幼保施設の採用方法にはさまざまな選択肢がありますが、なかでも直接雇用につなげられる紹介予定派遣と、人材採用を効率化する人材紹介は注目されやすい存在です。どちらも施設側のニーズを満たすために活用できるサービスですが、仕組みや費用形態などに違いがあるため、導入前に正しい知識を押さえることが大切です。
本記事では、紹介予定派遣と人材紹介に加え、通常の派遣との違いを徹底解説していきます。幼保施設が実際に採用管理を進めるうえでどのように活用できるのか、費用相場や注意点なども併せてまとめました。導入時のポイントを理解して、ミスマッチや余計なコストを抑えた採用を目指しましょう。
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紹介予定派遣・人材紹介・派遣の基礎知識を押さえよう

まずは、それぞれのサービスの仕組みと特徴を簡潔に把握することで、比較しやすい土台を作りましょう。
紹介予定派遣は、最長で6ヶ月の派遣期間を経て、企業と派遣スタッフの双方が直接雇用を行うか判断する形式です。実質的には試用期間のような役割を担い、実務を通じて業務適性やコミュニケーション環境の合致度を見極められます。また、派遣期間中の雇用主は派遣会社になるため、社会保険や給与の支払いは派遣会社が行います。
人材紹介は、その名の通り人材紹介会社が企業に見合った人材を紹介し、マッチングをサポートするサービスです。企業は採用成功時に紹介手数料を支払う成功報酬型が基本的で、求人募集や面談などのやり取りを代行してくれるため、スピード感を持って選考を進めやすいのが特長です。即戦力の確保や人材の専門性を重視するときにも利用しやすいのがメリットといえます。
派遣(一般派遣)は、派遣会社が雇用元となり、派遣先で働くスタイルです。直接雇用を前提としていないので、スタッフは一定期間だけ雇用関係を派遣会社と結びます。業務量が変動しやすい職場や短期的に人手が必要な場合に利用しやすい一方、スタッフ起用後の長期的な定着は見込みづらい側面もあります。
紹介予定派遣の基本的な仕組みとは
紹介予定派遣は、派遣期間終了後に直接雇用へ切り替える意思を事前に確認しておく形態です。企業側は派遣期間中に実際の業務能力を評価でき、スタッフ側も職場環境との相性を見極めやすい点がメリットです。最長6ヶ月の派遣期間があらかじめ法令で定められており、適性確認の時間をしっかり確保できます。
人材紹介の基本的な仕組みとは
人材紹介では、企業と求職者を紹介会社が仲介し、最初から直接雇用を結ぶのが大きな特徴です。企業は求人条件を提示し、人材紹介会社が候補者を提案してくれるので、効率的な採用活動が可能になります。成功報酬型の場合、採用が決定した段階で紹介手数料を支払うため、結果に応じた費用分担がしやすい点も魅力です。
派遣(一般派遣)の基本的な仕組みとは
一般派遣は、あくまで派遣会社が雇用主となり、スタッフが企業に派遣される形をとります。実務面での指示は企業が行いますが、給与や雇用保険などの支払いは派遣会社が担うため、人事や労務管理を軽減したい企業に適しています。直接雇用に切り替える制度がないため、中長期的に人材を確保したい場合は別の選択肢を合わせて検討する必要があります。
紹介予定派遣と人材紹介の違い
同じく人材を企業に紹介する点では似ていますが、契約形態や選考プロセスで明確な違いがあります。
紹介予定派遣と人材紹介はいずれも、企業の採用活動を支援し、優秀な人材とのマッチングを促すサービスです。しかし、紹介予定派遣はスタートこそ派遣契約ですが、最終的には直接雇用を前提条件としている点が最も大きな特徴です。一方、人材紹介は最初から企業と求職者の直接雇用を結ぶため、選考プロセスや費用の支払いタイミングなどの面で違いが生じます。
雇用形態・契約元の違い
紹介予定派遣では、派遣期間中の雇用主は派遣会社ですが、人材紹介の場合は最初から企業が雇用主になります。紹介予定派遣は雇用先を最終的に決めるまで時間をかけられる一方、人材紹介は正式採用を前提としており、迅速に判断をくだすケースが多いです。
選考プロセスとマッチングの違い
紹介予定派遣は派遣期間を通じた“実務試用”が生じるため、書類選考や面接だけではわからない適性を見極められます。反対に、人材紹介では書類や面接で合否を判断するため、企業は一定の情報整理と面接の質を高める努力が必要です。事前の要件定義が明確化されていれば、短時間で優秀な人材に出会える点は人材紹介の強みといえます。
料金体系と支払いタイミングの違い
紹介予定派遣では、派遣期間中に派遣会社へ支払う派遣料金と、直接雇用へ切り替える際の紹介手数料がかかります。一方で、人材紹介は採用決定時に成功報酬として手数料が発生する仕組みが一般的です。事前に見込める採用人数や給与水準を踏まえ、トータルコストを比較検討するとよいでしょう。
対応する職種・スキルの幅
紹介予定派遣は事務職や店舗スタッフなど、現場での実務をリアルタイムに確認したい職種に向いています。一方で、人材紹介は管理職や専門的な資格が必要なポジションなど、ハイレベルな人材を探す際にも利用されるケースが多いです。即戦力となる高スキル人材に短期間でアクセスしたいときは、人材紹介がより有効に機能しやすいでしょう。
紹介予定派遣と通常の派遣の違い

どちらも派遣の仕組みを利用しますが、直接雇用を見据えているかどうかで大きく異なります。
一般派遣の場合は、一定期間だけ派遣スタッフを活用し、人材の補充や繁忙期の対応を行うことが主目的です。対して、紹介予定派遣は最初から直接雇用を前提としているため、スタッフ自身のモチベーションも高まりやすい特徴があります。企業側にとっても、単に人数を確保するだけではなく、長期的な戦力としてチームに溶け込む人材を探しやすいメリットがあります。
一般派遣では行えない直接雇用前提の選考
一般派遣では、派遣期間中に企業とスタッフの間で直接雇用を前提としたやり取りは行われません。あくまで派遣元と派遣先の労働契約関係が継続し、契約終了とともにスタッフは派遣会社へ戻る形です。一方、紹介予定派遣では派遣期間中から企業がスタッフの能力や職場適性を確認し、最終的に直接雇用へと繋げる意志決定ができるため、採用の品質を高めやすくなります。
無期雇用派遣との違い
無期雇用派遣は、スタッフが派遣会社と無期限の雇用契約を結ぶ仕組みです。就業先の企業とは直接雇用契約を結ばないため、スタッフがさまざまな企業で働き続ける可能性があります。紹介予定派遣では雇用のゴールが企業との直接契約に設定されているので、将来的に職場に根付く人材を確保したい場合は紹介予定派遣のほうが適しています。
紹介予定派遣が適しているケース
紹介予定派遣が有効に機能するのは、職場とスタッフ双方にとってメリットのある状況です。
紹介予定派遣を選ぶことで、実際に仕事をしながらスタッフのスキルや職場適応度を確認できるため、ミスマッチを大幅に減らせる利点があります。また、企業が採用活動に要する工数を抑えつつ、派遣会社のサポートを受けられるため効率的に採用を進められます。特に、即戦力を求めつつも安心して長期雇用したい場合は紹介予定派遣がうまく機能するでしょう。
即戦力が必要で入社後のミスマッチを減らしたい場合
採用後の早期離職を防ぐためには、単なる選考だけでなく実際の業務を通じた双方の確認が重要です。その点で、紹介予定派遣の派遣期間は実質的な試用期間として機能し、企業はスタッフのスキルレベルや職場適応度をリアルタイムに評価できます。スタッフにとっても、業務内容や社内の人間関係などを把握しやすいため、入社後のミスマッチを大きく減らすことが可能です。
採用コスト・工数を抑えたい場合
人材募集から面談、派遣期間のフォローまでを派遣会社がサポートするため、企業の採用担当者にかかる負担が軽減されます。広告費や採用プロセスを削減できるうえ、面接実施回数や日程調整の手間も大幅に省略できる点が特徴です。結果として、より合理的に適切な人材を見つけたい企業に適した選択肢となるでしょう。
人材紹介が適しているケース
採用要件が高い場合や、迅速に採用活動を進めたい場合には、人材紹介の強みが活かされます。
人材紹介は、ハイスキル人材や専門性の高い人材を確保したい企業にとって大きな助けとなります。独自のネットワークを持つ人材紹介会社を活用すれば、企業が自主的にリクルーティングするよりも短期間で的確な人材を発掘しやすくなります。大量採用や期間が限られたプロジェクトなどでも、柔軟で効率的に進められるのが魅力です。
管理職・専門職など高スキルの人材を探す場合
人材紹介会社には、特定の業種や職種に特化した専門チームを備えているところも多く、企業のニーズに合った人材をスピーディーに提案できます。高い専門性やマネジメント経験を持った人材は通常の募集ではなかなか応募が集まりにくいため、人材紹介会社が持つデータベースや独自ルートを活用するメリットは非常に大きいです。
短期間で多数の応募者から最適人材を確保したい場合
人材紹介では、求人企業に代わって書類選考や候補者管理を行うため、企業側は最も適格な人材だけに面接の時間を集中させられます。大量採用や急募など限られた時間内で複数の人材を採用したいケースでも、人材紹介会社との連携によって効率的に財源を確保できます。短期的な成果を重視する業種や職場であっても、成果に直結する人選を比較的早く行えるのが利点です。
紹介予定派遣を利用する際の注意点
試用期間に近い制度である紹介予定派遣ですが、法的な規定と実際のリスクに留意しましょう。
紹介予定派遣は、派遣契約期間内に直接雇用を前提とした選考を行うため、企業とスタッフ双方にメリットがあります。ただし、派遣期間に制限があることや法令上の試用期間との関係に注意が必要です。切り替え時のコストや、スタッフが辞退するリスクへの備えも重要になります。
受入期間の制限への理解と対応
紹介予定派遣の派遣期間は最長6ヶ月と法律で定められており、その間に雇用可否の判断を下す必要があります。これを過ぎると、ただの一般派遣として扱われてしまうケースもあるため、スケジュール管理が大切です。計画的に選考や評価を進めることで、無駄なく採用可否を決定できます。
雇用後の試用期間設定は不可
紹介予定派遣の場合、派遣期間そのものが実質的な試用期間の役割を果たします。そのため、直接雇用に切り替えたあとに改めて試用期間を設定することは法的に認められていません。企業には、派遣期間中にしっかり評価と面談を行う責任が求められます。
紹介手数料や派遣料金の仕組み
紹介予定派遣を利用する際は、派遣期間の派遣料金と直接雇用への切り替え時の紹介手数料の両方を把握することが必要です。派遣期間中は時給制の派遣料金がかかり、雇用決定時に年収などを基準とした手数料が追加で発生します。料金体系が会社によって異なるため、詳細を事前に比較検討しておきましょう。
派遣スタッフ側からの辞退リスク
派遣期間中にスタッフが職場の雰囲気や条件面で不満を覚え、直接雇用の意志を示さずに辞退する可能性があります。企業側は初期段階で派遣会社と密に連携し、スタッフへのフォローや待遇面の調整を行ってミスマッチを最小限に抑えることが大切です。
人材紹介を利用する際の注意点

効率的に活用できる人材紹介ですが、料金や要件整理の面で事前に押さえておくべきことがあります。
人材紹介会社の選び方や料金の仕組みを理解していないと、思わぬコストやミスマッチが発生する可能性があります。特に、年収ベースの成功報酬が一般的ですので、雇用予定者の給与を明確化しないまま利用すると費用予測が狂ってしまうこともあります。事前に採用要件を細かく設定することで、スムーズな紹介と高い成功率を実現しやすくなります。
料金体系の把握と契約内容のチェック
人材紹介では年収の何%を手数料とするなど、会社によってさまざまな契約形態があります。契約前には必ず成功報酬の発生条件や返金規定の有無を確認し、企業内部の採用計画に合わせて予算を設定しましょう。条件を明確に示していないと、採用後にトラブルにつながる場合も考えられます。
採用要件の明確化でミスマッチを防ぐ
人材紹介会社に伝える求人情報が曖昧なままだと、紹介される候補者の質や方向性にばらつきが出やすくなります。ポジションごとに具体的なスキルや経験年数、求める人物像を定義し、入社後に担ってもらいたい業務内容までしっかり伝達しましょう。これにより、無駄な面接や選考を減らし、効率的に適正人材とマッチングできます。
紹介予定派遣・人材紹介の費用相場と考え方
導入コストや成果を踏まえ、どちらのサービスが必要かを判断するには総合的な視点が重要です。
派遣期間中の時給換算分や成功報酬型の紹介手数料など、紹介予定派遣と人材紹介では費用の考え方が異なります。導入の際は、自社に必要なスキルレベルや採用人数、予定している雇用形態などを総合し、投資対効果を見極めることが欠かせません。人材を必ず直接雇用したいのか、期間限定での補充が目的なのかによっても、費用の感じ方は異なります。
派遣期間中の費用負担と採用決定時の紹介料
紹介予定派遣では、派遣期間中に時給制の派遣料金を負担し、派遣終了後に直接雇用が成立した時点で別途紹介手数料を支払うケースが多いです。人材紹介は、採用が成功したときにのみ一定割合の手数料が発生します。前者は採用までに段階的にコストを支払うイメージ、後者は成果ベースでコストが決定するイメージと言えます。
相場感を踏まえた費用対効果の見極め方
派遣料金は職種や地域によって変動し、人材紹介の成功報酬割合も会社ごとに異なるため、相場感を把握することが大切です。目安として、年度の採用予算や合計人件費などを踏まえ、採用したいポジションの収益貢献度や離職率なども総合的に考慮すると、より適切な意思決定がしやすくなります。
紹介予定派遣・人材紹介を上手に活用する流れ
最後に、実際にサービスを導入から運用まで進める際の基本的な手順を整理しておきましょう。
サービスの利用を検討する際には、まず到底得意としている分野や実績を持つ派遣会社や人材紹介会社を選定する必要があります。こちらのニーズを明確化し、提供元が得意とする業種や職種と合致していれば、よりスムーズに選考を進められます。さらに、採用段階での面談・面接を企業主導でしっかり行い、就業後のフォローも丁寧に実施することで、離職やミスマッチを最小限に抑えることが可能です。
派遣会社・人材紹介会社の選定ポイント
主に注目すべきなのは、対象とする職種分野の実績や応募者とのネットワークの強さです。幼保施設向けの採用支援に特化した実績を持つ会社であれば、最適な人材プールやノウハウが期待できます。サポート範囲や料金形態も含め、複数社を比較したうえで、施設の採用方針に合うパートナーを選びましょう。
実際の選考プロセスと面談・面接の進め方
書類選考では、できるだけ詳細な応募者情報を把握し、求めるスキルやキャリアを客観的に見極めます。面接では職務経験だけでなく、人柄や施設の理念に合うかといった点も確認が重要です。紹介予定派遣の場合はさらに派遣期間での実務評価が加わるため、具体的な目標や評価基準を設けておくとスムーズな判断ができます。
就業後・入社後フォローの重要性
派遣会社・人材紹介会社によるアフターフォローを企業側も積極的に活用することで、早期離職を防ぐ効果が期待できます。新しい環境にスムーズに馴染めるように指導計画を立てたり、定期的にコミュニケーションを取ったりすることで、スタッフの定着率を高められます。結果的に良好な労働関係を築きやすくなり、施設運営にプラスの影響を与えます。
まとめ・総括
紹介予定派遣と人材紹介、それぞれの特徴を理解し、必要に応じて使い分けることが幼保施設にとって鍵となります。
紹介予定派遣は試用期間に近い派遣期間でミスマッチを低減し、長期定着を重視したい施設に向きます。一方で人材紹介は、高度な専門性や管理職レベルの人材を早急に確保したい場合に威力を発揮します。いずれも、必要なコストと見込める効果、採用のスピードや雇用形態を考慮しながら最適な選択肢を探すことが大切です。
\自園と相性のよい人材が長く働いてくれる、保育のカタチの採用支援/