【採用担当者必見!】ハローワークを活用した幼保施設での求人方法

目次

はじめに

幼保施設で人材を採用しようと考えるとき、まず最初に思い浮かぶ選択肢はなんでしょうか?

・人材紹介会社を探す
・有料での求人掲載を考える
・スタッフのツテをたどる
・自園のHPや園舎に求人を出す

などから考える方が多く、ハローワークについてはとりあえず出してはみるけど、そもそも応募がないし、応募が来ても、自園が求めるような人ではなかった、という声をよく聞きます。

ですが、使い方によってはハローワークでの採用は十分に可能です。

他園の担当者が同じように考え、おざなりにしているハローワークの中で、作り込まれた求人票があったらどうでしょうか。

今回は、採用コストをあまり掛けられない幼保施設が、ハローワークをうまく活用して採用するためのポイントをご紹介します。

転職中の求職者はハローワークをどれだけ利用している?

三重県の株式会社ビズヒッツさんが求職中の保育士さんにしたアンケート調査では、転職活動に使うツールとして、ハローワークを使う方が106人中61人にのぼり、第1位であるという結果が出ていました。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000132.000041309.html

もちろん母数としてそこまで多いわけではありませんが、求職中の先生方の目線で考えれば、ハローワークはしっかりと採用ツールとして機能していると考えられます。

ハローワークに上手に求人を出せれば、求職者に見てもらえるという状況にあるということです。これを活用しない手はないでしょう。

ハローワークでは、作り込まれた求人は目立つ

ハローワークでの求人でうまくいっていない園の求人票は、仕事の内容欄がたったの1行だったり、求人に関する特記事項が白紙だったり、うまくいかない理由も分かりやすいものです。

しかし、有料の求人掲載媒体と違って、ハローワークの求人票は担当がヒアリングをしながら作ってくれるようなものではなく、自園で考えて記載する必要があります。

他者の目が入らないまま掲載することになるので、掲載する側は、自園の求人票の何が足りないのか、ということになかなか気付けません。良い求人がどのようなものか分からない、自園の求人が良い求人かどうか判断ができない、ということになります。

ここで、良い求人とは、

・この求人は私のことだと思ってもらえる
・ここで働くことで、私の問題が解決する

という求人のことだと弊社では考えます。

そして、その求人には、求職者の知りたいこと、聞きたいことが書かれている必要があります。

上記の条件を満たした求人票は、他の求人票の中で、ひときわ目立つものになっているはずです。

ハローワークで求人を成功させるための基本的な視点

求職者が求人票を見て考えること、1番知りたいことは何でしょうか。
転職経験のある方、採用応募の経験のある方は、自身の体験を思い出してみて下さい。

求人情報をみて、さまざまな条件に一通り目を通した後、
「この仕事は自分にできるのかな」
と考えたことはないでしょうか。
経験者、未経験者を問わず、記載されている仕事に対して、必ず生まれる疑問だと考えています。

まず、このハードルをクリアしないことには、応募しようという気持ちにはなってもらえません。この視点を大前提として持っておくことが大切です。

求人票で自園をアピールするのに重要な6つの項目

求人票にはさまざまな項目を記入する欄がありますが、その中でも特に重要なのが、

・職種
・仕事の内容
・事業内容
・会社の特長
・求人に関する特記事項
・事業所からのメッセージ

の欄です。

なぜなら、条件や勤務時間についてはあまり工夫の余地がない部分ですが、上記の項目は、記載を工夫することで、他園との違いを出すことができるところだからです。

事務的に書かれているだけの同じような求人票が並んでいたとしたら、条件や待遇での勝負になってしまい、大手や資金力のあるところに勝つことは難しいでしょう。

しかし、項目への記載を工夫をすることで、働きがいや魅力を伝え、条件や待遇だけではないところで勝負できること、面接にまで持ち込めるか、というところに意義があります。

では、重要な項目についてのポイントを以下でご紹介します。

事前の準備

事前の準備として、ターゲットの設定をする必要があります。そのターゲットが知りたいことに対して、各項目で書くべき情報の収集と要素の洗い出しをしていきます。

ステップ1 ターゲットの設定〜人物像の具体化(ペルソナの作成)

まずは誰に対してこの求人票を書くのかを明確にします。

ラブレターを書く時に、「誰でもいいから付き合ってください」というのと、「〇〇さん付き合ってください」というのでは、内容に明確に差が出るように、誰宛の求人票なのかをはっきりさせることが重要です。

洗い出し方としては、

・一緒に働きたいと思える人物像の要素
・求められるスキル、経験

などを書き出した後、1人の人物として具体化していきます。

年齢、性別、既婚、未婚、収入、ライフスタイル、などを設定し、1人の人物像(ペルソナ)を作り上げていきます。

このような人を採用するということを社員間で共有することも大切です。
共有ができていないことで、いざ採用した後でミスマッチが起こり、早期離職につながってしまう可能性があるからです。

ステップ2 情報収集(仕事欄)

求人する仕事がどのような仕事かを深堀りしていきます。
具体的に何をする仕事なのか、ということを、小学生にもわかるように書き出してみることが重要です。

例えば、「保育全般のお仕事」と書くよりも、登園時の対応、通常の保育、給食、自由あそび、預かり保育、という形で分解していき、さらに細かくどのようなスケジュールなのか、仕事のやり方をしているのか、どのような業務があるのかを書き出してみます。

そして、どのような点にやりがいを感じるのか、楽しいと思うのかを書き出してみてください。

ステップ3 情報収集(事業内容欄、会社の特長欄)

園や運営母体について書くために、幹部へのヒアリングが必要になります。
ここでも、どのような事業を行っているのかを小学生でもわかるように書き出してみてください。

事業内容」で重要なヒアリング内容

・園長や上役の人柄、理事長などの経営陣が社会にどう貢献したいと考えているか
・自園の保育業界での立ち位置、ポジショニング
・なぜ自園を選んでもらえるのか
・自園の強み、実績など

特に数字を書くことができれば、さらに説得力が出ます。

会社の特長」で重要なヒアリング内容

・園の経営方針や、社会課題にどう立ち向かっているか
・資格や研修などについての方針
・将来どのような園を実現しようと思っているか
・働き方への課題感、改善の方向性

園でのやりがいや、働くことでどのように成長できるか、社内での働きやすさなどを求職者目線でヒアリングすることがポイントです。

ステップ4 情報収集(求人に関する特記事項欄)

求人に関する特記事項には、面接でしか言わないようなことなどを書いておくと親切です。

・園の人員配置や構成、どのような人たちが働いているか
・通勤方法や補助について
・資格取得などの福利厚生について
・スタッフ間のコミュニケーション、レクリエーションの有無など
・手当の有無、モデル賃金など

実利の部分もしっかりと記載しておくことで、この園で働いた時の自分の生活がイメージできるようにするのがポイントです。

ステップ5 スタッフへのインタビュー

主に、転職して今働いている人に対して、転職時に気にしていたことなどを聞くことで、求職者の不安を解消するための情報を集めます。
特に、ステップ1で明確にした人物像と近い人物を選んで話を聞いてみると求職者から想像しやすい内容になるのでおすすめです。

・園を探している時の条件
・転職活動で、この園に決めたポイント
・入社前に不安に思っていたこと
・やりがいを感じること
・働いてよかったと思ったポイント
・知り合いに紹介するならここ、というポイント

イキイキと働いているスタッフから引き出した情報は、求職者にとっては最も重要な情報です。

以上のように集めた情報から、具体的な記載のポイントをご紹介します。
ハローワークのインターネットサービスで記載できる文字数が限られています。
文字数を最大限活用できる記載方法を考えて、掲載を進めていきましょう。

「職種」欄のポイント

職種欄に入力できる文字数は28文字です。
ここに、「保育士」や「保育スタッフ」とだけ記載している求人票がありますが、もったいないです。
28文字の中で少しでも興味を持ってもらえるように、「職種」+「メリット」を記載してみてはいかがでしょう。

ただし、アイコンが元々存在する項目(学歴不問、経験不問、週休二日制など)については入れずとも分かりますので、それ以外のメリットを記載してみてください。
例:「子ども預かり可」など

「仕事の内容」欄のポイント

職種で目を引き、クリックしてもらった後には仕事の内容について読んでもらう必要があります。
文字数は30×12行で、360文字ですが、特に最初の3行が重要です。
とにかくここで求職者の関心を引けるかが、その後に詳細を見てもらえるかの分岐点です。

ターゲットがどんな仕事かイメージできるように、具体的に表現することが重要です。

詳細を見ると決めてもらった後は、仕事のやりがいや、面白さ、園が社会に提供している価値などを記載します。

重要なのはありのままを記載すること。盛りすぎないことでミスマッチを防ぐことができます。

「事業内容」欄のポイント

事業内容は30文字×3行で、90文字入力することができます。
自園がどのようなサービスを提供しているのかを分かりやすく書きましょう。

「会社の特長」欄のポイント

事業内容と同じく、30文字×3行で90文字使うことができます。

求める人物が、仕事を通してどのように社会に貢献できるか、この園に入ることでどのように成長できるか、実際に社内ではどのような働き方がされているか、などをイメージしてもらうことができるように書くことがポイントです。

「求人に関する特記事項」欄のポイント

特記事項の欄には、30文字×20行=600文字を記載することが可能です。

ここでは、園特有の福利厚生や、働き方、休みの取り方、実際の勤務形態(例えばシフトなど)を記載することが基本です。

スペースに余裕がある場合、より具体的にターゲットからみたメリットを書くのがよいでしょう。

例えば、

・自園で自分の子どもを預かってくれる制度
・自分の子どもを入れる時の割引
・社内での研修制度
・研修時の会社の費用負担
・働き方に融通がきくような事例

などを記載します。

そして、最後に必ず、行動要請を入れることがポイントです。
この求人票を読んだ後に取って欲しい行動を入れておきます。

「気軽に問い合わせて、すぐに応募してね」

という内容を記載しましょう。

「事業所からのメッセージ」欄のポイント

事業所からのメッセージは、30×20行の600文字記載することができます。
ここでは、書ききれなかったメリットを記載すると共に、実際に一緒に働くことになる人からのメッセージを入れてみるのも効果的です。

・園長先生の想いだったり、メッセージを書いてみる
・理事長からのメッセージを書いてみる
・先輩からのメッセージを書いてみる

など、一緒に働きたいという熱意を文字数いっぱい使って伝えることが重要です。
事業所からのメッセージの最後にも、必ず行動要請を入れてください。

こちらから言いたいことだけを伝えた後、相手からすれば、
「次はどうしたらいいの?」
と思うポイントだからです。

次にこうしてください、という点は、図々しいように思えるかもしれませんが、必ず入れましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。大事なポイントをまとめると、

・事前準備で必要なことをしっかり情報収集する
・「職種」では求職者の目を引くことに注力
・「仕事内容」では、最初の3行で興味関心を持ってもらう
・「事業内容」では、分かりやすさが大切
・「会社の特長」は、「働く人や求職者から見た働く上での特長」であることを忘れずに
・「特記事項」「事業所からのメッセージ」では、最後に必ず行動要請を入れること

ハローワークでの求人で、しっかりと考えられた原稿にお目にかかる数は多くありません。
一つ一つ求職者の目線で、メリットになることをしっかりと記載していくことで、応募のくるハローワークの求人票を作成できるようになっていただければ幸いです。

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この記事を書いた人

株式会社シェンゲン執行役員、人事責任者
「保育のカタチ」事業責任者、採用支援コンサルタント

前職ではリクルートの代理店にて、7年間1,000社以上の採用支援を担当。シェンゲン入社後は、幼保業界の「人」に関する問題解決に特化した専門家集団「保育のカタチ」を立ち上げ、事業責任者として従事。

保育園の統括マネージャーとして運営にかかわりつつ、保育士転職サービスでのキャリアサポートや、保育園への採用コンサルタントも行う。

採用活動を内製化する伴走型の採用支援や保育士向けの研修、紹介予定派遣などのサービスを公共機関や幼保施設の運営法人に向けて提供中。祖母、母、妹が保育士という保育士一家で育った。

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