補助金を活用してDXを推進!ICT導入・環境整備で使える国や自治体の支援制度を徹底解説

近年、保育業界でもDX(デジタルトランスフォーメーション)が注目され、さまざまなICTシステムの導入が進んでいます。しかし、予算面の課題や導入後の運用が負担になってしまうケースも少なくありません。

こうした状況の中で国や自治体が提供している補助金制度を活用することで、費用負担を軽減しながら効果的にICT・DX環境を整備できます。

本記事では、補助金活用を含む保育園DX・ICT化の基本とメリット、制度の内容や申請の流れを詳しく解説します。

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目次

保育園DXとICT化の違い

保育業界では、ICT化とDX化が同義で語られてしまうことがありますが、実際には明確な違いがあります。ここではそれぞれの定義と背景を整理します。

保育現場では、書類や事務作業の負担が大きく、保護者との連絡方法も電話や紙ベースが中心でした。ICT化によって書類の電子化や登降園記録のデジタル化が実現し、業務時間を削減できるようになっています。一方DX化は、既存の業務フローを単にデジタルへ移行するだけではなく、保育サービスそのものを革新し、新しい価値を生み出すプロセスを含むため、ICT化よりも広範な取り組みを要します。

ICT導入とDX化の定義

ICT導入は、登降園管理など日常業務のデジタル化を通じて効率化やコスト削減を目指す段階です。たとえば、事務作業をオンライン化してスタッフが書類作成に割く時間を減らすことが典型的な取り組み例です。同時に、ペーパーレス化による経費削減や情報の一元管理など、事務面でのメリットも大きくなります。

DX化は、ICT導入の枠を超えて組織全体をデジタル化し、新しい保育サービスの創造を狙うものです。たとえば、保護者とのオンラインコミュニケーションを活用し、従来の保育環境ではできなかった独自の教育プログラムや双方向の情報共有を可能にするなどの取り組みが該当します。単なるシステム化にとどまらず、保育そのものの価値を高める方向へ変革を促す点が特徴です。

このように、ICT導入は業務効率化の第一歩であり、DX化はICT化をベースにした組織改革と言えます。両者を意識的に分けて進めることで、園全体の仕組みをより幅広く見直すきっかけになります。

保育業界で求められる変革の背景

少子化や保育人材不足、さらには働き方改革への対応など、保育業界を取り巻く環境は大きく変化し続けています。こうした状況の中、保育園が持続可能な運営を実現するためには、業務プロセスの見直しとスタッフの負荷軽減が切実な課題となっています。

国や自治体も保育環境の質を担保するため、各種制度を整備し、デジタル技術による安全・効率的な運営を後押ししています。特に、保護者との双方向コミュニケーションや子どもの成長をリアルタイムで可視化するICTツールが注目を集めています。

このような背景があるため、ICT化を足掛かりとしてDXへと段階的に移行することが保育園にとって重要です。変革のスピードを加速させつつ、本質的に必要な保育の質を守ることが、今後の課題となっています。

保育園DXがもたらすメリットと懸念点

DX化によって保育業務が幅広く効率化され、保護者やスタッフ双方の満足度向上につながりますが、その一方で導入にあたっての課題も存在します。

保育現場にICTシステムを導入すると、煩雑な作業が大幅に減り、時間管理がしやすくなります。その結果、スタッフは保育の質向上に集中する余裕を持てるようになります。しかし、有益だからといってすぐに導入できるわけではなく、初期コストやスタッフトレーニングなど、十分な準備と段階的なステップが必要です。

メリット:業務効率化・コスト削減・保育の質向上

ペーパーレス化により、業務書類の管理が簡略化されると同時に、プリントコストも削減できます。登降園や保育記録の自動集計機能を持つシステムを使えば、報告書作成の時間を大幅に短縮でき、スタッフが本来の保育に専念しやすくなります。

オンライン連絡機能を活用することで、家族への情報発信がリアルタイムで行え、連絡のミスや遅れを減らすことができます。保護者と園とのコミュニケーションロスを最小限に抑え、保育の一体感を高められる点も大きなメリットです。

業務の明確化に伴うスタッフの負担軽減だけでなく、新しい教育アプローチや活動記録の充実にも時間とリソースを振り向けられるようになり、園全体の保育品質向上に結びつく可能性があります。

デメリット:導入コスト・スタッフ教育・セキュリティリスク

DX化を進めるには、システム購入やリース料、ネットワーク整備などの初期費用がかかります。設備面のコストだけでなく、ソフトウェア使用料やサーバー保守費用などの維持費も無視できません。

新たなシステムを導入する際には、スタッフに対する操作研修や、トラブル発生時のサポート体制を整える必要があります。慣れない作業が増えるため、一時的に業務負荷が増す可能性も念頭に置く必要があります。

加えて、園児や保護者の個人情報を取り扱うことが多い保育園では、セキュリティ対策が必須です。システムや端末のセキュリティレベルを定期的に見直し、情報漏えいリスクを最小限に抑えることが不可欠です。

代表的なDX・ICT導入分野

保育園でのDXを具体的に進めるうえでは、どのようなシステムの導入が最も効果的か把握することが大切です。ここでは主要な分野を紹介します。

保育計画や園児情報のデジタル化によって、スタッフ間の情報共有スピードが飛躍的に向上します。それに伴い、入力ミスや二重入力を防ぎ、無駄な作業を減らすことが期待できます。

保護者連絡システムなどのオンライン化は、紙媒体でのやり取りや電話連絡による手間を省くため、時間外業務を削減できる点も大きなメリットです。さらに、蓄積されたデータを分析することで、今後の保育方針の改善策を立案するなどの活用方法もあります。

保育計画・記録システム

指導計画や日誌をオンライン上で一元管理することで、全スタッフが即時に最新情報を確認できるようになります。出欠や体調記録をモバイル端末から入力することで、勤務中の移動や作業時間も短縮されます。

さらに、園児の成長記録といった個人情報を安全に管理するための仕組みが整っていれば、園全体のセキュリティ意識が高まり、保護者の安心感につながります。

多くのシステムでは、開発ベンダーによる定期的なアップデートが行われるため、導入後も継続して最新の機能を利用することが可能です。

登降園・出欠管理システム

ICカードやQRコードで登降園情報を読み取るシステムは、職員の負担を大きく軽減すると同時に、正確なデータ記録を支援します。手書きの名簿と比べてミスが少なく、児童数や残業時間を的確に把握できます。

自動集計機能を使うと、行政への報告資料作成や補助金申請に必要なデータ整備もスムーズに行えます。集計の手間を大幅に削減できるため、スタッフのモチベーションや保育に割ける時間が増加します。

保護者側もアプリと連動することで、子どもの登園・降園状況を即時に確認できるなど、セキュリティと利便性の両面でメリットを感じやすい仕組みです。

保護者連絡アプリ・キャッシュレス決済

オンラインでの保護者連絡は、緊急時の連絡や欠席・延長保育の申請など、対応のスピードを格段に上げることができます。重要な連絡を記録として残せるため、トラブル防止にも有用です。

キャッシュレス決済の導入により、特別保育や給食費などの徴収をスムーズに行えるようになり、現金のやり取りが減ることで管理コストが低減します。保護者にとっても手数料や銀行振込の手間が省け、双方にとってメリットがあります。

こうしたシステムを適切に導入することで、園全体のサービスレベルも向上し、保護者満足度や信頼度の向上につながります。

補助金が利用できる主な制度

保育園のICT化やDX化を進める際に、活用しやすい補助金制度がいくつか存在します。代表的な制度の概要を確認しておきましょう。

補助金の活用によって、システム導入時の経済的負担を大幅に軽減できます。特に、中小規模の保育法人や個人経営の園にとっては導入ハードルを下げる重要な施策となります。

補助金の対象範囲はシステム本体の購入費だけでなく、リース料や保守費、セキュリティ対策など幅広く含まれる場合があります。ただし、通信費などが除外されるケースもあるため、応募要項の詳細確認が欠かせません。

保育所等におけるICT化推進等事業(子ども家庭庁)

この制度は、登降園管理や保育記録のデジタル化をはじめ、保育現場の効率化に寄与するシステム導入を支援する代表的な補助金です。年度ごとに公募期間や補助金額が変更されることがあるため、最新情報をこまめにチェックすることが重要です。

対象経費にはシステム購入費、リース料、保守料、通信費などが含まれる場合があります。上限額が130万円に設定される年度もあり、施設負担が補助金額の4分の1程度で済む例も報告されています。

書類審査を通過し交付決定を受けた後は、導入計画に沿ってシステムの仕様を確定し、業者との契約を結びます。導入後は成果報告として運用状況を提出する必要があるので、進捗管理や記録の保管にも気を配りましょう。

IT導入補助金・自治体独自補助金

IT導入補助金は中小企業を対象とした汎用的な助成制度で、想定対象には保育園も含まれます。システム導入を検討する際、保育専門の補助金が利用できない場合でも、こちらの制度を活用できる可能性があります。

自治体ごとにも独自補助金を設定していることが多く、キャッシュレス決済導入や安全対策(午睡見守りなど)を支援する制度が用意されている場合もあります。場所によって助成率や対象範囲が異なるため、まずは自治体のホームページを調べてみることが大切です。

年度によって実施状況や優先度が変わることもあるため、早めに情報を収集し、申請要件や受付期間を踏まえたスケジュールを立てるようにしましょう。

補助金申請のポイントと流れ

補助金を活用するためには、対象経費や募集期間などを正確に把握し、スムーズに手続きを行うことが重要です。代表的な申請のプロセスを見ていきましょう。

保育園DXに関する補助金は、年度初めや途中で公募開始されることが一般的で、受付期間が限られるケースが多いです。余裕を持った準備ができるよう、日ごろから自治体や事業者の情報を収集する姿勢が大切です。

対象・内容・補助率の確認

システム導入費やリース料、システム保守費などが対象経費かどうかを、必ず募集要項で確認する必要があります。通信費や端末購入費は支給対象外とされることもあるため注意が必要です。

補助率も制度によって異なり、1/2や2/3、あるいは4分の3程度が補助される場合もあります。自園の導入計画に合わせて、この補助率でどの程度の費用を削減できるかを検討することで、具体的な予算感が明確になります。

補助金を活用することで費用を大幅に抑えられる反面、自己負担が若干残ることや、提出書類や事後報告の手間が発生する点も考慮に入れておきましょう。

申請書類と申請受付期間

補助金申請には、導入計画書や見積書、法人情報を示す書類など、複数の提出書類が必要です。募集要項を熟読し、漏れなく書類を準備することが不可欠です。

受付期間は短い場合が多く、早いケースでは1か月程度で締め切られてしまうこともあります。書類作成や見積額のすり合わせには時間がかかるため、逆算して余裕を持って行動しましょう。

また、自治体や国の電子申請システムを利用してオンラインで手続きが可能な場合もありますが、ID登録や操作方法を事前に確認しスムーズに利用できるように準備しておく必要があります。

審査・交付決定後の導入手順

書類審査を通過して交付決定通知が出た後は、速やかにシステム開発会社との契約を締結し、具体的な導入スケジュールを策定します。導入時期を間違えると補助対象外になってしまう場合もあるため注意が必要です。

システム導入後は、必要に応じて研修やマニュアル整備を行い、スタッフがスムーズに操作できる環境を作り上げます。実際の運用が始まると、問い合わせ対応や不具合対応などの初期トラブルをしっかりフォローすることが大切です。

最終的には、実績報告や精算などの手続きを行って補助金を確定させます。提出する運用報告書を日々の記録と連動させることで、業務の抜け漏れを防ぎながらスムーズに補助金を活用できます。

導入事例と成功の秘訣

実際に補助金を活用してICTを導入した保育園の事例から、具体的な成果と成功ポイントを学びます。

先行事例を分析することで、自園のDX導入時の具体的な手順や課題をイメージしやすくなります。特に、業者選定の際には同業者のレビューや導入実績を参考にすることで、効果が出やすいシステムを選択しやすくなります。

業務負担大幅軽減を実現した事例

登降園管理をICカード化した事例では、保育士が紙の名簿を確認して手書き記録する手間を完全に無くすことができました。これにより、業務時間の短縮だけでなく、入力ミスの防止にもつながりました。

スタッフが事務作業を行う時間が減り、その分子どもたちとのふれあいに多くの時間を割けるようになったため、保育の質が向上したとの声が上がっています。補助金制度を活用したことで導入コストを抑えつつ、ソフトウェア保守まで含んだサービスを受けられたことが成功の秘訣となりました。

このように、導入初期のランニングコストだけでなく、長期的な運用費用や追加機能の拡張性などを含めてトータルで検討する姿勢が重要です。

保護者満足度向上につなげたポイント

緊急連絡やお知らせの送付がスマートフォンのアプリ上で完結するシステムを導入したところ、保護者からの評価が一気に高まった事例があります。紙の配布物を確認し忘れる心配が減り、互いのやり取りがスムーズになりました。

既存の連絡網にはなかった画像や動画のやり取りが可能になり、子どもの様子をより臨場感をもって共有できるようになったことで、家庭と保育園のコミュニケーションが深まりました。

こうしたサービス改善によって信頼関係が強化され、保育の質向上とも相乗効果を生み出した点が大きな成果です。導入前に保護者のニーズをしっかりヒアリングし、本当に必要な機能を見極めたことが成功の鍵となっています。

DX導入後の運用体制と効果測定

システムを導入して終わりではなく、安定した運用と継続的な効果測定が鍵となります。導入後の運用フローや評価方法を検討することで、DXの価値を最大限に生かすことができます。

導入後は、定期的にシステムの稼働状況と実際の保育業務の進捗を照らし合わせ、問題点を洗い出すことが重要です。スタッフや保護者からのフィードバックを随時取り入れ、必要に応じて運用ルールを見直します。

また、業務負担や時間管理の変化を数値化して分析することで、どの程度DXが効率化に寄与したかを把握しやすくなります。データをもとに改善すべき点を特定し、次のアップデートや追加機能の導入に生かすことが可能です。

こうした継続改善を行うことで、保護者やスタッフが感じるメリットが持続し、保育園全体のイメージアップにも寄与します。組織全体で「運用・評価→改善→再実装」のサイクルを回し続けることで、DXの恩恵をより高めることができます。

まとめ・総括

保育園のDX・ICT化は、業務品質や教育環境を高める大きなチャンスとなります。最後に、導入に向けて押さえておくべきポイントを振り返ります。

まず、ICT化とDX化の違いを正しく理解し、段階的かつ計画的に導入を進めることが大切です。スタッフや保護者の抵抗感を最小限に抑えながら、新しいシステムを自然に運用へ溶け込ませる工夫が求められます。

次に、補助金の活用によって導入コストを抑えられる一方、申請手続きや審査をクリアするための準備が必要になります。対象経費や補助率、申請期間などの制度要件をしっかり把握し、余裕を持った準備を進めましょう。

最終的には、導入後の運用体制の整備と継続的な効果測定が、保育の質向上とスタッフ負担軽減の両立を実現する鍵となります。適切な補助金制度と運用設計を組み合わせることで、より優れた保育環境を築くことができるでしょう。

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