幼保施設が1月から3月の採用活動を成功させるためのポイント

はじめに:1月~3月は幼保施設の採用のピーク

1月から3月は、幼保施設が新年度の人員を確保するための最重要期間です。この時期は、年末年始を経て求職者が増える傾向があり、施設側が迅速で戦略的な対応を行うことで、短期間でも優秀な人材を獲得できる絶好のチャンスとなります。

しかし、この時期は他の施設も採用活動を活発化させるため、競争が激しくなる点も見逃せません。そのため、より効果的な求人情報の作成やターゲット層ごとのアプローチを工夫し、入職後のフォロー体制までをしっかり整えることが成功のカギとなります。

本記事では、1月~3月の採用活動における特徴、ターゲット層ごとの戦略、そして成功事例を交えながら、幼保施設が採用活動で押さえるべきポイントを詳しく解説します。


1月~3月の採用活動における特徴とメリット

1月〜3月は年度末に近いことから求職者が大幅に増える一方で、新年度に向けた人員確保のラストスパートをかける重要なタイミングでもあります。

幼保施設を含め、多くの業種・企業が新年度開始に合わせて人材採用を進めるため、この時期は各園の採用意欲が高まります。特に年度末に近づくほど退職や異動の情報が確定していくため、施設運営を安定させるためにも迅速な対応が求められます。

求職者側も、新年を迎えることで新しいスタートを切りたいと考える人が増える傾向があります。年末年始に家族や友人と話す機会が増えることで、現職への不満や将来像を意識しやすくなるのです。また、転職市場では冬のボーナスを受け取った後に動き出す人も少なくありません。

こうしたタイミングの重なりから、この時期の採用活動には短期決戦で成果を上げる必要があります。効果的な人材確保のためには、求人の内容や選考フローを最適化し、求職者にとっても魅力的な対応を心がけることが大切です。

1. 求職者が増加する要因と背景

1月から3月は、求職者が転職市場に参入しやすい時期です。この傾向を深く理解することで、適切な採用戦略を立てることが可能になります。

  • 年末年始の生活の変化
    年末年始は、家族や友人との会話やイベントを通じて、現状の働き方を見直すきっかけが増える時期です。例えば、保育士資格を持つ主婦層が「子育てと仕事を両立できる環境に戻りたい」と考えたり、キャリアアップを目指す人が転職を検討し始めることがあります。
  • 冬のボーナス後の行動
    中途転職者にとって、冬のボーナスを受け取った後は大きな転職タイミングです。このタイミングで条件の良い求人を目にすることで、行動に移すケースが多いです。
  • 新年の目標設定
    新年を迎え、多くの求職者が「より良い環境で働きたい」と考えるタイミングです。求人票には「キャリアアップ可能」「ライフバランス重視」などのキーワードを盛り込むと効果的です。

2. ターゲット層別の動向

新年を機に転職活動を始める人は多様な背景を持っています。各層の特徴を把握することで、より効率的な採用戦略を立てることが可能です。

この時期には、主婦やフリーター、学生、新卒、そして他業種からの中途転職者までさまざまな求職者が流入します。彼らは新たな生活リズムや新年度を意識して就職・転職活動を進めるため、応募数の増加が期待できます。

一方で、求職者のニーズや働き方の希望は千差万別です。自園の求める人物像に合わせた情報発信やフォロー体制を用意しておくことが、採用成功のカギとなります。

  • 主婦層(パート勤務希望者)
    主婦層は「家庭と仕事の両立」を最重要視します。「短時間勤務」「フレックスタイム」など、柔軟な働き方が可能であることを訴求することで応募者を引きつけられます。
  • 新卒者や学生
    新卒者は3月の卒業を控え、早期に職場を確定したいという心理が強く働きます。学生向けには、保育士資格取得支援プログラムや職場見学イベントが効果的です。
  • 中途転職者
    保育士資格を持つ経験者は「キャリアアップ」や「より良い職場環境」を求めています。給与や福利厚生、研修制度の充実を具体的に伝えることがポイントです。

この時期ならではの特徴

1〜3月期の保育士転職は求職者も幼保施設も時間との勝負。
早く転職先を決めたいと思っている求職者は、狙ったところにしっかり絞った応募をします。
ここで大切なことは「第一印象を良いものにすること」

第一印象でいい印象を与えられれば、その後選考までスムーズに進む可能性が高まります。
この時期以外の採用でももちろん第一印象は大切ですが、特に意識するようにしましょう。

第一印象をよくするためのポイント

第一印象を良くするためには、以下のポイントに気をつけてみてください。

  • 返信を素早く丁寧に:早く勤務先を決めたいという状況の中で、返信スピードを上げることで印象が良くなります。
  • 見学や面接候補者への対応周知:採用担当ではない先生が電話や受付の対応をすることがあります。その時にいい印象を与えられるよう、採用活動をしている、ということは事前に先生たちに周知しておきましょう。
  • 対応をリスト化して共有しておく:例えば面接の問い合わせの際、日程の確認や持ち物など、求職者に事前に聞いておくことと、こちらから伝えることをリスト化して電話の前に置いておけば、電話に出た人がしっかり対応できるようになります。

求人票の見直しと改善

求人票作成の重要性

求人情報は求職者にとって、最初に目にする情報です。応募を促すためには、求人票の内容を充実させる必要があります。
特にインターネット上の求人媒体などに掲載しているのであれば、タイトルや本文上部に目を引く情報や見やすくする工夫が必要です。

  • 給与や待遇を具体的に記載する
    求職者が知りたい情報を明確に記載することが大切です。「基本給」「資格手当」「研修制度」など、具体的な数字や事例を盛り込むことで信頼感が向上します。
  • 施設の雰囲気や特色を伝える
    写真や動画を活用して施設の魅力を視覚的に伝えます。例えば、子どもたちと笑顔で接するスタッフの様子や、イベント活動の一コマを紹介することが効果的です。
  • ターゲット層ごとのカスタマイズ
    主婦層には「短時間勤務OK」、新卒には「研修充実」など、それぞれのニーズに応じた情報を強調することで効果が高まります。

狙っているターゲットはどのような環境や悩みを持っていて、その悩みを解決するための自園の強みは何か、そして、それをわかりやすい言葉で伝えることが重要です。


スケジュール管理と柔軟な採用活動

効率的な採用スケジュールの構築

1月から3月は採用競争が激化するため、スケジュール管理を徹底し、迅速かつ効率的に採用活動を進めることが求められます。

  • オンライン面接の導入
    ZoomやGoogle Meetを活用したオンライン面接は、移動の負担を軽減し、応募率の向上が期待できます。特に遠方からの応募者や現職中の求職者に有効です。
  • 柔軟な面接日程の設定
    平日夜や土日の面接日を設定することで、幅広い応募者に対応可能です。この配慮が応募意欲を高める要因となります。
    特に、現在就業中の方であれば、平日昼間などは面接をするのが難しい可能性があります。土日や仕事のあとに面接を設定できるようであれば、対応できると面接などの決定を早めることができます。

デジタルツールとSNSを活用した広報活動

SNSの活用方法

少々時間のかかる施策なので、優先度は低めですが、Instagramやホームページを活用し、施設の魅力を広く発信することが効果的です。
求人情報を目にした求職者が、保育園の様子をインスタグラムやホームページに確認しにくることが増えています。できるだけ良い印象の写真や、園の方針、思いを発信して、詳細をわかりやすく伝えることが重要です。

  • 写真や動画でのアピール
    施設内の活動風景やスタッフの日常を写真や動画で発信することで、求職者に親近感を与えます。
  • 投稿内容の工夫
    「働くスタッフの一日」「施設の教育方針」など、具体的な内容を伝える投稿が効果的です。

専門求人サイトでの掲載

保育士特化型の求人サイトを活用し、ターゲット層に直接アプローチします。「勤務条件」「施設の特徴」「将来のキャリアパス」など、具体的な情報を記載することが応募率の向上につながります。


採用後のフォローアップ体制

採用後のフォローは、早期離職を防ぎ、職員の満足度を高めるために欠かせません。
この時期に入社をすると、慌ただしく新年度に突入することになります。新年度が始まってから研修、という形よりは、事前に内定者アルバイト、のような形で入ってもらう、中途の場合は即採用で業務に慣れてもらうなどの工夫が必要です。

ここでのフォロー体制ができていないと、せっかく入ってもらった応募者が早期離脱してしまう結果になりがちです。
特に園では最も忙しいと思われる1〜3月の時期、今いる先生たちの協力も重要です。

  • 研修プログラムの整備
    新入職員が業務にスムーズに慣れるための研修プログラムを提供します。メンター制度を導入し、先輩職員がサポートすることで、不安を軽減します。
  • 定期的なフォローアップ面談
    入職後1か月、3か月といった節目に面談を実施することで、不安や悩みを早期に解決します。

まとめ:成功の鍵

1月から3月の採用活動を成功させるためには、計画的なアプローチと柔軟な対応が不可欠です。自園がどのような人を採用したいと思っているのか、どのように保育業務とのスケジュールを調整するのか、など、現場の忙しさもあいまって、採用活動が後回しになってしまいがちです。

取り組むべき具体的なアクション:

  1. 求人票を具体的かつ魅力的に改善する。(ターゲットや自園の強みを明確に。狙った人に刺さる内容に)
  2. SNSやオンラインイベントを活用して施設の魅力を発信する。(ホームページの情報はしっかり確認しましょう。)
  3. 採用後のフォロー体制を整備し、早期離職を防ぐ。(忙しい状態での放置が早期離職の原因になります。しっかりとフォローしましょう)

これらの取り組みを実践し、新年度の体制を万全に整えましょう。

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この記事を書いた人

株式会社シェンゲン執行役員、人事責任者
「保育のカタチ」事業責任者、採用支援コンサルタント

前職ではリクルートの代理店にて、7年間1,000社以上の採用支援を担当。シェンゲン入社後は、幼保業界の「人」に関する問題解決に特化した専門家集団「保育のカタチ」を立ち上げ、事業責任者として従事。

保育園の統括マネージャーとして運営にかかわりつつ、保育士転職サービスでのキャリアサポートや、保育園への採用コンサルタントも行う。

採用活動を内製化する伴走型の採用支援や保育士向けの研修、紹介予定派遣などのサービスを公共機関や幼保施設の運営法人に向けて提供中。祖母、母、妹が保育士という保育士一家で育った。

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