設や事業が含まれます。
このような事業は地方自治体が中心となって行っているため、自治体が事業を行う権利を認めている規定が多いです。また、第3章では、養育里親についてもまとめられています。
第4章
費用に関する内容が記載されているのが、児童福祉法の第4章です。各事業や支援の予算をどこから算出するのかなど、費用について明確に記載されています。具体的な出所は、大きく分けて、国・都道府県・市町村の3つです。
予算には限りがあるため、福祉事業をより良くするために費用の負担者が定められています。費用に関する規定は、児童福祉サービスの実施と維持に重要な役割を果たしていると言えるでしょう。
第5章
児童福祉法の第5章は、国民健康保険団体連合会の児童福祉法関係業務について規定しています。日本国民である以上、現状では健康保険への加入が義務付けられており、保険は支払いを行っている加入者にとって、公平でなければなりません。
そのため、国民健康保険団体連合会は、国民健康保険を通して社会保障を向上させるための法人として各都道府県に設置しています。また、児童福祉法で国民健康保険団体連合会が障害児通所や障害児相談支援などの支払に関する業務を行うことが定められています。
第6章
児童福祉法の第6章では、審査請求について述べられています。審査請求とは、行政の決定に対して不服がある場合、再度その決定が適切かどうか再審査する手続きのことです。
市町村の障害児通所給付費や特例障害児通所給付費に関する処分に不服がある場合、障害児の保護者が都道府県知事に対して審査請求ができます。
第7章
第7章の内容は、雑則についてです。児童福祉法の第1章から6章までに記載されている内容に関する、細かい規定が具体的に定められています。
また、児童福祉第1章の総則ほどではありませんが、児童を保障するうえで必要になる規定なども記載されています。
第8章
児童福祉法の第8章の内容は、罰則についてです。児童福祉法の第8章「罰則」では、第60条から第62条の8までの条文で罰則が定められており、さまざまなケースに対する罰金や罰則が規定されています。
主な罰則については、こちらに詳しく記載されています。
参考:e-eov「児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)」
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児童福祉法改正のポイント
児童福祉法は、これまでに幾度となく改正が行われている法律です。ここでは、以下の6つに分けて、2024年4月に行われた児童福祉法改正のポイントについて解説します。
- 子育て世帯への体制の強化と事業の拡充
- 児童への支援
- 自立支援の強化意見聴取に関する環境の整備
- 司法審査の導入
- 児童の安全確保の徹底
詳しく見ていきましょう。
子育て世帯への体制の強化と事業の拡充
新たな改正では、子育て世帯への支援の強化や事業の拡充が行われています。これまでの子育て世代での悩みを相談する場所は、子ども家庭総合支援拠点と子育て世代包括支援センターでした。
しかし、それぞれの連携不足が課題になっていたため、2つを一体化させてこども家庭センターを設置し、子育て世代への支援を強化するよう改正されました。
児童への支援
2つ目は、児童への支援です。何らかの事情で保護者による療育が不適切である子どもや、出産する際に療育の支援が必要とされている妊婦に対し、支援拡充が求められています。
そのため、一時保護所の設備や運営基準を策定し、より良い環境の一時保護所にできるように環境改善を図ります。
自立支援の強化
自立支援の強化もポイントです。障害児施設に入所する子どもは原則として、18歳になると自立を促されますが、すべての方が自立できるとは限りません。
それぞれの状態によっては自立が難しいケースもあるため、児童自立生活援助における年齢の利用制限を、緩和するように改正されています。
意見聴取に関する環境の整備
意見聴取に関する環境の整備も改正のポイントの1つです。さまざまな事情により保護者と生活することが困難な場合、児童相談所に入所させられる子どもが多くいます。
しかし、どんな状況においても子どもの最善の利益を考えることが求められます。そのため、子どもの意見を尊重し、意見聴取などの整備が行われるように改定されました。
司法審査の導入
5つ目は、司法審査の導入です。子どもが虐待されている可能性が高い場合は、48時間以内に安否確認を行うことが原則となっています。
子どもがいる環境が不適切だと判断された場合は、児童相談所が一時保護の措置を行いますが、保護の適正さを確認するために司法審査が導入されます。
児童の安全確保の徹底
児童の安全確保の徹底も、改正ポイントです。児童をわいせつなどの危険から守るため、保育士の資格管理が厳格化されています。そのため、児童へのわいせつ行為が認められる場合、保育士資格の取り消しが可能です。
また、データベースが整備されたことにより、保育士を解雇する者が情報を把握できる仕組みづくりが始まっています。ベビーシッターに対する事業停止命令などの情報が公開され、利用者に情報が提供される仕組みづくりが行われています。
まとめ
この記事では、児童福祉法の内容や改正ポイントを詳しく解説しました。児童福祉法は、こども達が心身ともに健康を守るために必要な法律です。また、子どもの健やかな生活は保護者だけでなく、国や自治体など、社会全体で守らなければなりません。
今回紹介した児童福祉法の内容や改正ポイントを把握し、子ども達が安心して過ごせるような環境づくりに取り組みましょう。
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